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モモ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 08:42 UTC 版)

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種子・つぼみ

種子の内核は「桃核(とうかく)」あるいは「桃仁(とうにん)」と呼ばれる。

漢方においては血行を改善する薬として婦人病などに用いられる。また、つぼみは「白桃花(はくとうか)」と呼ばれ、利尿薬、便秘薬に使われる。

樹木

割れにくく丈夫であるため、などに利用されている。

樹皮

樹皮の煎汁は草木染めの染料として用いられる事がある。

桃の栽培と利用史

原産地は中国西北部の黄河上流の高山地帯。欧州へは紀元前4世紀頃にシルクロードを通り、ペルシア経由で伝わった。英名ピーチ(Peach)は“ペルシア”が語源で、ラテン語のpersicum malum(ペルシアの林檎)から来ている。種小名persica(ペルシアの)も同様の理由による。

日本では長崎県多良見町にある伊木力遺跡[8][9]から、縄文時代前期の桃核が出土しており、これが日本最古とされている。弥生時代後期には大陸から栽培種が伝来し桃核が大型化し、各時代を通じて出土事例がある。桃は食用のほか祭祀用途にも用いられ、斎串など祭祀遺物と伴出することもある。平安時代 - 鎌倉時代には珍重されていたが、当時の品種はそれほど甘くなく主に薬用・観賞用として用いられていたとする説もある。江戸時代にさらに広まり、『和漢三才図会』では「山城伏見、備前岡山、備後、紀州」が産地として挙げられるほか、諸藩の『産物帳』にはモモの品種数がカキ、ナシに次いで多く、特に陸奥国と尾張国に多いと記されるほど、全国で用いられるに至った[10]明治時代には、甘味の強い水蜜桃系(品種名:上海水蜜桃など)が輸入され、食用として広まった。現在日本で食用に栽培されている品種は、この水蜜桃系を品種改良したものがほとんどである。

春先の温度が低い時期に雨が良く降ると縮葉病に掛かりやすく、実桃の栽培には病害虫の防除が必要である。また果実の収穫前には袋掛けを行わないと蟻やアケビコノハ等の虫や鳥の食害に合うなど(商品価値の高い果実を得ようとするならば)手間暇が掛かり難易度が高い果樹である。

なお、“もも”の語源には諸説あり、「真実(まみ)」より転じたとする説、実の色から「燃実(もえみ)」より転じたとする説、多くの実をつけることから「百(もも)」とする説などがある。

  • 変わり種の品種
    • 源平桃 - 1本の木に白花と紅花を咲かせる品種(観賞用花桃)。環境によっては白と紅の混ざった花も咲く。
    • 照手水密 - 枝垂れ性の花桃だが小さいながら果実も食用とする事が出来る[11](一般的な花桃は果肉が固く食べられない)。

主な生産地

主に日本では山梨県福島県長野県など降水量の少ない盆地で栽培される。日本最北端の生産地は北海道札幌市であり、出荷数は極僅かだが南区の農園で栽培される。外国の主な生産国は、中国アメリカイタリアなど。

収穫量

都道府県別収穫量(2013年[12]

全国収穫量 124,700t
  1. 山梨県 39,100t (31.36%)
  2. 福島県 29,300t (23.50%)
  3. 長野県 15,400t (12.40%)
  4. 和歌山県 9,590t (7.69%)
  5. 山形県 8,080t (6.48%)

日本の主な産地

  • 青森県
  • 南部町
  • 軽米町、紫波町
  • 秋田県
  • 鹿角市
  • 山形県 - 収穫量全国5位。東根と天童が主産地。夏場の昼夜の温度差により糖度の高い桃ができる。「川中島白桃」「ゆうぞら」などが主要品種となっている。[13]
  • 東根市天童市、寒河江市、山形市、河北町、村山市、中山町など
  • 福島県 - 収穫量全国2位。福島盆地は全国有数の大産地となっている。「あかつき」は県が特に注力している品種で、福島県だけが大玉化する技術を確立し、信夫三山暁まいりから命名した[14]。そのほか、「伊達の蜜桃」などのブランド品がある[15]。東南アジア方面へも輸出している。また、県内では無袋栽培が主流となっている[16]
  • 群馬県
  • 高崎市
  • 新潟県 - 生産量全国7-10位。モモ生育期間における日照時間の長さを生かし、高品質の桃を生産する。「日の出」などが代表品種。[17]
  • 山梨県 - 収穫量全国1位。笛吹市は自治体で収穫量トップで、笛吹川対岸の扇状地は国内随一の桃栽培密集地となっており、大規模な一宮、御坂を初め、春日居、八代などの産地がある。一帯は「桃源郷」とも呼ばれ、開花シーズンにも多くの観光客で賑わう。[18]
  • 長野県 - 収穫量全国3位。「川中島」「白鳳」などのほか、「なつき」「なつっこ」など県独自の品種も多い。また、ネクタリンの生産は国内トップ。[19]
  • 岐阜県
  • 高山市
  • 静岡県
  • 静岡市
  • 愛知県 - 収穫量全国7-10位。尾張地域で盛んで、殆どは大消費地の名古屋市場か地元で消費される。[20]
  • 大阪府 - 岸和田市包近町一帯に産地が残る(包近の桃)[21]が、かつては2000トン以上を収穫する主要産地だった歴史がある。[22]
  • 和歌山県 - 収穫量全国4位で、西日本一の産地。紀の川市桃山町の登録商標化されたブランド桃「あら川の桃[23]が知られる。白鳳種、白桃種が主流で、「日川白鳳」は山梨県に次ぐ主産地となっている。
  • 岡山県 - 収穫量全国6位。かつては全国1位になったこともあったが、工業化などで産地が相対的に減少した。「清水白桃」の産地として知られる[24]
  • 広島県
  • 三原市
  • 山口県
  • 萩市
  • 徳島県
  • 上板町
  • 香川県 - 生産量7-10位。生育期の降雨が少なく、日照時間が長い気候条件を生かし、産地が成長した。県中部の飯山、麻地区に産地がある。ハウス栽培も行われ、九州地方への出荷が多い。[25][26]
  • 愛媛県
  • 松山市
  • 福岡県
  • 佐賀県
  • 多久市
  • 熊本県
  • 熊本市

