ヤマガラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/22 04:12 UTC 版)
生態
標高1,500メートル以下にある常緑広葉樹林や落葉広葉樹林に生息する。和名は山に生息する事に由来するが、山地から平地にかけて生息する。標高1,000m以上の場所に生息する個体は、冬季になると標高の低い場所へ移動する。同科他種と混群を形成する事もある。
食性は雑食で、昆虫、クモ、果実、エゴノキの実などを足でおさえながら食べる[1]。主に樹上で採食し夏季は主に動物質を、冬季は主に果実を食べる。堅い果実は後肢で挟み、嘴でこじ開けて中身を食べる。また地中や樹皮の隙間などに果実を蓄える事(貯食)もある[1][a 3]。
繁殖形態は卵生。樹洞にコケなどを組み合わせた内部に獣毛などを敷いた[要出典]皿状の巣を作り、3 - 6月に3 - 8個の卵を産む。メスが抱卵し、抱卵期間は12 - 14日。雛は孵化してから18 - 20日で巣立つ。
種の保全状況評価
国際自然保護連合(IUCN)により、軽度懸念(LC)の指定を受けている[a 1]。開発による生息地の破壊などにより生息数は減少している[a 2]。亜種ダイトウヤマガラは1922年に採集されて以来、発見例がなく絶滅したと考えられている[a 2]。
- P. v. namiyei ナミエヤマガラ
- P. v. olivaceus オリイヤマガラ
- P. v. orii ダイトウヤマガラ
- P. v. owstoni オーストンヤマガラ
- ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))
- 絶滅危惧IB類 (EN)(環境省レッドリスト)[3]
人間との関係
日本では、本種専用の「ヤマガラかご」を使い平安時代には飼育されていた文献が遺されている。学習能力が高いため芸を仕込む事もでき、覚えさせた芸は江戸時代に盛んに披露された。特におみくじを引かせる芸が多く、1980年ごろまでは神社の境内などの日本各地で見られた。そのため年輩者には本種はおみくじを引く小鳥のイメージが強いが、おみくじ芸自体は戦後になってから流行し発展してきたもので、曲芸は時代の変化とともに変遷してきた事が記録から読み取れる。しかし鳥獣保護法制定による捕獲の禁止、自然保護運動の高まり、別の愛玩鳥の流通などにより、これらの芸は次第に姿を消してゆき、1990年頃には完全に姿を消した。現在[いつ?]このような芸をさせるために種が特定され飼育されてきた歴史は日本のヤマガラ以外、世界に類例を見ない[4]。
なお、1945年以降消滅するまで代表的だったおみくじ引き以外にも、以下のような芸があった。
- ^ a b The IUCN Red List of Threatened Species
- BirdLife International 2009.0. Parus varius. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4.
- ^ a b c d e f g h i 環境省 自然環境局 生物多様性センター
- ^ エゴノキの果皮は有毒なサポニンを多く含んでいるが、鳥類ではほぼヤマガラのみが実を捕食する。ヤマガラはサポニンの影響を受けないのか(体内で分解?)、また貯食は発芽に貢献しているのではないか(果皮を取り去り地中に埋めるから)、などといった研究が行なわれている。
ヤマガラによる貯蔵散布がエゴノキ種子の発芽に及ぼす影響(山形大学 2006年)
- ^ a b c 『山渓ハンディ図鑑7 新版 日本の野鳥』、474-475頁。
- ^ a b c McKay, B.D.; Mays Jnr, H.L.; Tao, C.-T.; Wan, D.; Higuchi, H.; Nishium, I. (2014). “Incorporating color into integrative taxonomy: analysis of the Varied Tit(Sittiparus varius) complex in East Asia”. Systems Biology 63 (4): 505–517. doi:10.1093/sysbio/syu016. PMID 24603127.
- ^ a b c d “【鳥類】環境省第4次レッドリスト(2012)<分類群順>” (PDF). 環境省 (2012年8月28日). 2012年9月9日閲覧。
- ^ 小山幸子 (1999). "ヤマガラの芸" ISBN 4-588-30203-5
ヤマガラと同じ種類の言葉
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