ユーティリティープレイヤー バスケットボール

ユーティリティープレイヤー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/10 00:45 UTC 版)

バスケットボール

バスケットボールでは試合中に複数のポジションを行き来する選手を「ユーティリティープレイヤー」あるいは「トゥイーナー英語版(Tweener)」と呼ぶ。「トゥイーナー」は「between」からの派生語で「2つのポジションの中間」という意味合いで使われるが、かつては「身体的に適したポジションと能力的に適したポジションが一致しない」「どっちつかず」といった皮肉が込められていた言葉でもあった[17][18][19][20]

現代ではポジションレス化が進んだこともあり、マッチアップ相手とのミスマッチを生み出すこともできるとして評価が変化している[19]。担うことができるポジションごとに、

などさらに細分化された呼び名も存在する。

複数のポジションで活躍した選手の例としては、長身でパワーフォワードを本職としながらボールハンドリングやアウトサイドシュートに長けたシックスマンとして活躍したラマー・オドム[25][26]や、元祖「ポジションレス」プレーヤーとも称されるボリス・ディアウ[27]が挙げられる。

ラグビー

ラグビーフットボールではラグビーリーグラグビーユニオンのいずれにおいても「ユーティリティー」が用語として用いられる。選手の体格によってフォワードかバックスかが決められることが多いものの、求められる能力が似たポジションであればフォワード・バックスの枠を越えて起用されるケースも存在する。

ラグビーリーグではフォワードフッカーと、バックスのハーフバックを兼ねるケースがみられる。この2つのポジションはともにボールに触れる機会が多いという共通性があり、1993年の10メートルルール導入後にハーフバックをフッカーにコンバートする流行も生まれた[28]

ラグビーユニオンではバックスの複数のポジションをこなせる選手を「ユーティリティーバックス(Utility Backs、略称:UB)」と呼ぶ[29]フォワードではスクラム後列のバックロー(フランカーとナンバー8)間でポジションを行き来する選手が比較的多い一方で、スクラム最前列のフロントローでは中央(フッカー)にはパス技術も求められることから両側(プロップ)を兼ねるケースは多くない。

アメリカンフットボール

アメリカンフットボールでは11人の出場枠に対してオフェンスチームディフェンスチームスペシャルチームなど、専門化された多数の選手を攻守交替や戦術変更によって使い分ける[30]。その中でオフェンスチーム・ディフェンスチームの両方で出場する選手を「ユーティリティープレイヤー」と呼ぶ。オフェンスチームとスペシャルチーム(またはディフェンスチームとスペシャルチーム)で出場する選手はユーティリティープレイヤーとはみなされない。

オフェンス・ディフェンス両方で出場する選手は選手交代が制限されていたアメリカンフットボール黎明期においては一般的であったが、1940年代に交代制限が緩和されると分業制がとられるようになり、怪我のリスクに対する意識が強まるにつれてNFLでは1970年ごろから数を減らしていった。


