ユーロ圏 対ユーロ固定通貨の非加盟国

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ユーロ圏

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/04 06:32 UTC 版)

対ユーロ固定通貨の非加盟国

カーボベルデカーボベルデ・エスクードはかつてポルトガル・エスクードと、ボスニア・ヘルツェゴビナコンヴェルティビルナ・マルカはドイツマルクと、フランスの旧植民地で使われている CFAフラン、コモロ・フランおよびフランスの太平洋地域の領土で使われている CFPフランはフランス・フランと、それぞれ相場が固定されていたが、現在はユーロと相場が固定されている。

批判

2016年7月にIMFの独立監査機関であるIndependent Evaluation Office (IEO)がレポートを公表し、IMFがユーロ構想に関して楽観的で表面だけの分析をしていたことが明らかになった。 共通通貨ユーロ導入に先立ち、IMFはユーロの利点を強調する傾向にあった[25]。 IMFのスタッフの中にはユーロは本質的に欠陥含みであると警告していたがそれらの声は押さえつけられ、IMF内部での白熱した議論の後にユーロを支持する見解が主流となった。 毎度のようにIMFは経常収支赤字膨張によるリスクを過小評価しており、ユーロ圏周辺国への資本流入とその急停止の危険性を無視していた。 ユーロ圏内での国際収支統計危機は存在しないものとみなされており、2007年の時点でもIMFはギリシャに関してエクスターナル・ファイナンシングが懸念事項だと考えていなかった[25]

EUとIMFがギリシャへの金銭支援とその交換条件としての緊縮財政政策の強要を行った時にも、ギリシャ経済の先行きについてのIMFの試算には非常に大きなエラーがあった。 IMFは財政乗数を0.5としていたが現実にはその5倍だっただろうと考えられている。現実のギリシャのGDPはIMFの予測値よりも25%低い値であり、失業率はIMFの予測値よりもはるかに高い値であった[25]

ノーベル賞経済学者ジェームズ・トービンは、ユーロ圏には金融政策財政政策共に大きな欠陥があることを指摘する[26]。 ユーロ圏の金融政策はECB主導で実施されるが、ECBは物価の安定のみを政策焦点とするために失業への対策が疎かになる。また、ユーロ加盟国はマーストリヒト条約安定・成長協定に従わなければならず、景気の良し悪しに関わらず各加盟国は財政赤字をGDPの3%以内に抑えなければならない。このため各加盟国は不況の際に十分な拡張的財政政策を行うことができない[26]

ノーベル賞経済学者ジョセフ・スティグリッツはユーロを悲劇的な過ちと形容した。その共通通貨は、政治統合も行わないまま、そして共通通貨が内包する本質的不備を熟考することもないまま始まった。EU側の人々は、単一通貨USドルを使うアメリカ合衆国という世界第一位の経済大国の成功をみて、それを真似すべきだと述べていた[27]

ユーロという単一通貨(共通通貨とは異なる)は、アメリカが主導で導入したものである[28]

独自の金融政策がとれないために、危機に陥ったユーロ圏加盟国は自国通貨を減価させる事もできなければ政策金利を下げる事もできない。拡張型財政政策も採れない。その結果として賃金低下と多くの失業が生じる。そしてこの賃金低下は企業側を喜ばせるものであった。ユーロ自体が新自由主義的な構想だったことは十分に明らかとなっている[27]。EU側はギリシャ危機を利用して構造改革を強要した。農業分野における改革としては、EU側はギリシャに対して新鮮なミルクの定義を変えるよう命じた。以前は4日経過したミルクにはラベルがされる必要があった。 ドイツやオランダの酪農産業はミルクをギリシャを含めた欧州各国に輸出したいと考えている。ミルクの輸出には時間がかかり、4日以上経過したミルクを新鮮なミルクでないとするギリシャの法律は ドイツやオランダの酪農産業にとって不都合だろう。そしてドイツやオランダの輸出攻勢はギリシャの中小企業に痛手を追わせることになる。この例からもユーロ圏では特定の団体だけにアドバンテージが与えられることがわかる[27]

