ラジオ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/03 00:11 UTC 版)
概要
もともとの意味は冒頭で示した定義文のように「電磁波による無線方式の送受信」全般を意味する言葉である[2]。しかし、日本において一般的には、電波による音声放送(ラジオ放送)とその受信機(ラジオ放送受信機)を指して使っていることが多い[2]。
当記事ではいずれも扱う。つまり、音響(音声や音楽など)を電磁波の信号に変換し無線でつまり送信側と受信側を電線で繋いだりせずに信号を送信・受信する技術、その技術を用いた放送、その放送を受信するための装置、いずれも扱う。
- 電磁波による無線方式の送受信技術
- ラジオ放送
いくつかの方式があり、最も歴史の長いのは振幅変調による中波放送(AM放送)で、基本的な方式は100年間ほど変わらなかったが、同じく振幅変調方式であるが波長の短い短波放送(SW放送)も(国境を越えるような放送で)使われ、さらに1937年には周波数変調方式のFM放送も登場し、地域放送などで活用されるようになった。→#ラジオ放送の種類。
- ラジオ放送受信機
ラジオ放送の種類に応じて、AMラジオ(- 受信機)、SWラジオ(短波ラジオ受信機)、FMラジオ(- 受信機)などがあり、複数の方式を受信できるマルチバンド受信機もある。→#ラジオ放送受信機の種類
- 語源や表記
無線電信の英語表記であるradiotelegraphyの短縮語を語源とする[3]。
カタカナでは「レディオ」「レイディオ」と表記される場合もあり、戦前はラヂオなどと表記した[注 1]。
1950年(昭和25年)施行の日本の電波法では、当記事で扱っていること(無線で音声を送・受信すること)は「無線電話」と呼んでいる。古くは、現在のラジオ放送の前身にあたるものを「放送無線電話」などとも呼んだ[4]。
ラジオ放送の種類
- デジタル変調
- 衛星デジタル放送や地上デジタル放送ではテレビジョン放送のみでなく、ラジオ放送にも用いられる。
極超短波以上を用いる地上波放送は、電波の性質上不適当であるために過去に実施されていたものも含めてどの国でも行われていない。
- ラジオ放送と日本の法規
-
- 日本の電波法では「電話」という用語で変調方式なども含めて指している→電話 (電波型式)
注釈
- ^ 戦前は多く用いられた。日本放送協会(NHK)編『放送五十年史 資料編』(日本放送出版協会、1977年3月10日発行)p.686によれば、1941年(昭和16年)4月1日、文部省の用語・用字統一方針に従い、NHKでは「ラヂオ」を「ラジオ」、「スタヂオ」を「スタジオ」表記に改定した、としている。日本放送出版協会発行の『ラヂオ年鑑』は、昭和16年(1941年)版 以前は「ラヂオ年鑑」表記であったが、昭和17年(1942年)版 からは「ラジオ年鑑」表記に改められている。
『朝日新聞』では1941年4月1日夕刊2面に「ラヂオはラジオに 国民学校教科書も国語音へ」という見出しの記事が掲載されて以降「ラジオ」という表記が増えたという(『朝日新聞』2015年2月5日朝刊、10面)。 - ^ 振幅変調に比べ占有周波数帯幅が10倍必要なので超短波未満での運用はきわめて困難である。
- ^ FM東海が動き出したのが1958年末、NHK-FMが動き出したのが1969年。
- ^ 当時は火花放電による電波。
- ^ コヒーラは電波の有無を検出するだけで音声を取り出せない。
- ^ 1912年12月に施行された無線通信取締法(Radio Act of 1912)により、無線をするにはオペレーター資格試験と無線局の免許状が必要となり、1905年から1911年頃までアメリカで発売されていた大衆無線機テリムコは、無資格・無免許では使えなくなった。
- ^ アマチュア無線の送信解禁は同年10月1日。
- ^ アマチュア無線家は1,500kHz以上の任意の周波数を申請し、許可を受けることができた。許可される最下限の1,500kHzに人気が集中し大変混雑していたところへ、無線電話も参入したため1,500kHzは大混信となった。
- ^ 日曜午前は教会に出向けないリスナーのために、KDKAなど多くの局が教会から生中継し、人気番組となっていた。
- ^ この思想は現在も放送法の第15条に残っている。
- ^ ただし、FM東海は当時実用化試験局として運用されており、民間企業によるFM放送は1969年開局の愛知音楽エフエム放送(現在のエフエム愛知)が最初となる。また放送免許ではないが1953年から長岡教育放送が超短波放送を実施していた。
