ユニバーサルデザイン 公共交通のユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザイン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/25 05:59 UTC 版)

公共交通のユニバーサルデザイン

ユニバーサルデザインは「可能な限り最大限に」と、よりよいものを求める姿勢であるが、法は最低限の要求水準を定めるもので、もともとこの二つは異なる方向性を持っている。しかしわが国の公共交通のユニバーサルデザインにおいては、2005年に国土交通省がユニバーサルデザイン政策大綱を定めたこともあって、法、特にバリアフリー法が重要な役割を果たしてきている。

公共交通は誰もが使えることが前提となり、ユニバーサルデザインであることが求められる。これには利用者のニーズを反映することはもとより、都市部への集中、地方での過疎に加えて高齢化といった社会情勢の反映も重要な要素である。これまでの公共交通は、一般に、利用者を集団として一定の方向あるいは目的地に同一方法で運ぶことにより、安価で安全で、高速な移動を提供してきた。待ち時間なくドアtoドアで移動したいというニーズは、高齢化によってますます高まっている。それは今までの公共交通では実現が難しかった。これからのユニバーサルデザインを目指す公共交通は、これまでのマスとしての移動と共に、利用者個々のニーズの実現に焦点を当てる必要がある。

地方では公共交通が衰退し、高齢になって運転できなくなったら、病院にも買い物にも行けなくなるという現実がある。これに対してデマンドバスや、タクシーの活用、近年では自動運転バスの導入など、自治体も介入してさまざまな検討がなされ、実際に運用されているところもある。都市部周辺においても、高度経済成長期に大都市周辺の丘陵地帯を開発したニュータウンで、傾斜地における高齢の人の移動をどう確保するかという課題を抱えている。

都市部では、バリアフリー法の規定もあって、ノンステップバスやUDタクシーの普及、駅のエレベーターや車いす対応トイレ、駅ホームからの転落防止柵の整備が進んでいる(国土交通省「移動等円滑化の促進に関する基本方針[6]」)。とりわけ大都市ではラッシュ時の過密さが問題である。この密度を軽減するには、テレワーク、時差出勤といった働き方改革など、鉄道以外の変化が求められる。また情報通信技術によってさまざまな移動手段を有機的、効率的に活用するMaaSが注目されている。

近年は、複雑な駅構内の案内誘導を外国人、視覚に障害のある人、色覚少数者等にどうわかりやすくするかについても、さまざまに試行されている[7]。また接遇係員が多様なニーズに理解を持てるようにする意識改革も進められている[8]

また、よりよい公共交通をめざして、利用者の声を反映させる取り組みも行われてきている。中部国際空港羽田空港第3ターミナル、成田空港では何年もかけて利用者と専門家、空港関係者等が検討作業を重ね、それを施設に反映させる取り組みが行われ、事後評価を継続しているところもある。こうした取り組みは大規模プロジェクトならではのものだが、そこに関係した人たちが他の、基準作りや事業の場でこの経験を活用することで、わが国全体のレベルアップにつながっていくことになる。


  1. ^ a b Ron Mace (1985). “Universal Design: Barrier Free Environments forEveryone”. Designers West 33(1): 147-152. 
  2. ^ The Center for Universal Design - Universal Design Principles”. projects.ncsu.edu. 2020年7月4日閲覧。
  3. ^ a b 行方市、全国初 UDフォント一体導入 行政・教育、文書活用に
  4. ^ 障がい者制度改革推進会議 ヒアリング項目に対する意見書 第20回(H22.9.27)
  5. ^ 長寿社会対応住宅設計指針”. www.mlit.go.jp. 建設省. 2020年7月4日閲覧。
  6. ^ 移動等円滑化の促進に関する基本方針”. 国土交通省. 2020年7月4日閲覧。
  7. ^ オリンピック・パラリンピックを見据えたバリアフリー化の推進に関する調査研究(空港から競技会場までのシームレスな移動の実現に向けた検討)”. 国土交通省. 2020年7月4日閲覧。
  8. ^ 公共交通機関等における障害者等への対応に係る職員教育の充実に関する調査研究」平成30年3月”. 国土交通省総合政策局安心生活政策課. 2020年7月4日閲覧。
  9. ^ 障害者の権利に関する条約の理念を踏まえた特別支援教育の在り方に関する意見書https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1298937.htm
  10. ^ a b c Kazuo KAWASAKI” (日本語). www.kazuokawasaki.jp. 2018年8月27日閲覧。





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