リアリティ番組 リアリティ番組の概要

リアリティ番組

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/14 03:27 UTC 版)

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ファッションデザイナーをテーマとするリアリティ番組『プロジェクト・ランウェイ』の出演者、スタッフ(司会のハイディ・クルムティム・ガン、製作者のハーヴェイ・ワインスタインほか)。第67回ピーボディ賞授賞式の午餐会会場にて(2008年

概要

90年代末の世界各地での大ヒット以降、従来型の視聴参加型のクイズ番組やバラエティ番組もリアリティ番組を名乗るようになったため、現在は非常に意味が拡散した言葉となっている。視聴者参加型のクイズ番組・トーク番組恋愛バラエティ番組をはじめ、視聴者から選ばれた代表を孤島や旅先に隔離してカメラで監視したり、毎週課題を与え最後の一人になるまで勝ち抜きさせたりするものまで、さまざまな種類のものがある。これらの番組の多くは、固定カメラや隠しカメラ、手持ちカメラなどといったドキュメンタリー番組の撮影手法を用いて出演者に密着し、独特の臨場感を視聴者に与え、撮影対象となる出演者のドラマを「本物らしく」見せる事を売りとしている。

番組の焦点は、参加している一般人同士のメロドラマ的人間関係や恋愛・苦闘であり、視聴者はこれを楽しむだけでなく電話投票などで彼らに対し審判を下すこともある。

起源

その起源は、1948年のアレン・フントによる『キャンディード・カメラ』(en:Candid Camera、『どっきりカメラ』の元祖[1])など、一般人の即興的で意外な反応を楽しむテレビ番組にまでさかのぼる。こうした、練られた脚本や俳優の演技よりも面白い一般人のリアクションに焦点を当てた番組は、1960年代から1980年代にかけてヨーロッパ、日本、アメリカなど世界各地で製作されていた。今日的な愛憎や恋愛を題材にしたリアリティ番組は、PBS1973年に放送された、離婚寸前の核家族に密着した『アメリカン・ファミリー』(An American Family)が最初とされる[1]

一般のテレビドキュメンタリートーク番組にもリアリティ番組的な要素が入るようになった。1960年代から1970年代にかけて、チャック・バリス(Chuck Barris)のプロデュースによる『デート・ゲーム』(The Dating Game)、『新婚ゲーム』(The Newlywed Game)、『ザ・ゴングショー』などの視聴者参加ゲーム番組が全米で人気を博した。1989年放送開始の警官密着型番組『コップス(COPS)』は、警官の日常や、逮捕され抵抗する犯人といったシーンが人気を集めたが、これらは一般人である警官や犯人のインパクトの強さも話題となった。またカムコーダやシネマ・ヴェリテ(Cinéma vérité)的な手法を使って、警官たちの日常シーンや逮捕シーンなどの臨場感を高めていた。1991年放送開始のトーク番組、『ジェリー・スプリンガー・ショー』(The Jerry Springer Show)はレッドネックなど貧困家庭の出演者が司会者ジェリー・スプリンガーや視聴者の前で家族の恥部をさらしケンカを始める様が評判を呼び、視聴者に他人の人生を覗き見る衝撃や快感を与えた。

リアリティ番組のフォーマット

完全に一般人に焦点をあわせたリアリティ番組は1990年代に世界各地で放送開始された。アメリカでは、1992年MTVで、視聴者から募った数人の若者が一軒家で共同生活するさまを隠しカメラで数ヶ月にわたり追った『リアル・ワールド』が放送開始された。オーディションで選ばれた視聴者、限られた場所・限られた期間での生活、時々挿入される参加者へのインタビュー(この生活に対する感想、人間関係や他の参加者に対する感想など)、といったフォーマットは後の世界中のリアリティ番組の基礎となり、1990年代末から2000年代にかけてリアリティ番組が山のように生み出されるきっかけとなった。

こうした番組の中にはイギリスやオランダなどヨーロッパで最初に放送され、その後フォーマットがアメリカを経由して世界に販売されたものも多い。

変身・メイクオーバー

1996年イギリスで放送された『チェンジング・ルーム』(Changing Rooms)はカップルが互いの部屋を改造するもので、視聴者の容姿や視聴者の部屋をおしゃれに変身(メイクオーバー)させるリアリティ番組のさきがけとなった。