風習・伝説・年中行事など

桃饅頭

中国において桃は仙木・仙果(神仙に力を与える樹木・果実の意)と呼ばれ、昔から邪気を祓い不老長寿を与える植物・果物として親しまれている。桃の木で作られた弓矢を射ることは悪鬼除けの、桃の枝を畑に挿すことは虫除けのまじないとなる。桃の実は長寿を示す吉祥図案であり、祝い事の際には桃の実をかたどった練り入りの饅頭菓子・寿桃(ショウタオ、繁体字: 壽桃簡体字: 寿桃拼音: shòutáo)を食べる習慣がある。寿桃は日本でも桃饅頭(ももまんじゅう)の名で知られており、中華料理店で食べることができる。寿命をつかさどる女神の西王母とも結び付けられ、魏晋南北朝時代に成立した漢武故事中国語版などの志怪小説では、前漢武帝が西王母の訪問を受け、三千年に一度実をつける不老長生の仙桃を授かったという描写がある。さらに後代に成立した四大奇書のひとつ、『西遊記』の主人公孫悟空は、西王母が開く蟠桃会に供される不老不死の仙桃を盗み食いしている。

日本においても中国と同様、古くから桃には邪気を祓う霊力があると考えられていた。『古事記』では、黄泉の国イザナミの追手から逃げるイザナギが、黄泉比良坂に辿り着いた際、そこにあった桃の実を投げつけて、追手を退散させて逃げ延びることに成功した。イザナギはその功を称え、桃に意富加牟豆美命(おおかむづみのみこと)の名を与えたという。また、『桃太郎』は、桃から生まれた男児が長じてを退治する民話である。3月3日の桃の節句は、桃の加護によって女児の健やかな成長を祈る行事である。

英語圏においては、傷みやすいが美しく美味しい果物から古い俗語で「若く魅力的な娘」を表し、そこから「ふしだら女」「(複数形で)乳房」などの意味にも転じている。


  1. ^ a b c d e f g h i 大場秀章(編著)『植物分類表』アボック社、2010年、初版第2刷。ISBN 978-4-900358-61-4 p.140
  2. ^ a b 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “BG Plants 和名-学名インデックス(YList) Amygdalus persica L.”. 2015年10月10日閲覧。
  3. ^ a b 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “BG Plants 和名-学名インデックス(YList) Prunus persica (L.) Batsch”. 2015年10月10日閲覧。
  4. ^ 文部科学省 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  5. ^ 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2015年版)
  6. ^ ぱれっと 2012年4月号 果樹のページ”. 岡山市農業協同組合. 2013年7月7日閲覧。
  7. ^ “体調不良は給食のリンゴ原因 美幌の小中学生、アレルギー反応”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (2014年7月12日). オリジナルの2014年7月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140714025601/http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/550707.html 
  8. ^ 福田, 一志、古門, 雅高『伊木力遺跡Ⅱ』134〈長崎県文化財調査報告書〉、1997年3月31日(原著1997年3月31日)。doi:10.24484/sitereports.14759NCID BN15106099
  9. ^ 諫早市役所
  10. ^ 小林幹夫「恵泉果物の文化史(6):モモ」『園芸文化』第6巻、恵泉女学園大学、2009年7月、 136-141頁。
  11. ^ ハナモモ‘照手水蜜’”. 神奈川県農業技術センター (2007年12月). 2011年9月25日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2015年10月10日閲覧。
  12. ^ 農林水産省 平成25年産もも、すももの結果樹面積、収穫量及び出荷量
  13. ^ おいしい山形 もも
  14. ^ 旬の食材百科 フルーツ 桃 あかつき
  15. ^ 福島県公式 福島県ブランド認証産品(もも)
  16. ^ 福島県公式 国際課 中通り21(福島市):桃の薫る夏
  17. ^ JA全農にいがた ニュース 新潟の桃が真っ盛り!
  18. ^ ふえふき旬感ネット 笛吹市の桃の花
  19. ^ JA長野県 いいJAん!信州 農畜産物情報 モモ
  20. ^ ネット農業あいち 特産品紹介 モモ
  21. ^ 近畿農政局 もも(大阪泉州地域)
  22. ^ 大阪府公式 なにわ特産品 大阪もも
  23. ^ あら川の桃振興協議会
  24. ^ 岡山県公式サイト 農林水産部 農政企画課 白桃
  25. ^ JA香川県 らりるれ倶楽部 品目一覧 果物:もも
  26. ^ うどん県農産物紹介ポータルサイト LOVEさぬきさん かがわの県産品一覧 もも
  27. ^ 21世紀研究会・編『食の世界地図』143頁 文藝春秋社






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