ヨウ素 名称

ヨウ素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/20 03:07 UTC 版)

名称

ヨード(沃度)ともいう。英語では iodine と呼ばれている。

発見史

ベルナール・クールトアによって1811年に海藻灰から発見された[2]。彼の友人シャルル・ベルナール・デゾルム(fr:Charles-Bernard Desormes)とニコラ・クレマン (fr:Nicolas Clément (chimiste)) がジョゼフ・ルイ・ゲイ=リュサックアンドレ=マリ・アンペールにサンプルを送った上で1813年11月29日に発表した。

ゲイ=リュサックは12月6日にこの物質が元素もしくは酸化物であると発表した。アンペールからサンプルを提供されたハンフリー・デーヴィーは実験によりこの物質が塩素の性質に類似することを発見し、王立協会宛の12月10日付の手紙で、この物質が元素であることを発表した。

地球上での分布

現在の地球上には 8.7 × 1012 トンが存在し、その約70%が海底堆積物に含まれていると考えられている[3]

地球表層でのヨウ素の分布[4]
地球上での分布
海水 7.0×1010t 0.8%
海底堆積物 5.9×1012t 8.2%
海洋地殻 5.4×1010t 0.6%
堆積岩 2.4×1012t 27.7%
火成岩及び変成岩 2.3×1011t 2.7%

地球が誕生してから大気中の遊離酸素が増加するまでの期間のヨウ素は -1価のヨウ化物イオン()として存在していたと考えられている。その後、大気中の遊離酸素濃度が増加すると有機ヨウ素や +5価のヨウ素酸イオン()として存在している。

海洋と大気中には揮発性有機ヨウ素(ヨードメタン )として広く分布している[5]が、どの様なバクテリアが関わっているのかは十分に解明されていない[4][5]

用途

分析化学

ヨウ素溶液にデンプンを加えると、ヨウ素デンプン反応を起こし藍色を呈する(デンプンは微量でも鋭敏に反応する。ヨウ素デンプン反応を参照)。この反応はヨウ素滴定(ヨードメトリー)に利用される。また、小学校中学校理科実験においては、デンプンを簡易的に検出できる試薬として多用されている。分析化学では、脂質などの有機化合物に含まれる炭素-炭素二重結合の量の指標としてヨウ素価が用いられる。また試料中の水分量を決定するための方法としてカール・フィッシャー滴定が知られている。

消毒薬

ヨウ素は消毒薬としてもよく用いられる。ヨウ素のアルコール溶液がヨードチンキである。ヨウ素とヨウ化カリウムのグリセリン溶液がルゴール液である。ヨウ素とポリビニルピロリドンの錯化合物はポビドンヨードとして知られる。




  1. ^ Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds Archived 2012年1月12日, at the Wayback Machine., in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
  2. ^ 桜井弘 『元素111の新知識』 講談社、1998年、240頁。ISBN 4-06-257192-7 
  3. ^ 村松康行、ヨウ素を通して見た地球・環境・生物 (PDF) Isotope News 2005/5
  4. ^ a b 岡部宣章、「海水・地下流体におけるヨウ素の化学形態及び同位体比に関する地球化学的研究」 学習院大学大学院 博士論文 甲第244号、hdl:10959/3692
  5. ^ a b 天知誠吾、ヨウ素の地球化学と微生物 : ヨウ素の揮発、濃縮、酸化、還元、吸着、脱ハロゲン化反応を触媒するバクテリア 地球化学 Vol.47 (2013) No.4 p.209-219, doi:10.14934/chikyukagaku.47.209
  6. ^ a b 宮井潔、ヨウ素と甲状腺 栄養学雑誌 Vol.51 (1993) No.4 P.195-206, doi:10.5264/eiyogakuzashi.51.195
  7. ^ 「日本人の食事摂取基準」(2010年版)6.2.5 ヨウ素 (PDF) 厚生労働省
  8. ^ Iodine, Dietary Reference Intakes for Vitamin A, Vitamin K, Arsenic, Boron, Chromium, Copper, Iodine, Iron, Manganese, Molybdenum, Nickel, Silicon, Vanadium, and Zinc
  9. ^ 布施 養善 「ヨウ素をめぐる医学的諸問題-日本人のヨウ素栄養の特異性」『Biomedical Research on Trace Elements』Vol.24 (2013) No.3 p.117-152
  10. ^ a b 食品成分ランキング”. 2016年3月2日閲覧。
  11. ^ a b 日本で市販されている食品中のヨウ素含有量”. 日本衛生学雑誌. p. 729 (2008年9月). 2016年3月4日閲覧。
  12. ^ Iodine”. 2016年3月2日閲覧。
  13. ^ 山田洋介 ヨウ素添加を義務付けている国(新刊JP) エキサイトニュース 2011年4月27日
  14. ^ 高濃度のヨウ素を含有する豆乳製品について (pdf)”. 食安監発0204第5号. 厚生労働省 (2000年2月4日). 2016年3月2日閲覧。
  15. ^ 昆布ヨウ素 豪で健康被害の集団提訴 MSN産経ニュース 2013年1月23日
  16. ^ 香港食物環境衛生署食物安全センター、「乳幼児用調製粉乳中のヨウ素」の専用ページを開設 (html)”. 食品安全総合情報システム (2012年8月10日). 2016年3月5日閲覧。
  17. ^ ヨウ素を含む消毒剤などを飲んではいけません -インターネット等に流れている根拠のない情報に注意 (PDF) 放射線医学総合研究所
  18. ^ 「安定ヨウ素剤予防服用の考え方と実際」
  19. ^ 世界保健機関 (2011年3月31日). “水道水汚染について (pdf)”. 2011年4月4日閲覧。
  20. ^ 世界保健機関 (2004年). “WHO飲料水水質ガイドライン (pdf)”. 2011年3月29日閲覧。
  21. ^ 厚生労働省 (2011年3月17日). “放射能汚染された食品の取り扱いについて (pdf)”. 2011年3月29日閲覧。
  22. ^ 飲食物摂取制限 (HTML)”. 原子力百科事典 (ATOMICA). 財団法人 高度情報科学技術研究機構 (2010年12月). 2011年4月4日閲覧。
  23. ^ 亀井玄人、茂原ガス田の地下水に含まれるヨウ素の起源と挙動 資源地質 Vol.51 (2001) No.2 P.145-151, doi:10.11456/shigenchishitsu1992.51.145
  24. ^ Mineral Commodity Summaries
  25. ^ Commodity Trade Statistics Database
  26. ^ 経済産業省生産動態統計・生産・出荷・在庫統計 Archived 2011年5月22日, at the Wayback Machine. 平成20年年計による
  27. ^ ヨードについて - 資源大国 ニッポン - 関東天然瓦斯開発株式会社
  28. ^ 千葉大、ヨウ素製品の研究拠点を新設 高付加価値化へ産官学連携『日本経済新聞』ニュースサイト(2017年1月12日)2018年3月14日閲覧
  29. ^ 千葉大、ヨウ素の高度利用へ4社と連携『日本経済新聞』ニュースサイト(2018年2月8日)2018年3月14日閲覧
  30. ^ アイソトープニュース2002年12月号P7-11
  31. ^ 放医研ニュース2001年12月号P1-2
  32. ^ Earth and Planetary Science Letters 192(2001)583-593





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