ユニバーサルデザイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/22 02:57 UTC 版)
ワークプレイスのユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインは主に不特定多数のユーザーが使う公共空間、プロダクト等が対象であったが、ワークプレイス(働く場)にも概念が拡大している。障がいのあるワーカーやシニアワーカーの就労機会の拡大、外国人ワーカーの増大、子育て中の女性や身内の介護に携わる人など、様々多様なワーカーが働くことを前提とすべき社会にいて、「誰でも働きやすい」ワークプレイスのユニバーサルデザインが必要とされている。
ワークプレイスのユニバーサルデザインには、建築空間のアクセシビリティやユーザビリティばかりではなく、家具・什器や情報機器などのエルゴノミクス的視点を含め、「働く」という行為を取り巻く総合的な「働きやすさ」が必要となる。また、「働きやすさ」というゴールを実現するためには、建築から機器に至るまでのハードウェアが使いやすいだけでなく、多様なユーザーが「自分にとって最も快適で使いやすい環境を選択できる」というアプローチが有効であり、ワークプレイス全体で考えた場合のDesign for allとなる。例えばその時々の仕事の内容等により、オフィス空間の中で自分が最も働きやすい場所・環境を選択できるABW(Activity Based Working)は、全てのワーカーにとってメリットが大きい。
このABWの考え方を、在宅勤務、サードプレイスでの仕事などまで広げれば、ワーカーが自分の働き方を合理的かつ自律的に選択でき、「通勤」「オフィスでの勤務」といったストレスからも自由となる。また「働く」という点から見ると、プレイス(場)への配慮とともに、情報へのアクセス、人と人のコミュニケーションやコラボレーションにおけるスムースさといったソフト面にも配慮が必要となる。これらも広い意味でワークプレイスのユニバーサルデザインといってよいものだ。
近年、快適でストレスの少ないウェルビーイングの高いワーク環境が、仕事の生産性・創造性向上に大きな効果があることが実証され、また、ワーカーの満足度向上、リクルーティングにおける優位性が期待されることからも、企業等における関心も高まっている。
注釈
出典
- ^ a b Ron Mace (1985). “Universal Design: Barrier Free Environments forEveryone”. Designers West 33(1): 147-152.
- ^ “The Center for Universal Design - Universal Design Principles”. projects.ncsu.edu. 2020年7月4日閲覧。
- ^ a b “行方市、全国初 UDフォント一体導入 行政・教育、文書活用に”. 茨城新聞 (2019年3月20日). 2019年4月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月15日閲覧。
- ^ あれ、つま先しか届かない! 地下鉄の新型車両、その座席に異論 「立ち上がりやすさ」と「座りやすさ」の両立を神戸新聞NEXT 2021年5月22日
- ^ 障がい者制度改革推進会議 ヒアリング項目に対する意見書 第20回(H22.9.27)
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- ^ “オリンピック・パラリンピックを見据えたバリアフリー化の推進に関する調査研究(空港から競技会場までのシームレスな移動の実現に向けた検討)”. 国土交通省. 2020年7月4日閲覧。
- ^ “公共交通機関等における障害者等への対応に係る職員教育の充実に関する調査研究」平成30年3月”. 国土交通省総合政策局安心生活政策課. 2020年7月4日閲覧。
- ^ 障害者の権利に関する条約の理念を踏まえた特別支援教育の在り方に関する意見書https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1298937.htm
- ^ a b c “Kazuo KAWASAKI”. www.kazuokawasaki.jp. 2018年8月27日閲覧。
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