レジオンドヌール勲章 授与

レジオンドヌール勲章

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/12 04:49 UTC 版)

授与

加入の規則

オルドル「名誉軍団」への加入(叙勲)と昇進は、軍団総長たるフランス共和国大統領の政令により3年ごとに割り当てられた定数の範囲内で行われる。この定数は大統領と各省庁に割り振られ、省庁は提案を軍団総裁へと送付する。オルドルへの加入ではシュヴァリエより上の等級に叙勲されることはないが、外国の個人に授ける場合はその限りではない。その場合には新加入者の儀礼的な地位に応じて決定される(1984年にモナコアルベール2世は高位のグラントフィシエに直接叙された)。創設時には、オルドルに加入した者には年200金フランの差押え不可な年金が付随していた。2009年には、この年金と総割当数は次の表の通りとなっている[4]

等級名 佩綬者上限数 年金額[5] 必要年数[6]
シュヴァリエ(騎士、5等) 125,000 6.10€ 勤続20年(公務員)、25年(民間)
オフィシエ(将校、4等) 10,000 9.15€ シュヴァリエ叙勲後8年
コマンドゥール(司令官、3等) 1,250 12.20€ オフィシエ進級後5年
グラントフィシエ(大将校、2等) 250 24.39€ コマンドゥール進級後3年
グランクロワ(大十字、1等) 75 36.59€ グラントフィシエ進級後3年

元大臣、元知事、国民議会もしくは元老院の元議員(現職の大臣と議員は戦争で功績がある場合以外は除く)、高等司法官、外交官への授与はほぼ自動的に行われる。オリンピックでの金メダルの獲得は特別な昇進の対象となる。軍人が割り当ての50%を占め、その他の代表的な職種としては警察官、消防士、公選公務員、公務員、宗教の代表者などがある。

なお、当初は、レジオンドヌール佩綬者の子孫も3代まで世襲で勲章が与えられた。この条項は空文化したが、未だに廃止されてはいない。

女性の増加

レジオンドヌール佩綬者の圧倒的大多数は男性である。

2008年12月31日、イヴェット・ファルヌーフランス語版が8人目のグランクロワ佩綬者となった[8]

都市への授与

レジオンドヌールは都市に授与されることもあり、2007年までに、フランスの64の都市と他国の6都市(下表)に授与されている。

都市 授与日
リエージュ ベルギー 1914年8月7日
ベオグラード セルビア 1920年12月28日
ルクセンブルク ルクセンブルク 1957年6月18日
ヴォルゴグラード ロシア 1974年12月20日
アルジェ アルジェリア 2004年8月15日
ブラザヴィル コンゴ 2006年9月27日
ロンドン[9] イギリス 2020年6月18日

全都市の一覧はフランス語版「fr:Villes décorées de la Légion d'honneur」を参照。

組織への授与

レジオンドヌール受章部隊の隊員が制服に着用するフラジェール(飾緒

レジオンドヌール勲章はまた連隊、教育機関、共同体、企業(フランス国鉄など)、結社(フランス赤十字社フランス語版)などにも授与される。

高等教育機関としてはパリ国立高等鉱業学校[10]サンテティエンヌ国立高等鉱業学校[11]エコール・サントラル・パリ[12]エコール・ポリテクニークパリ国立工芸学校(現在のParisTech)、ドゥエー高等工業学校フランス語版[13]フランス国立古文書学校、ナンシー大学(現・ロレーヌ大学)など、中等教育機関としてはブール=カン=ブレスリセ・ラランド エクス=アン=プロヴァンスの軍事リセ[14]ラ・フレーシュ国立軍事幼年学校フランス語版などが受章している。

授けられた軍部隊の隊員は、礼装でフラジェール(Fourragère)と呼ばれる飾緒状の記章を着用することが出来る。色は赤。パリ警視庁は、第二次世界大戦末期の1944年8月19日シテ島の本部で警官の一団が起こした蜂起(パリの解放の一端。一週間後、親ヴィシー政権は倒れた)のためにシャルル・ド・ゴール将軍によって1944年10月12日にレジオンドヌールを叙勲された。パリ警視庁の警察官が礼装の左肩に赤い飾緒を着けるのはこのためである。

