ユリウス暦 月名

ユリウス暦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/13 20:40 UTC 版)

月名

現代日本語では各月は1月~12月の数字で表すことが多いが、古代ローマで使われていたローマ暦ではローマ神話やラテン語の数詞に由来する固有名があり、ユリウス暦でも月の名前はローマ暦のものを踏襲した。紀元前44年から、7月はユリウス・カエサルの名に因んで Julius ( Iulius ) と呼ぶようになり[2]、彼を継いだアウグストゥスが閏年の扱いを修正した際に、その名に因んで8月は Augustus となった[3]。その名称は語形変化を被りながらも現代でも英語フランス語などのヨーロッパ諸言語にそのまま引き継がれている。

尚、アウグストゥス以降も多くのローマ皇帝が月に自分の名をつけようとし、カリグラは9月を Germanicus [注釈 6]クラウディウスは3月を Claudius、ネロは4月を Neroneus [注釈 7]ドミティアヌスは10月を Domitianus と改名した。9月についてはアントニヌス・ピウスが Antoninus と改名したほか、タキトゥスが Tacitus と改名した。11月はピウスの妻の名をとって Faustina となったり Romanus となったりした。コンモドゥスに至っては月に自分の名をつけるだけでなく、12の月全部の名を変更した。順に1月は Amazonius、2月は Invictus、3月は Felix、4月は Pius、5月は Lucius、6月は Aelius、7月は Aurelius、8月は自身の名である Commodus、9月は Augustus、10月は Herculeus、11月は Romanus、12月は Exsuperatorius であった。改名の企てはその皇帝の死とともに廃れ、すぐに元の月名に戻った。ユリウス暦で人名が月の名となって残ったのは、結局7月のJulius(Iulius)と8月の Augustus だけだった。


注釈

  1. ^ 循環論法となってしまうため、参考として他の暦法の期日を示す。同日は中国暦初元3年11月29日、ユダヤ暦3716年4月29日である。計算はhttp://hosi.orgによる。
  2. ^ イエスの処刑は、ユダヤ教の過越しの日の前日すなわちニサン月14日(ヨハネによる福音書)または過越祭第一日目の同月15日(共観福音書)とある。
  3. ^ 改暦勅書(Inter gravissimas)6節および7節。"Quo igitur vernum aequinoctium, quod a patribus concilii Niaeni ad XII Kalendas Aprilis fuit constitutum, ad eamdem sedem restituatur..."いかにして(天文学的)春分をニケーア公会議で「固定」された3月21日に近づけるかが問題とされている。
  4. ^ 改暦勅書原文は1581年(anno Incarnationis dominicae MDLXXXI)と発布日を記す。記事で詳述するように中世以降のユリウス暦の新年は1月1日とは限らなかった。当時のローマ教皇庁自体、3月25日をユリウス暦新年とする暦法を採用していたため、2月24日は前年となる。
  5. ^ 紀元前45年から紀元前5年までは40年である。したがって、4年に1度の閏年であれば、10回の閏年を入れるべきであった。しかし、誤って閏年を3年に1度置いたので、40÷3 = 13回の閏年を入れてしまった。そのため、13 - 10 = 3回分の閏年を省けばよいことになる。
  6. ^ 「ゲルマニクス」はカリギュラの本名の最後の部分の名前であり、かつ自分の父(ゲルマニクス)の最初の部分の名前でもある。
  7. ^ ユリウス=クラウディウス朝の5人の皇帝のうち、自分の人名を月の名前に付けようとしなかったのはティベリウスだけである。
  8. ^ 詳細な証拠については、en:Julian calendarを参照
  9. ^ なお、イードゥースのほかにもノーナエという特別な名で呼ばれた日付があり、これを使っても月の日数を推定できる。
  10. ^ en:Julian calendarによれば、紀元前12年より前、祭事の日付による逆算ですでに2月の日数が28日であった証拠があるという。
  11. ^ 日本標準時(JST)では同日の午前9時
  12. ^ a b c d e この期間は「ユリウス暦とグレゴリオ暦との差は○日」と一概には言えない。例えば、ユリウス暦1700年2月19日はグレゴリオ暦では1700年3月1日だが、1700年2月19日と1700年3月1日との差は、ユリウス暦では11日だが、グレゴリオ暦では10日である。

出典

  1. ^ 改暦勅書の第9節
  2. ^ july | Search Online Etymology Dictionary”. www.etymonline.com. 2019年12月7日閲覧。
  3. ^ august | Origin and meaning of august by Online Etymology Dictionary” (英語). www.etymonline.com. 2019年12月7日閲覧。
  4. ^ John J. Bond, "Commencement of the Year", Handy-book of rules and tables for verifying dates with the Christian era, (London: 1875), 91–101.
  5. ^ Mike Spathaky Old Style and New Style Dates and the change to the Gregorian Calendar: A summary for genealogists
  6. ^ The source has Germany, whose current area during the sixteenth century was a major part of the Holy Roman Empire, a religiously divided confederation. The source is unclear as to whether all or only parts of the country made the change. In general, Roman Catholic countries made the change a few decades before Protestant countries did.
  7. ^ Sweden's conversion is complicated and took much of the first half of the 18th century. See Swedish calendar.
  8. ^ Per decree of 16 June 1575. Hermann Grotefend, "Osteranfang" (Easter beginning), Zeitrechnung de Deutschen Mittelalters und der Neuzeit (Chronology of the German Middle Ages and modern times) (1891–1898)
  9. ^ 1751 in England only lasted from 25 March to 31 December. The following dates 1 January to 24 March which would have concluded 1751 became part of 1752 when the beginning of the numbered year was changed from 25 March to 1 January.
  10. ^ "The Blackwell Dictionary of Eastern Christianity" Wiley-Blackwell; New edition (2001/12/5), p353, ISBN 9780631232032
  11. ^ a b 質問: クリスマスは12月25日?ロシアでは1月7日に祝うと聞いたのですが
  12. ^ a b Revised Julian Calendar - OrthodoxWiki






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