ルイス・ミラモンテス ルイス・ミラモンテスの概要

ルイス・ミラモンテス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/01/23 18:33 UTC 版)

Luis E. Miramontes ca. 1953

メキシコ国立自治大学 (Universidad Nacional Autónoma de México, UNAM) で化学工学の学位を取得した。同大学の化学研究所を創立した研究者の1人であり、主に有機化学分野の研究を行った。UNAM の化学部の教授、イベロアメリカーナ大学 (Universidad Iberoamericana) 化学部の学部長・教授、メキシコ石油研究所 (Mexican Institute of Petroleum, IMP) の副所長を務めた。アメリカ化学会、メキシコ工学会、国立化学・化学工学会、メキシコ化学会、アメリカ化学工学会、ニューヨーク科学アカデミーの会員であった。

目次

経口避妊薬の開発

アメリカ発明者栄誉殿堂収載の経口避妊薬に関する特許
ミラモンテス(右)とモリーナ(1995年ごろ)

ミラモンテスは有機化学、薬学、石油化学、大気化学、汚染物質に関する多くの論文と40近くの国際特許を持つ。1951年10月15日、26歳のとき経口避妊薬(ピル)を製造する際の基礎化合物となるノルエチンドロンを合成した。このことによって、彼は経口避妊薬の発明者の1人と考えられるようになった。メキシコの化学会社シンテック (Syntex) のカール・ジェラッシ (Carl Djerassi) とジョージ・ローゼンクランツ (George Rosenkranz) に次いでノルエチンドロンの特許権者となった。一般にピルの開発はジェラッシとローゼンクランツの2人のみによるものと考えられているが、専門家の間では、ファーストシンセシスの栄誉はミラモンテスに与えられるべきである、というのが共通の見解である。例えばマックス・ペルーツは随筆の中で「1951年10月15日、化学科の学生ルイス・ミラモンテスがジェラッシと研究室の指導者ローゼンクランツの指導のもとにこの化合物を合成した」と記述している[1]。ジェラッシ自身もミラモンテスが実際に初合成を行ったことを明言している[2]。合成を報じた論文の第一著者はミラモンテスになっている。また、合成法は彼の実験ノートの114ページ(1951年10月15日の項)にサインつきで記載されている。

経歴と受賞歴

  • 1964年 経口避妊薬がアメリカ特許事務所によって1794年から1964年までの40の重要な特許の1つに選ばれる。ミラモンテスの名はパスツールエジソンベルライト兄弟などの次に現れる。アメリカ発明者栄誉殿堂に入った。
  • 1985年 メヒコ州賞科学・芸術部門を受賞。ナヤリット州政府、テピック工科大学からも表彰される。
  • 1986年 メキシコ国家賞 "Andrés Manuel del Río" を受ける。
  • 1989年 世界平和のための組織、パグウォッシュ会議のメンバーとなる。パグウォッシュ会議は1995年にノーベル平和賞を受賞している。
  • 1992年 ナヤリット州テピックにある国立社会保障研究所付属病院の第1区画が「ルイス・エルネスト・ミラモンテス・カルデナス病院」と名づけられる。
  • 1994年 メキシコ健康省が国家的家族計画の導入にあたり、ミラモンテスの科学的貢献を表彰する。
  • 1998年 ナヤリット州政府の代表としてアマド・ネルボ (Amado Nervo) 賞を受ける。
  • 2000年 経口避妊薬がノーベル賞受賞者を含む著名人のグループによって「過去2000年間における最も重要な発明の1つ」に3度に渡って挙げられる[3]
  • 2001年 ノルエチンドロン合成50周年に際し、UNAM とメキシコ健康省がミラモンテスとローゼンクランツの功績を編纂する。
  • 2004年 ミラモンテスの発明が20世紀の最重要事項の1つに選ばれる。投票は英国工学技術会議を主導する SCENTA によって行われた。
  • 2005年 メキシコ科学アカデミーは、ミラモンテスの発明はこれまでメキシコが世界の化学に与えた最も大きな貢献であるとした。

ミラモンテス、アンドレス・マヌエル・デル・リオバナジウムの発見者)、マリオ・モリーナ(1995年度ノーベル化学賞受賞)はメキシコの3大化学者である。

Selected publications related to his invention

  • Miramontes L; Rosenkranz G; Djerassi C. 1951 Journal Of The American Chemical Society 73 (7): 3540-3541 Steroids .22. The Synthesis Of 19-Nor-Progesterone[4]
  • Sandoval A; Miramontes L; Rosenkranz G; Djerassi C. 1951 Journal Of The American Chemical Society 73 (3): 990-991. The Dienone Phenol Rearrangement[5]
  • Sandoval A; Miramontes L; Rosenkranz G; Djerassi C; Sondheimer F. 1953 Journal Of The American Chemical Society 75 (16): 4117-4118 Steroids .69. 19-Nor-Desoxycorticosterone, A Potent Mineralocorticoid Hormone[6]
  • Mancera O; Miramontes L; Rosenkranz G; Sondheimer F; Djerassi C. 1953 Journal Of The American Chemical Society 75 (18): 4428-4429 Steroidal Sapogenins .28. The Reaction Of Peracids With Enol Acetates Of Delta-8-7-Keto And Delta-8-11-Keto Steroidal Sapogenins[7]
  • Djerassi C; Miramontes L; Rosenkranz G. 1953 Journal Of The American Chemical Society 75 (18): 4440-4442 Steroids .48. 19-Norprogesterone, A Potent Progestational Hormone[8]
  • Djerassi C; Miramontes L; Rosenkranz G; Sondheimer F. 1954 Journal Of The American Chemical Society 76 (16): 4092-4094 Steroids .54. Synthesis Of 19-Nor-17-Alpha-Ethynyltestosterone And 19-Nor-17-Alpha-Methyltestosterone[9]
  • Miramontes L; Aguinaco P; Romero MA. 1960 Journal Of The American Chemical Society 82(23): 6153-6155 Synthesis of 6-Methyl Steroids[10]



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