ラテン語 発音

ラテン語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/16 03:34 UTC 版)

発音

ヨーロッパの各地で長期にわたって用いられていたため、国や地域、時代によって発音は異なるが、現代には大きく分けて古典式イタリア式ドイツ式の3つがある。イタリア式には、現代イタリア語の原則にのっとって発音するものと、それをもとにした教会式(ローマ式)の2つがある。後者は、フランスのソレム修道院で提唱された発音法であり、ピウス10世が推奨したことで広まった。

日本の大学で学ぶ発音は、原則として古典式である。一方、ラテン語の楽曲の歌唱においてはイタリア式、ドイツ式が主流である。どのように異なるか、いくつか例を示す(実際には、地域や人によって発音の揺れがある)。

発音 古典式 イタリア式 ドイツ式
ae (æ) [ae][注釈 5] [e] [ɛ]
oe (œ) [oe][注釈 6] [e] [ø], [œ]
c [k] a, o, u の前では [k]、ae, e, i の前では [tʃ] a, o, u の前では [k]、e, i の前では [ts]
gn [gn] [ɲ] [gn]
s [s] [s]、母音間で [z][注釈 7] [s][注釈 8]
sc [sk] a, o, u の前では [sk]、e, i の前では [ʃ] a, o, u の前では [sk]、e, i の前では [sts]
z [z] [dz] [ts]
三ヶ尻正『ミサ曲・ラテン語・教会音楽ハンドブック—ミサとは・歴史・発音・名曲選』(ショパン、2001年)を元に作成。cとgnを後にWikipediaドイツ語版などを基に追記。

上の3つの方式に加えて、文章レベルのラテン語まではいかないが単語およびフレーズレベルでは英語式が広まっている。もともと英語でetc.その他)がエトセトラ(et cetera、英語ではe、i、yの前のcはsと発音)、Et tu Bruteブルータス、お前もか)がエト・テュー・ブリュータと発音されるなどの延長で [2]、英語が国際語になった現在特に科学用語に英語式発音が多い。例えば天文学関係では星座名は英語文章内でもラテン語を使い、恒星名もギリシャ文字名にラテン語星座名の属格所有格)を添えるので、ラテン語が英語式に発音される。

日本語では古典式またはドイツの音をカタカナ表記するのが慣習となっている。ただし、古典式によっていると思われる場合でも、母音の長短の別を表記しない場合がほとんどである。 その一方、宗教音楽の題名を表記する際は、イタリア式に近い表記が多い。例えば、Agnus DeiAgnus は、古典式とドイツ式では「アグヌス」と発音するが、イタリア式では「アニュス」(厳密には、gn は [ɲ] という鼻音)となる。Magnificat も「マグニフィカト」ではなく、「マニフィカト」と表記される傾向が強い。

アクセント

前述の通り、アクセントは時代によりピッチアクセントから強勢アクセントへ移行したが、単語のどの位置にアクセントが置かれるかについては一定の法則を持つ。

その法則は以下の通りである。

  1. 後ろから二番目の音節が閉音節である場合、および、長母音もしくは二重母音を含む音節である場合、アクセントは後ろから二番目の音節に置かれる。
  2. 上記以外の場合、後ろから三番目の音節に置かれる。但し、二音節しか持たない単語の場合は後ろから二番目の音節に置かれる。

1.の例:puella 少女(閉音節)。mertor 商人(長母音)。

2.の例:īnsula 島。dominus 主人。


注釈

  1. ^ 特に植物学の論文においては2011年12月までラテン語で記述することが正式発表の要件であった[1]国際藻類・菌類・植物命名規約
  2. ^ 一例を挙げれば「cogito ergo sum」の発音により忠実なカナ表記は「コーギトー・エルゴー・スム」であるが、三省堂刊大辞林には「コギトエルゴスム」の項目に掲載されている。
  3. ^ a b 「Z」はラテン語に不要だがギリシア語の [z] の音を表す場合には必要だった。
  4. ^ 現代のロマンス諸語とは違い、[s][tʃ][ʒ][dʒ] などのように発音されることはなかった。
  5. ^ 欧米で[ai]とすることが多い。
  6. ^ 欧米で[ɔi]とすることが多い。
  7. ^ 教会式ではKyrie eleison(主よ憐れみ給え、もともとギリシャ語)は s [s]
  8. ^ 母音間、あるいは単に s + 母音 の場合に [z] と発音することもある。
  9. ^ かつて日産ディーゼル(現・UDトラックス)が製造・販売していた大型トラックのレゾナの綴りもRESONAであるが、こちらは英語resonanceが名称の由来である(ただしresonance自体はラテン語のresono(resonaの原型)に由来する)。

出典

  1. ^ 仲田崇志、永益英敏、大橋広好第4回「第18回国際植物学会議(メルボルン)で変更された発表の要件:電子発表の意味するところ(Changes to publication requirements made at the XVIII International Botanical Congress in Melbourne: What does e-publication mean for you. Knapp, S., McNeill, J. & Turland, N.J. Taxon 60: 1498-1501, 2011)」 の紹介と日本語訳 (PDF) 」 『日本微生物資源学会誌』第27巻第2号、日本微生物資源学会、2011年12月、2021年3月7日閲覧。
  2. ^ Merriam-Webster's Collegiate Dictionary, Tenth Edition (1999) "Foreign Words and Phrases"
  3. ^ 松平 & 国原 1992, pp. 31.
  4. ^ 松平 & 国原 1992, pp. 21–22.
  5. ^ 松平 & 国原 1992, pp. 33.
  6. ^ 松平 & 国原 1992, pp. 16–17.





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