国内ではリアリティ番組と銘打たれていないものの『B.C.ビューティー・コロシアム』などがある。

特殊な環境への隔離

1997年スウェーデンで放送された『エクスペディション・ロビンソン(ロビンソン遠征隊)』(Expedition Robinson)は視聴者から選ばれたメンバーが孤島でサバイバルするという内容で、『リアル・ワールド』が完成させたリアリティ番組のフォーマットに「生き残り」(毎回一人ずつ脱落し、最後に一人が勝ち残る)という要素を追加して人気番組となった。また、後に世界各地にこのフォーマットが販売され『サバイバー』として放送された。

1999年オランダで放送された『ビッグ・ブラザー』は完全に外部から隔離され、すべての場所にカメラとマイクが仕掛けられた家に十数人の男女を3ヶ月入れるというもので、彼らの生活はケンカやセックス、互いの脱落させ合いに至るまですべてが収録される極端なものである。これも世界中にフォーマットが販売され、オランダの制作会社エンデモルはこのヒットをきっかけに世界各国でリアリティ番組を制作する大手企業となった。

スター育成

2001年にはイギリスで『ポップアイドル』という視聴者勝ち抜き型歌手育成番組が作られた。これは予選を勝ち抜いた参加者に徹底的なトレーニングを施し、視聴者の判断で一人ずつ脱落させつつ最後には一人のスターを生み出すというもので、世界各地にフォーマット販売されたり(アイドルシリーズ)参考にした番組が製作されたりした。たとえばアメリカの『アメリカン・アイドル』、中国の『超級女声』などは国民的関心を集める怪物番組となっている。この派生系として、スーパーモデル育成番組、ファッションデザイナー育成番組、スポーツ選手育成番組、コメディアン育成番組、子役スター育成番組、シェフ育成番組、ドナルド・トランプ指導による経営者育成番組『アプレンティス』なども誕生している。

有名人の生活

リアリティ番組は出演料の安い、または不要な一般人が多数出演するものだったが、有名人の生の生活を覗き見る番組も登場した。たとえば2002年にMTVで放送開始された『オズボーンズ』は、オジー・オズボーンとその一家の生活を見せるものだった。2003年のFOXテレビによる『シンプルライフ』では、ハリウッドきってのパーティー好きセレブのパリス・ヒルトンニコール・リッチーがゴージャスな生活とは無縁な農村や荒野へ旅して質素な生活を体験するもので、その奇天烈な反応が人気となった。

日本ではテレビ東京において放送された、俳優・山田孝之の日常を「ドキュメンタリードラマ」という手法で追いかけた『山田孝之の東京都北区赤羽』や『山田孝之のカンヌ映画祭』があげられる。

その他

その他、欧米におけるリアリティ番組のバリエーションは、

  • 恋愛・結婚・就職など視聴者の人生をかけてデートやスポーツや面接などに挑む勝ちぬきゲーム番組
  • 視聴者や芸能人が本格的なスポーツやダンスなどに挑戦するゲーム番組
  • 視聴者が相談を持ち込むトーク番組
  • 法律相談や法廷対決や法執行を題材にした法廷リアリティ番組
  • 警察・消防・救急ほか特殊な職業に密着した番組(いわゆる『警察24時』など)
  • 少数民族や少数派宗教や障害者などマイノリティ集団に密着した番組
  • 視聴者が夫婦や身分をしばらくの間交換する社会実験番組
  • 視聴者や芸能人に超常現象や心霊スポットを捜索させる超常現象番組
  • 事件や事故に遭遇した被害者や家族本人が出演して事件を再現する実話再現番組
  • 「億万長者とデートし一人だけが結婚できる」という名目で出演者を集めるが、億万長者として登場する人物の正体は貧乏人であったりするなど、番組の真の目的を知らない出演者の悪戦苦闘を司会者や視聴者が笑って楽しむ偽リアリティ番組