統計

ユーロ圏とその影響地域の人口

対ユーロ 大陸 対欧州連合 人口 国・地域
ユーロ ヨーロッパ 欧州連合の旗 加盟
(ユーロ圏)
3億3595万  オーストリア ベルギーの旗 ベルギー キプロスの旗 キプロス  フィンランド フランスの旗 フランス ドイツの旗 ドイツ  エストニア ギリシャの旗 ギリシャ アイルランドの旗 アイルランド イタリアの旗 イタリア ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク マルタの旗 マルタ オランダの旗 オランダ ポルトガルの旗 ポルトガル スロベニアの旗 スロベニア スロバキアの旗 スロバキア スペインの旗 スペイン  ラトビア  リトアニア
非加盟 270万 アンドラの旗 アンドラ コソボの旗 コソボ モナコの旗 モナコ モンテネグロの旗 モンテネグロ サンマリノの旗 サンマリノ バチカンの旗 バチカン
固定 欧州連合の旗 加盟 875万  ブルガリア
非加盟 400万 ボスニア・ヘルツェゴビナの旗 ボスニア・ヘルツェゴビナ
アフリカ
CFAフラン
1億1000万 ベナンの旗 ベナン ブルキナファソの旗 ブルキナファソ カメルーンの旗 カメルーン 中央アフリカ共和国の旗 中央アフリカ チャドの旗 チャド コートジボワールの旗 コートジボワール 赤道ギニアの旗 赤道ギニア ガボンの旗 ガボン ギニアビサウの旗 ギニアビサウ マリ共和国の旗 マリ ニジェールの旗 ニジェール  コンゴ共和国 セネガルの旗 セネガル トーゴの旗 トーゴ
オセアニア
CFPフラン
海外領域 50万 フランス領ポリネシアの旗 フランス領ポリネシア ニューカレドニアの旗 ニューカレドニア ウォリス・フツナの旗 ウォリス・フツナ
アフリカ
(非CFAフラン)
非加盟 3500万 カーボベルデの旗 カーボベルデ コモロの旗 コモロ モロッコの旗 モロッコ
変動幅 ヨーロッパ 欧州連合の旗 加盟 800万  デンマーク
合計 4億9600万 44か国5地域



  1. ^ All glossary entries > euro area” (英語). European Central Bank. 2010年4月1日閲覧。
  2. ^ Agreements on monetary relations (Monaco, San Marino, the Vatican and Andorra)” (英語). EUROPA. 2010年4月1日閲覧。
  3. ^ Convergence Report 欧州中央銀行 - リンク先で22言語から選択可能、いずれもPDF形式。
  4. ^ Dagbladet Børsen Meningsmålinger Archived 2007年12月3日, at the Wayback Machine. 2007年4月7日 (デンマーク語、PDF形式)
  5. ^ Stratton, Allegra (2007年11月22日). “Danes to hold referendum on relationship with EU” (英語). guardian.co.uk. 2009年4月4日閲覧。
  6. ^ Inflation will delay euro adoption in Latvia: Standard & Poor's EU business 2006年3月8日 (英語)
  7. ^ a b Lithuanians Divided on Euro Adoption Angus Reid Global Monitor 2007年1月2日 (英語)
  8. ^ Adoption of the Euro in Lithuania リトアニア銀行 2007年1月3日 (英語)
  9. ^ България започва тестове за въвеждане на еврото преди лятото money.bg 2007年1月26日 (ブルガリア語)
  10. ^ Koinova, Elena (2007年11月30日). “Bulgaria's budget of reform” (英語). Sofia Echo. 2009年4月4日閲覧。
  11. ^ a b ECB: Introductory statement with Q&A 欧州中央銀行 2007年6月6日 (英語)
  12. ^ State of practical preparations (June 2007) for the future enlargement of the euro area 欧州委員会 (英語、PDF形式)
  13. ^ Hungary's euro adoption hinges on economy overhaul Budapest Business Journal 2007年3月23日 (英語)
  14. ^ The World Factbook - Hungary アメリカ中央情報局 (英語)
  15. ^ Guvernul a aprobat Programul de convergenţă ルーマニア政府プレスリリース 2007年1月24日 (ルーマニア語)
  16. ^ EMU-/eurosympatier 1997-2007 スウェーデン統計庁 2007年6月19日(スウェーデン語)
  17. ^ Eurobarometer 60.1 欧州委員会 2004年2月19日(スウェーデン語)
  18. ^ Eurobarometer 66 欧州委員会 2006年12月22日(スウェーデン語)
  19. ^ Mats Hallgren Nuder känner sig utanför efter Sveriges EMU-nej Svenska Dagbladet 2005年7月15日(スウェーデン語)
  20. ^ Joachim Kerpner Allt fler säger NEJ! Aftonbladet Nya Medier 2004年9月12日(スウェーデン語)
  21. ^ STT Ruotsin yrittäjät haluavat mukaan euroon Talentum.com 2007年7月10日(フィンランド語)
  22. ^ Matthew Tempest Britain not ready to join euro ガーディアン 2003年6月9日 (英語)
  23. ^ Joining The Euro Ipsos MORI (2006) - 単一通貨導入に関する意識調査 (英語)
  24. ^ What should the Island do in the wake of Jersey’s curve ball? PDMS 2003年9月1日 (英語)
  25. ^ a b c IMF admits disastrous love affair with the euro and apologises for the immolation of Greece A. Evans-Pritchard, The Daily Telegraph, 29 Jul 2016
  26. ^ a b J. Tobin, Policy Opinions, 31, (2001)
  27. ^ a b c How a Currency Intended to Unite Europe Wound Up Dividing It P.S. Goodman, The New York Times, 27 Jul 2016
  28. ^ La réunion secrète du 11 juin 1965 au département d’état américain sur l’union monétaire européenne


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