メロン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/29 07:16 UTC 版)
成分・効能
100 gあたりの栄養価 | |
---|---|
エネルギー | 176 kJ (42 kcal) |
10.4 g | |
食物繊維 | 0.5 g |
0.1 g | |
1.0 g | |
ビタミン | |
ビタミンA相当量 |
(2%) 12 µg(1%) 140 µg |
チアミン (B1) |
(4%) 0.05 mg |
リボフラビン (B2) |
(2%) 0.02 mg |
ナイアシン (B3) |
(5%) 0.8 mg |
パントテン酸 (B5) |
(3%) 0.16 mg |
ビタミンB6 |
(8%) 0.11 mg |
葉酸 (B9) |
(6%) 24 µg |
ビタミンC |
(30%) 25 mg |
ビタミンE |
(1%) 0.2 mg |
ミネラル | |
ナトリウム |
(0%) 6 mg |
カリウム |
(7%) 350 mg |
カルシウム |
(1%) 6 mg |
マグネシウム |
(3%) 12 mg |
リン |
(2%) 13 mg |
鉄分 |
(2%) 0.2 mg |
亜鉛 |
(2%) 0.2 mg |
銅 |
(2%) 0.04 mg |
セレン |
(1%) 1 µg |
他の成分 | |
水分 | 87.9 g |
水溶性食物繊維 | 0.2 g |
不溶性食物繊維 | 0.3 g |
ビオチン(B7) | 0.9 µg |
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[52]。廃棄部位: 果皮及び種子 | |
| |
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
メロンは世界の多くで、美味しくて滋養がある冷たい食べ物と認識されている[53]。 メロン果実は、炭水化物が少なく、コレステロールは含まないうえ脂肪分もほとんどない[53]。微量栄養素では、ビタミンCを豊富に含み、果肉が黄色・オレンジ色・緑色のメロンはカロテン(ビタミンA)も豊富である[53]。メロンの全品種で、葉酸やナイアシンなどのビタミンB群とカリウムを多く含む[53]。ナトリウムはごく僅かであるが、微量ミネラル[注釈 3]が豊富である[53]。糖類の主成分は、ショ糖、ブドウ糖、果糖などである。果肉には、食物繊維のペクチンが多い。
また、スイカと同様に水分が多いウリ科の植物であり、体内の余分な塩分(ナトリウム)を排泄させるカリウムが多く含まれ、腎臓病や高血圧の予防・体内温度を下げる成分も含まれており、夏バテによる食欲不振の予防も効果的である。また、解毒作用もあり、リューマチや神経痛の痛みやしびれの予防にも効果的である。
ククミシンというタンパク質分解酵素を多く含むため、多量に食べると口腔内がピリピリと痛みを生じ、まれに出血する場合もある。収穫後、熟成するにつれ、分解酵素が増加する。熟成期を極度に過ぎたものには、甘さよりも苦味が生じる。
伝統医学との関係
古代ギリシアの医者ヒポクラテス(紀元前460年 - 同377年)以降の西洋医学では、人間の身体の構成要素を4つの体液(気質)とする説が主流だったが、あらゆる食物は熱・冷・湿・寒の4つの区分に分けられ、これらを食べるときにバランス良くコントロールして健康促進と回復を行うとされていた[54]。メロンは冷たく湿った食物とされ、熟成チーズや酢・塩・塩漬け肉など熱く乾いた食材でバランスをとることが必要とされた[54]。イタリア料理に「プロシュート・ディ・パルマ」というメロンを生ハムで包んだ前菜(生ハムメロン)があるが、この気質説を元に生まれた伝統料理は現在でも食べられている[55]。
中世初期のヨーロッパでは「存在の大いなる連鎖」という概念も発達し、地上で育つメロンは連鎖の最下層に位置するもののひとつとされ、あまり安全ではない食べ物とみなされていた[54]。しかし、メロンの果実は地面に茂り、動物の糞を肥料とすることも多いことから、表面に凹凸があるメロン果皮に大腸菌などの汚染物質がつきやすく、十分に洗わないと体内に入ってきて重篤な病気を引き起こすことがある[56]。実際に北米では、2004年にメロンを介した大腸菌感染によって、多数の死者を出している[56]。
中世のビザンチウム(現在のイスタンブール)では、水分が多く冷たいメロンの性質が文書で述べられており、健康に役立てることに活用していた[57]。スイカを含むメロンの仲間は腎結石に効果があり、熱中症にかかりにくくするといった効能ももつと考えられたり、高血圧や痛風、黄斑変性、白内障にも推奨されてきた[57]。イギリス人料理研究家のエリザベス・デイヴィッドは、1970年の著書の中で、メロンが持つ身体を冷やす作用を中和するために、ショウガ粉末をメロンにかけて家族全員で食べていたという幼少期の経験談を書いている[58]。
注釈
出典
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- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Melo sativus Sager. ex M.Roem. メロン(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月29日閲覧。
- ^ Cucumis melo L.USDA Germplasm Resources Information Network、2015年7月6日閲覧。
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- ^ ラブグレン 2017, p. 70.
- ^ マグロンヌ・トゥーサン=サマ 『世界食物百科』玉村豊男 翻訳監修、原書房、1998年、ISBN 4087603172、pp.684-687
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- ^ ラブグレン 2017, p. 83.
- ^ ラブグレン 2017, p. 86.
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- ^ “「幻のメロン」クールボジャ今年限り 岩沼の生産組合、高齢化で生産断念”. 河北新報オンライン (2022年6月22日). 2022年10月30日閲覧。
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- ^ a b ラブグレン 2017, p. 115.
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- ^ a b ラブグレン 2017, p. 127.
- ^ ラブグレン 2017, p. 128.
- ^ ラブグレン 2017, p. 129.
- ^ a b c d e f g ラブグレン 2017, p. 136.
- ^ ラブグレン 2017, p. 137.
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