- ^ 但し、大都市圏の一部の県域ラジオ局では当初から近隣のエリア外でも無料配信を実施している。
- ^ 作:内村直也、作曲及び音楽指揮:芥川也寸志、演奏:NHKサロン・アンサンブル、演出:山口淳、出演:尾崎勝子、須永宏、佐藤美恵子、名古屋章、ほか。
- ^ 各放送局のスピーカーを聴き手の左・中央・右にそれぞれ置いて行うもの。
- ^ スピーカー位置 左:KR、中央:LF、右:QR
- ^ スピーカー位置 左:LF、中央:KR、右:QR
- ^ スピーカー位置 左:LF、中央:QR、右:KR
出典
- ^ a b c Merriam Webster, radio (noun 名詞)
- ^ a b 『日本大百科全書』【ラジオ】
- ^ 『広辞苑』「ラジオ」
- ^ 精選版 日本国語大辞典【放送無線電話】[1]
- ^ ラジコム「今更聞けない!AMとFMの違いとは?」[2]
- ^ “長波帯で受信出来るもの”. 2022年2月9日閲覧。
- ^ “大音量&高音質!便利なLEDライトもついたステレオホームラジオ”. tlet.co.jp. tlet.co.jp. 2021年6月20日閲覧。
- ^ “短波ラジオ”. www.ando-catalogue.com. 2019年1月24日閲覧。
- ^ “Tecsun pl-660”. www.tecsunradios.com.au. 2019年3月13日閲覧。
- ^ “Xhdata D-808”. swl.net.ru. 2019年3月13日閲覧。
- ^ “RADIWOW R-108”. radiwow.com. 2019年3月13日閲覧。
- ^ “ER-C57WR”. www.elpa.co.jp (2019年3月11日). 2019年3月12日閲覧。
- ^ Thomas Matthew "Home-Made Coherers" Wireless Telegraphy For Amateurs and Students 1906 Thomas M.ST.JOHN pp125-136
- ^ T.E. O'donnell "The Amateur's Workshop:An Experimental Wireless Telegraph Outfit" Electrician and Mechanic Aug.1907 Sampson Publishing Co. pp41-42
- ^ V.H. Laughter "Wireless Telegraphy Made Simple - Part 1: Construction of a Simple Wireless Telegraph Set" Popular Electricity May 1908 Popular Electricity Publishing Co. pp32-36
- ^ James D. Thomas "A Silicon Detector" Modern Electrics Dec.1909 Modern Electrics Publication pp426-427
- ^ C. Austin ”The Romance of the Radio Telephone” Radio Broadcast May,1922 p16
- ^ 栄谷平八郎 『ラジオ発展史』 1947 通信教育振興会 p48
- ^ S.R.Winters The Passing of "NOF" As a Broadcasting Station Radio News Mar.1923 p1623
- ^ "Regulations Governing General and Restricted Amateur Radio Stations and Amateur Operators" Radio Service Bulletin(No.75) July.2,1923 Department of Commerce p16
- ^ a b c d e f g 高木利弘『スマートTVと動画ビジネス 次世代メディアをデザインするのは誰か?』2012年、インプレスジャパン、205頁
- ^ a b 高木利弘『スマートTVと動画ビジネス 次世代メディアをデザインするのは誰か?』2012年、インプレスジャパン、206頁
- ^ a b c d 溝尻真也 飯田豊(編)「声を伝える/技術を楽しむ」『メディア技術史:デジタル社会の系譜と行方』 改訂版第1刷 北樹出版 2017 pp.76 - 81.
