リヤサスペンション (オートバイ) リーフばね式

リヤサスペンション (オートバイ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/01 04:58 UTC 版)

リーフばね式

リーフばね式は後輪車軸の上下にリーフスプリングを配置して、スプリング自身がリヤアームとして軸の位置決めを兼ねる構造である。スプリングの一端が車体に固定され、多端が車軸の上下によってたわむカンチレバー構造である。リーフスプリングの板間摩擦によって減衰力が発生するためダンパーは省略される。[9]アメリカインディアンから1913年に発売された車種に採用された。

プランジャ式

1953年BMW R51/3プランジャサスペンション

プランジャ式は、後輪付近に立てて配置された円筒に沿って上下にスライドするスライダが車軸を支えている。スライダの上下は円筒内部に組み込まれたコイルスプリングで保持され、円筒は車体フレームの後端部に固定される。車軸は垂直にストロークするのでドライブスプロケットとの距離の変化が大きく、ドライブチェーンの耐久性に影響を及ぼす。そのため、ストロークを大きくできない欠点を持つ。[10][11]1913年にen:Pope_Manufacturing_Companyから発売された車種[12][13]や、アドラーアリエルBMWBSA、インディアン、MZモトラッドノートンツェンダップなどに採用された。

ハブクッション式

ハブクッション式はサスペンションユニットを後輪ハブ内に収めた構造である。車体フレームはリジッドフレームが車軸を支持するのと同様に、スライダと呼ばれる部品を固定支持する。スライダはドライブチェーンの軸間距離に相当する半径を持つ円弧形状で、ハブに内蔵された円弧状のスライダガイドを上下に揺動する。ハブはスライダの上下に配置されたコイルばねで支えられて路面の凹凸を吸収する。プランジャ式と異なりドライブチェーンへの負担は少なくなるが、ハブの内側という限られたスペースに納められるためストロークは大きくない。[14]

ユニットスイング式

スクーターのユニットスイングの内部構造

ユニットスイング式(Unit Swing)は、エンジンとトランスミッション、後輪軸受けを一体としたユニットが前部を車体フレームに支持され、スイングアームのように動作する構造で、スクーターに広く採用されている。ユニットの中央付近で車体フレームに支持される方式も採用された例があり、座席の下方に配置されたピボット部に対してエンジンが前方に配置されていて、エンジンと車輪が互いにカウンターバランスのように上下に揺動することから、カウンターバランス式と呼ばれる。カウンターバランス式はエンジンを露出させるデザインとするために採用された。[15]

エンジンと駆動伝達系をコンパクトにまとめることができる。後輪の上下動によってチェーンやベルトの張りが変化しないため、駆動系統の耐久性を確保しやすい。一方、エンジンやトランスミッションなどの重量の一部もばね下重量となる欠点を持つ。また、フレームのスペースによってはホイールトラベルが制限されたり、大きくて重い多気筒エンジンを搭載することが難しい。


  1. ^ 自動二輪車のサスペンション装置概要” (pdf). 特許庁. 2011年3月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年5月27日閲覧。
  2. ^ Motorcycle Mechanics Institute,The Complete Guide to Motorcycle Mechanics, 1984, p. 277, Prentice-Hall, Inc., ISBN 0-13-160549-6
  3. ^ 「審査事務規程の一部改正案」に関するパブリックコメント募集結果について ─並行輸入自動車審査要領等の一部改正─”. 自動車検査法人. 2011年6月1日閲覧。
  4. ^ a b c 自動二輪車サスペンション/リヤサスペンション1/トレーリングアーム式” (pdf). 特許庁. 2011年5月27日閲覧。
  5. ^ Motorcycle Mechanics Institute,The Complete Guide to Motorcycle Mechanics, 1984, p. 286, Prentice-Hall, Inc., ISBN 0-13-160549-6
  6. ^ スイングアームとブレーキ装置を連結する場合は平行リンク式に該当しない。
  7. ^ 自動二輪車サスペンション/リヤサスペンション1/平行リンク式” (pdf). 特許庁. 2011年5月27日閲覧。
  8. ^ storia - history”. Magni. 2011年7月20日閲覧。
  9. ^ 自動二輪車サスペンション/リヤサスペンション2/リーフばね式” (pdf). 特許庁. 2011年5月27日閲覧。
  10. ^ 自動二輪車サスペンション/リヤサスペンション2/プランジャ式” (pdf). 特許庁. 2011年5月27日閲覧。
  11. ^ Wilson, H. "The Encyclopedia of the Motorcycle" p. 310 Dorling-Kindersley Limited, 1995 ISBN 0-7513-0206-6
  12. ^ Wilson, H. "The Encyclopedia of the Motorcycle" p. 102 Dorling-Kindersley Limited, 1995 ISBN 0-7513-0206-6
  13. ^ Wilson, H. "The Encyclopedia of the Motorcycle" p. 156 Dorling-Kindersley Limited, 1995 ISBN 0-7513-0206-6
  14. ^ 自動二輪車サスペンション/リヤサスペンション2/プランジャ式” (pdf). 特許庁. 2011年5月27日閲覧。
  15. ^ 自動二輪車サスペンション/リヤサスペンション3/ユニットスイング式” (pdf). 特許庁. 2011年5月27日閲覧。


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