ルーター ルーターの基本機能

ルーター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/17 01:31 UTC 版)

ルーターの基本機能

ルーターの基本機能は4つある。

接続(インターフェース)

ADSLルーターの接続ポート

ルーターは、ネットワークセグメントの異なるLAN側のインターフェースや、WAN側のインターフェースなどの中から2つ以上の物理インターフェースを有する。

それぞれの物理インターフェースは、様々な回線種別に対応しており、タイプとして固定型とモジュラー型に分かれる[注 6]。タイプを選択することにより、ユーザーのサービスにあわせた柔軟な対応ができる。ATMを使ったセルリレーや、フレームリレーなどデータリンク層への接続には、WAN側のインタフェースカードの交換、シリアルケーブルでデバイス (DTE) と接続、インターフェースの設定[注 7]を行うことによって接続が可能となる。

経路選択と転送

ルーターは、受信パケットの宛先情報から経路選択をおこなう。これをルーティング (Routing) という。ルーティングを実施する際にルーティングテーブルの情報が参照される。その情報を元にパケットの転送をおこなう。これをフォワーディング (Forwarding) という。

IPv4パケットの場合の流れを説明すると、

  1. ルーターが、IPパケットを受信すると、その中のIPパケット・ヘッダーから宛先アドレス (Destination Address) を読み取る。
  2. ルーティング・テーブルと宛先アドレスを照合し、合致するものがあれば、ネクストホップ (Nexthop) のIPアドレスから、ネクストホップに到達するためのレイヤ2アドレスを調べる。
  3. ARPテーブルを参照し、なければARPパケットを送信して、宛先MACアドレスを取得し、ARPリクエストにレスポンスがあれば、ARPテーブルを更新し、パケットを転送する。なければ、送信元アドレス (Source Address) にパケット到着不可である事を示すメッセージ (ICMP「Host Unreachable」) を送信元に返す。
  4. パケットのヘッダをネクストホップに書き換える。
  5. パケットを転送先のインターフェース (Interface) に送信する。
  6. ルーターにデフォルトルートの設定がなく、ルーティングテーブルにマッチしなければ、未知の宛先とみなされ、パケットは破棄されて、送信元アドレス (Source Address) にパケット到着不可である事を示すメッセージ (ICMP「Net Unreachable」) を送信する。

となる[注 8]

この時に用いられるルーティングテーブルには、ネクストホップ情報、宛先アドレス情報、そのルーターに接続するためのインターフェース情報など、転送に用いる経路情報が記録される。ルーターの性能は、このルーティングテーブルやARPテーブルの参照処理能力と、スループット値などにより決まる。なお、レイヤ3スイッチの場合は、最初のパケットをコントロールプレーン (Control Plane) のCPUで処理し、ルーティングテーブルとARPテーブルで算出した情報をASICのレイヤ3テーブルに追加する。2回目以降のパケットをデータプレーン (Data Plane) のASICで処理する。

選別

ルーターは、WAN側から受け取ったIPパケットに応じて、フィルタによって転送せずに破棄したり、QoS (Quality of Service) によって優遇してLAN側に転送するなど、パケットの選別機能を持つ。

フィルタリング機能
IPヘッダー、TCP/UDPヘッダー、パケット内の有意なデータ(URLなど)を設定して、条件に該当するIPパケットを破棄する。特定のパケット通信を排除できる[8][注 9]
QoS機能
QoSは、LAN側の帯域が大きく、WAN側の帯域が小さいという構成において、ルーター内部のキューパケットが溜まる状態で、どのパケットを優先して出力するかの方法を選択し、制御する機能である。下記にその方法を示す[9]
優先制御
優先すべきIPパケットとそれ以外を、IPアドレスやポート番号などによって区別し、優先度を割り当てる。この方法をプライオリティ・キューイング(Priority Queuing)と呼ぶ[10]
帯域制御
一定時間ごとにインターフェースのパケット量を監視し、閾値以上になれば超過したパケットを破棄する。この方法をポリシング (Policing) と呼ぶ。また、超過したパケットを破棄せずにバッファリングによってキューに保持し、間隔をおいて平滑的に伝送されるようにスケジューリングする方法をシェーピング (Shaping) と呼び、どちらかの方法を選択して設定する[11]

管理

ルーターは、経路情報を持つルーティングテーブル[注 10]の管理をおこなう。

直接接続された他のインターフェースとの通信により、経路情報を自動的に学習する。しかし、ルーターは「直接接続されていないインターフェース」には接続できないため、それを含めた経路情報を設定する必要がある。

経路情報を設定する方法には、ネットワーク管理者が手動で設定する静的ルート (Static Route) と、ルーティングプロトコルで設定された動的ルート (Dynamic Route) がある。