- ^ 『学研まんがでよくわかるシリーズ94 正露丸のひみつ』(2014年3月31日、学研パブリッシングコミュニケーション発行)62ページより。
- ^ a b c 日本放送史 日本放送協会編
- ^ a b c d e f g h i “放送90年シンポジウム「ラジオは未来の夢を見る」”. 日本放送協会. 2019年9月10日閲覧。
- ^ 1932年5月1日、放送協会は第1回全国ラジオ調査を実施した。嗜好番組の1位は浪花節57%、以下講談・落語・人情噺・義太夫・民謡など。日本放送史 日本放送協会編。
- ^ NHK広島放送局開局80年ラジオドラマ「放送を続けよ ―広島中央放送局の8月6日―」
- ^ 白井久夫「幻の声 ―NHK広島8月6日―」岩波新書
- ^ 「新たにラジオ東京 新聞関係一本で申請」『朝日新聞』昭和26年1月11日
- ^ 中村禎昭、「中波放送用周波数の変更」『テレビジョン学会誌』 1978年 32巻 10号 p.902 - 904, NAID 110003697789, doi:10.3169/itej1978.32.902。
- ^ “IPラジオ「radiko」好反響、初日聴取人数105万人、急きょシステム増強”. 文化通信.com. (2010年3月17日). オリジナルの2010年3月22日時点におけるアーカイブ。 2022年12月11日閲覧。
- ^ “AMステレオ終了のお知らせ”. www.mbs1179.com. 2019年1月22日閲覧。
- ^ a b c “全国の民放AMラジオ、令和10年までにFM転換”. 産経ニュース (産経デジタル). (2021年6月15日) 2021年6月15日閲覧。
- ^ a b c d “民間AM局の大半、7年後までにFM化へ 対応端末必要”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2021年6月15日) 2021年6月15日閲覧。
- ^ a b 日本放送協会放送文化調査研究所放送情報調査部『NHK年鑑'54』日本放送出版協会、1954年、191頁。
- ^ 日本放送協会放送文化調査研究所放送情報調査部『NHK年鑑'54』日本放送出版協会、1954年、192頁。
- ^ 日本放送協会総合放送文化研究所放送史編修部『NHK年鑑'54』日本放送出版協会、1954年、28,31頁。
- ^ 日本放送協会総合放送文化研究所放送史編修部『NHK年鑑'55』日本放送出版協会、1955年、204,235頁。
- ^ 朝日新聞 1953年8月23日 朝刊 P.5 ラジオ・プログラム 番組表 及び「ききもの『音のロケに大苦労 立体放送 内村作の「死んだにわとり」』」(朝日新聞クロスサーチにて閲覧)
- ^ 日本放送協会総合放送文化研究所放送史編修部『NHK年鑑'56』日本放送出版協会、1956年、131,132頁。
- ^ 宮坂榮一「放送の音声方式 : アナログ放送からディジタル放送まで」『日本音響学会誌 57巻9号』 日本音響学会、2001年9月、p.597-603、doi:10.20697/jasj.57.9_597
- ^ 東京放送 社史編集室『東京放送のあゆみ』東京放送、1965年5月10日、583頁。
- ^ 朝日新聞 1954年11月27日 朝刊P.5 ラジオ・プログラム 番組表、「聴きもの見もの」番組紹介欄 及び 文化放送(JOQR)番組広告「三元立体放送」(朝日新聞クロスサーチにて閲覧)
- ^ 日本放送協会総合放送文化研究所放送史編修部『NHK年鑑'56』日本放送出版協会、1956年、131,132,274,275頁。
- ^ 朝日新聞 1958年9月15日 朝刊P.6 ラジオ・プログラム 番組表 及び「ききものみもの」番組紹介欄(朝日新聞クロスサーチにて閲覧)
- ^ 日本放送協会総合放送文化研究所放送史編修部『NHK年鑑'60』日本放送出版協会、1960年、351,352頁。
- ^ 朝日新聞 1959年11月9日 朝刊P.5 ラジオ・テレビ欄(朝日新聞クロスサーチにて閲覧)
- ^ 朝日新聞 1964年6月19日 朝刊P.7 ラジオ・テレビ欄(朝日新聞クロスサーチにて閲覧)
- ^ 朝日新聞 1965年10月24日 朝刊P.9 ラジオ・テレビ欄(朝日新聞クロスサーチにて閲覧)
- ^ 日本放送協会総合放送文化研究所放送史編修部『NHK年鑑'64』日本放送出版協会、1964年、206頁。
- ^ 番組制作における多様な雇用形態 -中堅ラジオ局の事例を中心に- - 2008年5月 久本憲夫(京都大学大学院経済学研究科 教授)、川島広明(日本民間放送労働組合連合会 近畿地方連合会 執行委員)
- ^ 片手にラヂヲ♪Kraftwerk
- ^ 明石政紀『ドイツのロック音楽 またはカン、ファウスト、クラフトワーク』 p.139。
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