などの広がりを見せている。


  1. ^ a b c 日刊スポーツ新聞社『日刊スポーツ』2020年6月21日関東6版26面
  2. ^ Levin, Gary (2007年5月8日). “'Simple economics': More reality TV”. USA Today. http://www.usatoday.com/life/television/news/2007-05-07-reality-TV_N.htm?csp=34 6.26.2013閲覧。 
  3. ^ 「リアリティー・ショー」のプロ、トランプが仕掛ける虚実ない混ぜの演出”. Newsweek日本版. p. 2 (2020年5月28日). 2020年6月6日閲覧。
  4. ^ 「危険なリアリティ番組」量産するTV局側の事情 | テレビ”. 東洋経済新報. p. 2 (2020年5月30日). 2020年6月6日閲覧。
  5. ^ a b c テレビの未来は、大量の「リアリティ番組」とともにある | DIGIDAY 日本版
  6. ^ a b c d Booth, William (2004年8月10日). “Reality Is Only An Illusion, Writers Say - Hollywood Scribes Want a Cut Of Not-So-Unscripted Series”. The Washington Post. http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A53032-2004Aug9.html 2009年4月26日閲覧。 
  7. ^ Just how real are reality TV shows? - Shows may exist in a middle ground – not fully scripted nor completely true”. MSNBC (2009年4月14日). 6.26 2013閲覧。
  8. ^ クリスティン・カヴァラリが暴露、「The Hills」はヤラセ ELLE, 2012/12/05
  9. ^ Holland, Roger (June 19, 2006). “Hell's Kitchen review”. PopMatters. http://www.popmatters.com/tv/reviews/h/hells-kitchen-060619.shtml. 
  10. ^ オランダのテレビ局、臓器移植への関心喚起のため視聴者を1年間欺く - AFP BB, 2007年06月02日
  11. ^ 'Realityis Not Enough':The Politics of Arab Reality TV
  12. ^ A television show challenges the authorities/Economist.com
  13. ^ a b c 仏人気リアリティー番組で2人目の死者、国内に衝撃広がる”. AFP通信 (2013年4月3日). 2020年5月26日閲覧。
  14. ^ 英トーク番組でうそ発見器にかけられた男性が死亡 高まる番組批判”. BBC News (2019年5月15日). 2020年5月26日閲覧。
  15. ^ 海外でも30名以上が自殺 木村花を追い詰めた「リアリティショー」番組作りに問題はなかったのか”. 週刊新潮 (2020年5月25日). 2020年5月26日閲覧。
  16. ^ a b c d e f 切り売りされる「素の自分」 リアリティー番組の危うさ”. 朝日新聞 (2020年5月25日). 2020年5月26日閲覧。
  17. ^ a b SNS中傷 イギリスの番組でも出演者自殺相次ぐ”. NHKニュース (2020年5月27日). 2020年5月27日閲覧。
  18. ^ Frithiof, Lotta (2010年12月14日). “Livet efter dokusåpan”. Upsala Nya Tidning. 2020年6月7日閲覧。
  19. ^ 3人が自死した英リアリティ番組参加者、誹謗中傷への苦悩と制作側へのサポート求めていた”. フロントロウ (2020年5月26日). 2020年5月26日閲覧。
  20. ^ 韓国お見合い番組『チャク』の悲劇…「放送されたら韓国で生きていけない」(1) 中央日報日本語版 2014年03月06日
  21. ^ 競争と伝統で板挟み「自殺大国」韓国の憂鬱 ニューズウィーク日本版 2014年3月25日号
  22. ^ a b 木村花さん出演の「テラスハウス」打ち切り、公式サイトで発表「制作を中止する事を決定」”. スポーツニッポン (2020年5月27日). 2020年5月29日閲覧。
  23. ^ テラハ・木村花さん急逝、現場に問う不幸の元凶”. 東洋経済新報. p. 3 (2020年5月25日). 2020年5月28日閲覧。
  24. ^ ABEMA、出演者向け相談窓口を設置 SNSでの誹謗中傷に調査・法的手続き”. 福島民友新聞 (2020年5月27日). 2020年5月27日閲覧。
  25. ^ フジテレビ、「テラスハウス」打ち切り 木村花さん急死で”. 毎日新聞 (2020年5月27日). 2020年5月27日閲覧。
  26. ^ 「テラスハウス」打ち切り フジ、木村さん死去受け決定”. 朝日新聞 (2020年5月27日). 2020年5月27日閲覧。


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