  1. ^ a b ユーティリティープレーヤー」『コトバンク』。2021年1月13日閲覧
  2. ^ a b c d サッカー用語 : ポリバレントとユーティリティー(プレーヤー)の意味の比較,違い」『読書の力』。2021年1月13日閲覧
  3. ^ ポスト・キムタクは誰だ?2018年注目のユーティリティープレイヤー」『SPAIA』2018年4月2日。2021年1月14日閲覧
  4. ^ 現役No.1ユーティリティは? “稀代の万能型”森野氏が「杉谷ではない」と語る理由」『Full-Count』2020年12月13日。2021年1月14日閲覧
  5. ^ a b c 味のある男たち。大城滉二、小島脩平ら内外野を守るオリックスのユーティリティープレーヤーたち」『週刊野球太郎』2017年7月9日。2021年1月14日閲覧
  6. ^ a b ユーティリティ【意外と知らない野球用語】」『Full-Count』2021年2月1日。2021年1月14日閲覧
  7. ^ 内外野もこなす「ユーティリティー捕手」栗原陵矢は飛躍なるか。過去に複数ポジションを兼任した捕手たちを振り返る」パ・リーグ.com、2020年4月28日。2022年2月4日閲覧
  8. ^ 野手のユーティリティー化、投手は中長期的な運用戦略がポイントの近年のプロ野球」『高校野球ドットコム』2022年12月11日。2024年6月10日閲覧
  9. ^ a b c ユーティリティープレーヤーの特徴は?/元ソフトバンク・柴原洋に聞く」『週刊ベースボールONLINE』2018年10月6日。2021年1月14日閲覧
  10. ^ a b 木村拓也の足跡とユーティリティープレーヤーの系譜=プロ野球ニュース通信簿 Vol.2」『スポーツナビ』2010年4月12日。2021年1月14日閲覧
  11. ^ 球史に2人だけ!投手も含めた「9つのポジション」を守った男とは…」『BASEBALL KING』2021年2月2日。2022年2月4日閲覧
  12. ^ a b c d e ユーティリティープレイヤーとは?サッカーでも重要であるその理由」『Activel』2021年12月16日。2021年1月13日閲覧
  13. ^ a b c d e 今、サッカー日本代表に「ポリバレント」が求められている理由」『WEZZZY』2018年6月13日。2021年1月13日閲覧
  14. ^ a b コクーとカイト。オランダからユーティリティー選手が生まれるワケ」『Web Sportiva』2019年12月23日。2023年7月20日閲覧
  15. ^ polyvalent」アルク、2021年10月2日。2021年10月2日閲覧
  16. ^ FWもこなした伝説の“二刀流”GKカンポス 躍動感と遊び心満載のプレー動画が話題」『FOOTBALL ZONE』2017年10月18日。2023年7月20日閲覧
  17. ^ NBAの扉を開け 窓のある家──J.J.リディック
  18. ^ トゥイーナー(tweener)-バスケットボール|バスケ用語とNBAニュース
  19. ^ a b 「現代バスケにフィットする選手」八村塁、ルーキー3位の好成績に地元メディアの評価が急上昇!
  20. ^ エリック・パスカルが目指す未来像――指揮官の「タッカーになれない理由はない」との言葉に本人も刺激
  21. ^ A Combo Guard Is...」(英語)、scout.com、2005年9月15日。2015年10月30日閲覧
  22. ^ Analysts say point forwards are few and far between」(英語)、webcitation.org、2012年7月20日。2014年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年10月30日閲覧
  23. ^ Basketball U on Swingmen」『NBA』(英語)、2003年10月8日。2015年10月30日閲覧
  24. ^ Era of the postmodern big man」『ESPN』(英語)、2012年3月22日。2015年10月30日閲覧
  25. ^ ラマー オドム(英語表記)Lamar Odom」コトバンク。2023年7月25日閲覧
  26. ^ 【月バス.com連載企画/第9回】知ってる? バスケットボール最高峰リーグNBAのアレコレ」月刊バスケットボールWeb、2019年9月27日。2023年7月25日閲覧
  27. ^ 元祖『ポジションレス』プレーヤーの一人、ボリス・ディアウが現役を引退」BASKET COUNT、2018年9月8日。2023年7月25日閲覧
  28. ^ Reilly, Thomas (1997). Science and Football III. Wales: Taylor & Francis. p. 13. https://books.google.ca/books?id=EisnZHAMbqkC 2016年9月23日閲覧。 
  29. ^ コベルコ神戸スティーラーズユーティリティーバックス/UTILITY BACKS。2023年8月9日閲覧
  30. ^ NFL「ルール解説:基本ルール。2023年8月10日閲覧
  31. ^ 『DVDでよくわかる!バレーボール』大林素子(監修)、西東社、2007年10月。ISBN 978-4-7916-1397-7


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