ラルフ・ネーダー 消費者運動

ラルフ・ネーダー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/27 06:06 UTC 版)

消費者運動

ともあれアメリカ政府はネーダーの本を受ける形で自動車と交通の安全に関する法律や部署を設置し、ネーダーの告発は勝利に終わった。彼はその後も自動車の安全を監視する組織を運営している。さらにネーダーの運動に刺激された幾百の若い消費者運動家たち(ネーダーズ・レイダーズ、「ネーダー突撃隊」)とともにさまざまな方面の消費者保護運動に携わり、政府や産業界の環境、福祉、健康、政治腐敗などの問題点を次々に告発した。1971年にはこれらを傘下におさめる上部組織であるNGO「パブリック・シチズン」を設立、現在では15万人の会員を擁し政府や議会、産業界などを調査・監視しているほか、国民の健康を守ったり消費者の権利を保障したりするためのさまざまな法案を通したり政府機関の設立に寄与した。

大統領選への立候補

2000年アメリカ合衆国大統領選挙

1996年に続いてネーダーはウィノナ・ラデューク副大統領候補と共に選挙戦を戦った。人々の中には、ネーダーのような独立系候補や第三の政党が、民主・共和両党による大統領候補討論会から除外されているために彼らは疎外されて選挙戦の支援を受け難くなっていると考える者も居り、このことから市民討論会が開催された。

その一方で、共和党ジョージ・W・ブッシュ民主党アル・ゴアが大接戦を繰り広げていた為、民主党支持者の中には勝利の目が無いのにも拘らず立候補していたネーダーを非難する者も存在した。ネーダーは、選挙費用の公費援助が受けられる得票率5%を目標にした。

結果、ゴアへの支持者の流出もあり、実際のネーダーの全国得票率は2.7%に留まった。しかし、投票方式問題が発生したフロリダ州ニューハンプシャー州では両候補の得票差を彼の得票が上回るという事態が発生した。専門家はこの事態がブッシュの勝利に対して大きな影響を及ぼしたと見ている。

こういった状況を避ける為、予め民主党は、接戦の州では「“ネーダーへの投票”=“ブッシュへの投票”である」というキャンペーンを張り、また、有権者の間では、ブッシュの勝利が磐石な州のゴア支持者がネーダーに投票する見返りに接戦の州のネーダー支持者がゴアへ投票するという行動も見られた。

このように、選挙戦のキャスティング・ボートを握っていたネーダー陣営は、民主党からの批判に対し、「地元テネシー州で勝てば自力でゴアは勝利できたのにゴア陣営は敗戦の責任をこちらになすり付けている」と反論し、さらに、上記の「戦略投票」に対しては良心に従って投票するよう求めていた。

2004年アメリカ合衆国大統領選挙

この選挙戦においては、2003年12月に予めネーダーは緑の党の候補としては立候補しないと表明していた。2000年の結果も受けて、民主党はネーダーの立候補を阻止しようと動き、ジョン・ケリー候補自身も個人的に会談を行ったがネーダーは拒否した。そして、ネーダーは2004年6月に副大統領候補をペーター・ミゲル・カメーヨとすると表明した。彼のスタンスは、緑の党の支持は受けても良いけれども公認を求めるつもりは無いというものだったが、緑の党は党大会で彼への支持を拒否し、ディビッド・コブを擁立した。一方、共和党はネーダーの立候補で有利になると見て、密かに立候補を支援した[2]。前回に比べて大きく得票を減らし、456,356票、約0.4%の得票率にとどまった。

2008年アメリカ合衆国大統領選挙

2008年2月、テレビ番組で無所属による立候補を表明した。2000年、2004年に続き民主・共和両党とは別の第3候補として挑戦する意向を表明した。緑の党の指名は得られず、党はシンシア・マッキニーを擁立した。ネーダーが当選する可能性はゼロと見られるが、消費者保護や環境対策を前面に出したネーダーの支持層は民主党の支持基盤と重なるため、同党候補の票を浸食する可能性が指摘された。

得票は736,804票、得票率約0.56%であった。民主党のオバマが大勝したため、結果的にネーダーの影響力は僅かなものに留まった。

エピソード

倹約家でしかも反商業主義者であるネーダーは、1959年に除隊する際に、陸軍の交易所で1ダース(72ドル分)と、軍用靴下4ダース(16.80ドル分)を買った。ネーダーはこれらを1980年代半ばまで使い続けていた[3]


  1. ^ 保坂修司 (2020年2月7日). “ブティジェッジ、あるいはブー・ダジャージュ、ブッダジャージュ、アブー・ダジャージ......に注目する理由”. Newsweek日本版. 2020年2月17日閲覧。
  2. ^ 毎日新聞2004年7月22日号「04米大統領選:再び旋風起こすかネーダー氏」
  3. ^ 『Ralph Nader: A Biography』,Patricia Cronin Marcello著,Greenwood Pub Group,2004.


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