外国人への授与

レジオンドヌールはフランス国民だけでなく、外国の元首首相政府の構成員、外交官実業家、フランスに来訪した芸術家、その他フランスの利益に貢献した人物にも(定数外で)授与される。例えば、1999年2月19日には共和国大統領ジャック・シラク第一次世界大戦でフランスのために戦ったアメリカ合衆国元軍人たちに徽章を贈っている。2006年にロシアウラジーミル・プーチン大統領にグランクロワが叙勲された際には論争が巻き起こった。

2005年までに約1500人の外国籍の叙勲者があり、その内の約1割が日本人である[6]

外国籍の場合、叙勲者が居住する国のフランス大使館で行われるが[15]日本テレビ会長の氏家齊一郎は、ルーヴル美術館にあるモナ・リザ収蔵室の改修費を日本テレビが負担したこともあり、ルーヴル美術館で文化大臣から手渡された[16]

日本人への授与

1907年5月16日付で長崎省吾へ授与されたレジオンドヌール勲章グラントフィシエの勲記

最高位のグランクロワは日本人では皇族伊藤博文(1898年)などが受章している。グラン・トフィシエは、元総理大臣の中曽根康弘、元東京都知事の鈴木俊一(東京とパリは姉妹都市)、トヨタ自動車名誉会長で日本経済団体連合会名誉会長の豊田章一郎らが受章している。

民間人ではコマンドゥールまでが「日仏間の経済、文化交流の発展への功労者等に与えられる」[6]

