ムラサキケマン ムラサキケマンの概要

ムラサキケマン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/12 02:11 UTC 版)

ムラサキケマン
ムラサキケマン
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: キンポウゲ目 Ranunculales
: ケシ科 Papaveraceae
: キケマン属 Corydalis
: ムラサキケマン C. incisa
学名
Corydalis incisa (Thunb.) Pers. (1807)[1]

分布と生育環境

日本全国に分布し[2]、国外では中国から知られる。木陰や林縁のやや湿ったところなどを好み[2]、直射日光の当たらない場所に生育する。

特徴

越年草[2]。茎は真っ直ぐに立ち、高さは30 - 50センチメートル (cm) ほど。茎には複数の葉がつき、それぞれ斜め上に伸びて2 - 3回3出複葉[3]、小葉は扇形に近く、先端は丸くて、丸い鋸歯がある。葉質は薄くて柔らかく、つやを欠く。

花期は4 - 6月ごろ[2]。赤紫色の長さ2 cmでキケマン属に独特の筒状の花を咲かせる。花の後方に蜜が入った長い(きょ)とよばれる部分が突き出し、前方には上下に紅紫色の唇形の花びらがある[2]。また花の前方中央部に、左右から合わさった白色の花びらがあり、この中に雄蕊雌蕊が入っている[2]虫媒花ハチが訪れると下唇の花びらにとまり、中央の白い花びらを越えるようにして距の奥にある蜜を口吻で吸う。このとき、ハチの重みで花びらが下がり、雄蕊と雌蕊が下から露出してハチの身体に接触する[2]

果実は柄の先に下向きにつき[2]、豆の果実に似る。長さ2 cmの莢の中には、黒い種子が10個ほど入っている[2]

生活史

一般にこの植物は越年草といわれるが、実際にはもう少し複雑な生活史を持っている。この植物の種子は6月頃に成熟するが、これは発芽するのは翌年の春で、初夏まで成長した後、地上部は枯れ、地下に団子状の塊茎を残す。

これが再び活動するのはその年の秋で、数枚の葉を出して年を越し、春になると花茎を立てて花をつけ、結実すると全体が枯れる。上記の特徴の説明はこの花時期のものである。

毒性

全草にプロトピンを含む有毒植物[2]。誤食すれば嘔吐・呼吸麻痺・心臓麻痺などを引き起こす。ウスバシロチョウの幼虫の食草であり、このためウスバシロチョウも有毒となる。また、植物体を傷つけたときに出る汁は悪臭がする。だが、実際に茎を折って匂いをかいでみると、特に臭いの感じられない個体も多い。 山菜であるシャク (植物)と生育場所や葉の形が非常によく似ているため、注意が必要である。


  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Corydalis incisa (Thunb.) Pers. ムラサキケマン(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年6月12日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k 亀田龍吉 2019, p. 8.
  3. ^ 久志博信『「山野草の名前」1000がよくわかる図鑑』主婦と生活社、2010年、18ページ、ISBN 978-4-391-13849-8


「ムラサキケマン」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ムラサキケマン」の関連用語

1
100% |||||

2
100% |||||

3
100% |||||

4
100% |||||

5
100% |||||

6
100% |||||

7
100% |||||

8
100% |||||

9
100% |||||

10
96% |||||

ムラサキケマンのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ムラサキケマンのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのムラサキケマン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS