ランダム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/02 04:42 UTC 版)
日本工業規格
日本工業規格では、「集会の要素をランダムな順序に並べる過程。母集団が1からnの自然数から成るとき,n!通りの順序が等しい確率で選ばれるとき,その選ばれた順序はランダムな順序とよばれる。」とランダム化を定義している[12]。
政治
選挙の投票結果が引き分けになった場合に、当選者を決定するための公平な方法として、くじ引きなどのランダム選択が行われることがある[13]。
政治でのランダム性の使用は非常に古い。古代のアテネでは、公職者は希望する市民の中からくじ引きで選出されたため、投票は行われなかった。
日本では室町幕府6代将軍・足利義教がくじ引きによって選出された例として知られる。
ランダム性と宗教
過去と未来の全ての出来事を知っている全能の神によって宇宙が創造されたというような、いくつかの宗教における決定論的な考え方と、ランダム性は矛盾するとみなすことができる。宇宙が目的を持っているとするなら、偶然性は不可能であるとみなすことができる。これは、無作為な突然変異の結果であるという、進化に対する宗教的反対の根拠の一つである。
ヒンズー教と仏教の哲学は、業や因果という概念に反映されているように、いかなる出来事もそれ以前の出来事の結果であるとしており、偶然性のある出来事や、最初の出来事というものは存在しない。
いくつかの宗教では、乱数器として認識される手続きが占いに使用される。おみくじは、神の意思を知る手段としてくじを引くものである。
応用
数学的、政治的、社会的、宗教的な用途の大部分で、ランダム性はその本来の公正さとバイアスの排除のために使用される。
- 政治
- アテナイの民主主義はイソノミア(政治的権利の平等)の概念に基づいており、アテナイを運営していた支配委員会の地位が公平に配分されることを確実にするために、複雑な配当機を使用した。くじ引きによる公職者の決定は、現在、アングロサクソンの法律制度における陪審員の選定や、徴兵者の選定など、ランダム化によって「公平性」を近似している状況に限定されている。
- ゲーム
- 乱数は、ギャンブルのために最初に研究され、サイコロ、トランプ、ルーレットなどの多くのランダム化デバイスがギャンブルで使用するために開発された。乱数を公平に生成する能力は、電子ギャンブルにとって不可欠であり、それを作成するために使用される方法は、通常、政府のゲーム規制委員会によって規制されている。宝くじの当選者の決定には、ランダムなくじ引きが使用される。
- スポーツ
- アメリカンフットボールなどのいくつかのスポーツでは、コイントスを使用してゲームの開始条件を選択したり、プレーオフでシード権を獲得するチームをランダムに選択したりする。NBAでは、NBAドラフトでの指名順位の上位をプレーオフに進出できなかったチームによる抽選で決定する。
- 数学
- 乱数は、世論調査のためのサンプリングや、品質管理システムでの統計的サンプリングなどでも使用される。モンテカルロ法や遺伝的アルゴリズムのように、いくつかの種類の問題の計算ソリューションは乱数を広範囲に使用する。
- 医学
- 臨床試験において、偏りを減らすためにランダムな割り振りが使用される(ランダム化比較試験)。
- 宗教
- ランダムであることを意図したものではないが、おみくじのような様々な形の占いは、ランダムな事象が神の意志によるものとして行われるものである。
生成
システム内で(明らかに)ランダムな挙動の原因となる以下の3つのメカニズムが存在することが、一般に認められている。
- 環境によるランダム性(ブラウン運動、ハードウェア乱数生成器など)
- 初期状態によるランダム性。この側面はカオス理論によって研究され、初期状態のわずかな変化に対して非常に敏感なシステム(パチンコやサイコロなど)で観察される。
- システムによって内因的に生成されるランダム性。これは疑似乱数とも呼ばれ、疑似乱数ジェネレータで使用される。算術またはセルオートマトンに基づいた、擬似乱数の生成アルゴリズムは数多くある。システムの動作は、乱数シードの状態と使用されているアルゴリズムを知ることで判断できる。これらの方法は、環境から「真の」ランダム性を取得するよりも迅速である。
計算機による乱数発生器が出現する以前、(統計上重要な)十分な乱数を大量に生成するには、多くの作業が必要だった。結果は時々収集され、乱数表として配布された。
注釈
- ^ 『オックスフォード英語辞典』では"random"を"Having no definite aim or purpose; not sent or guided in a particular direction; made, done, occurring, etc., without method or conscious choice; haphazard."(明確な目的や目的がない。特定の方向に送信されたり誘導されたりすることがない。方法や意識的な選択なしに、作成、完了、発生すること。行き当たりばったり。)と定義している。
- ^ 直訳すると「ランダム変数」だが、日本語の術語では「確率変数」という。
出典
- ^ Third Workshop on Monte Carlo Methods, Jun Liu, Professor of Statistics, Harvard University
- ^ Handbook to life in ancient Rome by Lesley Adkins 1998 ISBN 0-19-512332-8 page 279
- ^ Religions of the ancient world by Sarah Iles Johnston 2004 ISBN 0-674-01517-7 page 370
- ^ Annotated readings in the history of statistics by Herbert Aron David, 2001 ISBN 0-387-98844-0 page 115. Note that the 1866 edition of Venn's book (on Google books) does not include this chapter.
- ^ Nature.com in Bell's aspect experiment: Nature
- ^ "Each nucleus decays spontaneously, at random, in accordance with the blind workings of chance." Q for Quantum, John Gribbin
- ^ Longo, Giuseppe; Montévil, Maël; Kauffman, Stuart (2012-01-01). “No Entailing Laws, but Enablement in the Evolution of the Biosphere”. Proceedings of the 14th Annual Conference Companion on Genetic and Evolutionary Computation. GECCO '12 (New York, NY, USA: ACM): 1379–1392. doi:10.1145/2330784.2330946. ISBN 9781450311786 .
- ^ Longo, Giuseppe; Montévil, Maël (2013-10-01). “Extended criticality, phase spaces and enablement in biology”. Chaos, Solitons & Fractals. Emergent Critical Brain Dynamics 55: 64–79. doi:10.1016/j.chaos.2013.03.008 .
- ^ Breathnach, A. S. (1982). “A long-term hypopigmentary effect of thorium-X on freckled skin”. British Journal of Dermatology 106 (1): 19–25. doi:10.1111/j.1365-2133.1982.tb00897.x. PMID 7059501. "The distribution of freckles seems entirely random, and not associated with any other obviously punctuate anatomical or physiological feature of skin."
- ^ Yongge Wang: Randomness and Complexity. PhD Thesis, 1996. http://webpages.uncc.edu/yonwang/papers/thesis.pdf
- ^ “Are the digits of pi random? researcher may hold the key”. Lbl.gov (2001年7月23日). 2012年7月27日閲覧。
- ^ JIS Z 8101-1 : 1999 統計 − 用語と記号 − 第1部:確率及び一般統計用語 2.65 ランダム化, 日本規格協会
- ^ Municipal Elections Act (Ontario, Canada) 1996, c. 32, Sched., s. 62 (3) : "If the recount indicates that two or more candidates who cannot both or all be declared elected to an office have received the same number of votes, the clerk shall choose the successful candidate or candidates by lot."
- ^ Terry Ritter, Randomness tests: a literature survey. ciphersbyritter.com
- ^ Pironio et.al, S.. “Random Numbers Certified by Bell's Theorem”. Nature .
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