らが受章している。


  1. ^ Code de la légion d'honneur et de la médaille militaire, R16” (フランス語). legifrance (2008年11月23日). 2010年5月5日閲覧。
  2. ^ 法案準備の任に当たった委員会の議長はジャン=ジャック・レジ・ド・カンバセレスであった。
  3. ^ 出典 : www.crdp-reims.fr
  4. ^ « Légion d’honneur » Archived 2010年1月5日, at the Wayback Machine., sur le site france-phaleristique.com, consulté le 4 décembre 2009.
  5. ^ 現在ではグランクロワでも年5000円程度なので形式的なものである。
  6. ^ a b c d レジオン・ドヌール勲章”. 駐日フランス大使館 (2005年1月26日). 2010年5月5日閲覧。
  7. ^ a b c Les femmes décorées” (フランス語). フランス政府レジオンドヌール勲位局. 2010年5月5日閲覧。
  8. ^ Légion d'honneur : la promotion du Nouvel an” (フランス語). フィガロ (2009年1月2日). 2010年5月5日閲覧。
  9. ^ ロンドン市に仏最高勲章=「ドゴール演説」80周年 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News”. web.archive.org (2020年8月15日). 2023年5月13日閲覧。
  10. ^ Décoration remise par le président de la République Albert Lebrun le 29 Juin 1933.
  11. ^ Décoration remise par le président de la République Albert Lebrun le 22 Octobre 1933.
  12. ^ Décoration remise par le président de la République Paul Doumergue le 26 mai 1929 à l’occasion du centenaire de l’École Centrale des Arts et Manufactures, couramment appelée École centrale Paris.
  13. ^ Décoration remise par Paul Ramadier le 5 décembre 1937.
  14. ^ Bulletin d'information sociale de la Défense, janvier 2008, page 21, voir ce site consulté le 28 février 2009.
  15. ^ 鎌田薫総長がフランス政府よりレジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを受章 - 早稲田大学総長である鎌田薫の叙勲式
  16. ^ 当社氏家会長が「レジオン・ドヌール勲章」を受賞”. 日本テレビ (2001年7月31日). 2020年12月2日閲覧。
  17. ^ Mélanges juridiques dédiés à M. le Professeur Sugiyama. Association Japonaise des Juristes de Langue Française ; Maison Franco-Japonaise. (1940). pp. v-vii 
  18. ^ [1]
  19. ^ 日本人の父とフランス人の母の間に生まれ、全ての作品をフランス語で著した日系フランス人の女性作家 https://sites.google.com/site/kikouyamata/nihongo 
  20. ^ 小堀憲”. 筑摩書房. 2022年10月14日閲覧。
  21. ^ 『黒澤明 夢のあしあと』共同通信社
  22. ^ 仏、三宅一生氏にコマンドゥール授与 民間文化人の最高位”. 日本経済新聞 (2016年3月15日). 2022年11月10日閲覧。
  23. ^ 第1回栄誉賞 磯村 尚徳”. ルネサンス・フランセーズ 日本代表部 | La Renaissance Française au Japon (2021年4月5日). 2023年12月13日閲覧。
  24. ^ [2]
  25. ^ 建築家の安藤忠雄氏が芸術文化勲章を受章 在日フランス大使館
  26. ^ 「安藤忠雄さん、仏から勲章」『読売新聞』朝刊2021年4月24日(社会面)
  27. ^ 池田理代子氏がレジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを受章 在日フランス大使館]
  28. ^ 山口昌子氏がレジオン・ドヌール勲章を受章 在日フランス大使館]
  29. ^ 「三木谷浩史」知恵蔵
  30. ^ 在日フランス大使館Webページ 舛添要一都知事がレジオン・ドヌール勲章コマンドゥールを受章
  31. ^ 石原伸晃氏がレジオン・ドヌール勲章を受章”. La France au Japon. 2020年10月23日閲覧。
  32. ^ 横浜市長に仏レジオン・ドヌール勲章両国交流に貢献 https://www.kanaloco.jp/news/government/article-463957.html
  33. ^ Questions-Réponses: 14) Qui achète la décoration et où ?” (フランス語). フランス政府レジオンドヌール勲位局. 2010年5月5日閲覧。
  34. ^ Ordre de la légion d'honneur - Décorations” (フランス語). Monnaie de Paris(パリ造幣局). 2010年5月5日閲覧。
  35. ^ "Article 87. - Il sera décerné des récompenses nationales aux guerriers qui auront rendu des services éclatants en combattant pour la République"
  36. ^ Les 80 décrets, arrêtés pris depuis 1802 ont été fondus dans le Décret no62-1472 du 28 novembre 1962 pour former le Code de la Légion d'honneur et de la médaille militaire.
  37. ^ Le Coq, no1, avril 1920 (in Écrits, éd. Champ libre, 1977)
  38. ^ Le Canard enchaîné, 9, janvier 2008
  39. ^ Libération, 5 janvier 2009
  40. ^ Décret du 31 décembre 2008 portant promotion et nomination, où figurent Françoise Fressoz et Marie-Ève Malouines, au Journal officiel
  41. ^ Avec Philippe Séguin, une certaine idée du gaullisme s’en est allée”. La Croix (2010年1月7日). 2010年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月2日閲覧。
  42. ^ 「仏経済学者ピケティ氏、最高勲章候補を辞退 現政権批判で」 AFP通信(2015年1月2日配信)同日閲覧
  43. ^ 『読売新聞』2015年1月3日東京朝刊
  44. ^ 100.000 citations du monde - Honneur” (フランス語). Evene. 2010年5月5日閲覧。
  45. ^ Dans Le Curé d’Ars, Mgr Francis Trochu, 1925.
  46. ^ Lettre de Michèle Audin à Nicolas Sarkozy, Mediapart.
  47. ^ Articles R90 et R91 du Code de la légion d'honneur et de la médaille militaire
  48. ^ これに関しては、当局は故人の支持者たちの要望により、葬儀が行われるのを黙認した。Maurice Papon, enterré décoré” (フランス語). リベラシオン (2007年2月21日). 2010年5月5日閲覧。
  49. ^ BOISSIEU Alain (de) (France)アーカイブ
  50. ^ Revue-republicaine.fr | Alain de Boissieu, au service de la France et du Général
  51. ^ ウィキソースの『ボヴァリー夫人』原文
  52. ^ ウィキソースの『金縁の鼻眼鏡』原文
  53. ^ 反発心から師匠のヒゲを失敬 一流料理人への第一歩に”. 日本経済新聞 (2018年4月15日). 2018年4月15日閲覧。
  54. ^ rosetteはレジオンドヌールの略綬、rosette de Lyonはリヨン風のサラミを指す。駄洒落。リヨンは1949年2月28日にレジオンドヌールを受章している。






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