動的ルートは、ルーティングプロトコルが設定されると、相互接続された他のルーターとの通信によって経路情報を交換し合い、自動的にルーティングテーブルを最適な状態に保つ。この状態を収束または収斂(コンバージェンス)という[注 11]

この経路情報の収集につかわれるルーティングプロトコルには2種類あり、異なる自律システム (AS) 間で使われるEGP (Exterior Gateway Protocol) と、同一のAS内で使われるIGP (Interior Gateway Protocol) がある。EGPとしてはBGP-4、IGPとしてはRIPOSPFが有名である。

また、通信制御用プロトコルであるICMPを周囲に発信し、エラーや回線の状態を監視するルーターもある[注 12]。 これらにより、あらかじめ伝送路の2重化や迂回経路への切り替えを設定しておけば、伝送路に障害が発生した場合、RIP、OSPF、BGPといったプロトコルを利用せずに別経路への自動的な切り替えが行われる。




注釈

  1. ^ CATVやADSLが広まった後も、安定したインフラクチャであるナローバンドとしての利用は続いた[4]
  2. ^ ただし、ブロードバンド普及についての経緯や規模は各国の政策、通信事情により異なる[5]
  3. ^ レイヤ2スイッチもASIC実装に至る。
  4. ^ 主にヤマハ製品で使われる呼称。ヤマハはエッジルーターを拠点ルーターと呼ぶ。
  5. ^ Infonetics Researchは、「EthernetとIPサービスへの移行が早まっている。2015年までにはATMやフレームリレーは実質的になくなるだろう、一方、専用線はもう少し先まで残る」と予測している[7]
  6. ^ モジュラー型はインターフェースカードをスロットに差し込むことでユニット交換が可能であり、拡張性に優れている。
  7. ^ フレームリレーの場合、ルーターをFRAD (Frame Relay Access Device) に設定し、接続先をデータ回線終端装置 (DCE) とする。
  8. ^ ルーターがIPパケットをルーティングする際、IPパケット・ヘッダーのTTL(Time To Live、IPパケットの寿命を表す数値)を1減らす。また、NAT/NAPTなどのアドレス変換時も、IPパケット・ヘッダーを書き換える。また、転送先のルートに合わせて、IPパケットを分割する場合もある。
  9. ^ cisco社ではアクセスリストまたはアクセス制御リスト (Access Control List) として実装する。
  10. ^ ルーティングテーブルは、宛先アドレス、ネクストホップ、送出元のインタフェースの各情報を持つ。
  11. ^ cisco社では、これをアドバタイズメント (advertisement) と呼ぶ。
  12. ^ ヤマハのRTシリーズなどでは、ネットワークバックアップ機能と呼ばれる[12]
  13. ^ 概ね2010年代前半までの機種。2010年代後半以降最新のIPv6/IPv4 over IPv6方式には対応していないものも多い
  14. ^ 本体に穴を開け、PC用ケースファンを設置するユーザもいる[17]
  15. ^ 2010年代後半以降、フレッツ網におけるIPv6でのIPv6 IPoEやIPv4 over IPv6の普及以降は、日本の各メーカーにおいて標準的機能となった。(生産終了機種を除く)
  16. ^ 一部のISP回線事業者(FVNE)での方式
  17. ^ フレッツ網におけるIPv6 IPoEルーティングは、「フレッツv6オプション」を契約により登録して、特定のVNE/ISPに接続(NGN網上の固定ルート設定)する形態であり、フレッツ網側からプレフィクスが広告(RA)される仕組みは共通であり、VNE/ISPによる差異は小さい。
  18. ^ IPv4 over IPv6の方式は各種類があり(基本的にはVNEごとに方式が違う場合がある)、ISP毎に対応する方式が異なる。ルーター側も全方式を網羅している訳ではないため、ルーターが非対応のサービス方式にはそのままでは接続不可。
  19. ^ セッションの発生から終了までを完全に監視し、中間者攻撃リセットパケットによる攻撃を排除する。(家庭用BBRでは基本的機能と言って良い)
  20. ^ (特定のプライベートアドレス機器をポート変換してグローバルIPアドレスとして公開) 
  21. ^ (対応機器は限定的である)
  22. ^ スマートフォンなどモバイル機器の普及により、無線アクセスポイント機能としての開発比重が高まっており、純粋な(ブロードバンド)ルーター的機能は付加的なものとなっている。例えばフレッツではHGW(ホームゲートウェイ)によるルーター機能の提供、フレッツ以外でもISP回線事業者によるレンタルルーター提供などが一般的である。
  23. ^ 2010年代以降、家庭向けルータ機器のCPUパワーでは非現実的となり、サービス終了・機能終了していった。近年ではDNSサービス側でのフィルタリングサービスを選択可能なものもあるが限定的である(サービス終了のものもある)

出典







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