マーケティング マーケティングの概要

マーケティング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/18 09:41 UTC 版)

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概要

一般的な企業活動のうち、商品・サービスそのものの企画・開発・設計やブランディングから、市場調査・分析、価格設定、広告宣伝広報、販売促進、流通マーチャンダイジング、店舗・施設の設計・設置、(いわゆる)営業、集客、接客、顧客の情報管理等に至る広い範囲がマーケティング活動の対象となり、様々な手法や論点がある。

また、企業活動のうちで、直接顧客と関係しない製造ライン、研究、経理、人事などの部門は、一見マーケティング活動とは距離があるが、顧客価値を生むという視点ではこれらの部門や組織もマーケティングと有機的に結び付いて機能する必要がある。

マーケティングの発展段階

マーケティングの定義や理論は、時代と共に様々に変遷してきており、硬直化することがなく進化しているといえる。 元々は米国で産まれた概念で、モノ(製品・商品)を中心にした「マスマーケティング」(マーケティング1.0)から始まった。 以後、「生活者(顧客)志向のマーケティング」(マーケティング2.0)に進化したとコトラーは定義している。 現在はグローバル化とIT化が加速し、「価値主導のマーケティング」(マーケティング3.0)の領域に高度化しており、単なる収益向上のための手段ではなく、企業や組織が世界を良くするための事業・活動を展開するための戦略に昇華している。

サービスの重要性

上述のとおりマーケティングはモノの生産・販売から産まれた概念だが、コモディティ化が加速する市場においては自社の競争優位性を発揮し維持するうえで、顧客志向のサービスが果たす役割の重要性が増している。セオドア・レビット英語版はすべての企業は顧客にとってサービス業であるという顧客志向の認識に立ち、あらゆる企業がサービス的要素を持つと指摘している。 また、ラッシュとヴァーゴによれば、従来のモノ中心のマーケティングをGDL(Goods Dominant Logic)といい、顧客は単に購入者として捉えられていたが、SDL(Service Dominant Logic)では、モノに限らず経済活動は全てサービスであり、顧客は購入者ではなくサービスの利用者であるという考え方を提唱している。[1][2]

狭義のマーケティング

マーケティング活動は、狭義には商品またはサービスを購入するポテンシャルのある顧客候補に対してブランディングマーケティング・コミュニケーション等を通じて購買行動やサービス利用に働きかける行為である。また、さらなるコミュニケーション等によって顧客価値や期待を高め、再購入や顧客連鎖を促進する。マーケティングは企業活動の拡大再生産(あるいは維持)を図るための一連の行為のひとつであり、心理学、数学、社会学、経済学等様々な知識の上から成り立つ高度な理念、スキルとも言える。

広告・宣伝との関係

一部のビジネスの現場やマスメディアにおいては、広告宣伝、集客や販促活動のみをマーケティングと捉えることがあるが、本来の戦略的なマーケティング活動の意味からすれば極めて限定的な行為を指すものであり、誤解がある[3]。これにはマーケティングという言葉・概念の普及過程において企業の宣伝担当部門がマーケティング部などと名乗ることが多かったことも影響している。

定義

アメリカ・マーケティング協会

多くの書籍や論文で使われるのは、アメリカ・マーケティング協会(AMA[4])の定義である。1940年、1960年、1985年、2004年、2007年にそれぞれ改定されてきた。

アメリカ・マーケティング協会によるマーケティングの定義
原文 抄訳
2007年 Marketing is the activity, set of institutions, and processes for creating, communicating, delivering, and exchanging offerings that have value for customers, clients, partners, and society at large. マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。

日本マーケティング協会

日本マーケティング協会の1990年の定義によると「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。」とある。

「他の組織」とは、「教育・医療・行政などの機関、団体」などを含む。 一般的にマーケティング活動は、営利を追求する企業のための活動と捉えられているが、組織全般が行う活動を享受者(顧客、住民など)にとって最適化する、というマーケティングの基本的な概念は、自治体NPOなどの非営利組織にも適用できるため、「他の組織」が定義に含まれている。

「グローバルな視野」とは「国内外の社会、文化、自然環境の重視」。 一般的にマーケティング活動は、組織と顧客の関係構築の活動と捉えられているが、顧客が現在、直接に意識している欲求(顕在化しているニーズ)のみに応える活動を行っていては、長期的な利益(環境保護など)と反する恐れがある。そのため、顧客が意識していない欲求(潜在化しているニーズ)や、長期的に欲求に応え続けられる仕組みをつくるために、「グローバルな視野に立ち」が定義に含まれている。

その過程が、組織の一方的な顧客への押しつけではなく、顧客への啓蒙、理解を伴う必要があるために、「相互理解を得」が定義に含まれている。

企業は利潤を追求するという性質を持ち、マーケティングもその一分を担う活動ではあるが、利潤追求のために非合法、不正な活動を行うのではなく、「公正な競争」の上に成り立っている必要がある。

「市場創造」とは、市場(=顧客)の既にあるニーズを満たし(既存市場の維持・拡大)、まだないニーズを探し、満たす(新規市場の創造)活動のこと。つまり、マーケティング活動の中心的概念。

「総合的活動」とは、「組織の内外に向けて統合・調整されたリサーチ・製品・価格・プロモーション・流通、および顧客・環境関係などに係わる諸活動」をいう。 マーケティング活動が、組織の一部が行う、組織活動全体のうちのごく一部の活動を指すものと間違って捉えられがちなため、対象範囲を組織活動の多くの部分であり、組織の多くの部門が関わる活動であることを定義に含んでいる。

マーケティングの定義を理解しやすいように、主たる部分だけ残すとすれば、「マーケティングとは市場創造である」となるが、歴史的経緯や時代の要請により、その他の多くの注釈的部分が追加されたと理解できる。

研究者による定義等

マーケティングについて、最も広く知られているフィリップ・コトラーの定義によれば、 「マーケティングとは、製品と価値を生み出して他者と交換することによって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるために利用する社会上・経営上のプロセス[5]」である。


マーケティングの定義は学者や団体によって細かくは異なるが、いずれも売買・交換に関係した幅広い概念であることが多い。 一方、社会経済学マクロ経済学の立場からは、「消費者と供給者の間の交換」であるとか、「社会に対する生活水準向上活動」といった定義も行われている。

なお、その究極的な経営上の目的についてはピーター・ドラッカーが述べた「セリング(単純なる販売活動)をなくす」という考え方が有名である。

また、具体的なマーケティング戦略においては、その時代・環境等により、それぞれ適用すべき手段、プロセスは異なってくると考えられる。

たとえば、現代においては情報技術 (IT) を顧客コミュニケーションの手段として有効活用できるか否かの面でマーケターのセンスが問われている状況があり、それら技術革新の社会的な影響の度合いによってはマーケティングの理論や定義にも影響を及ぼす可能性がある。(→インターネットマーケティング


  1. ^ 酒井光雄編著(2013)『成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書』、p.180-184
  2. ^ yahoo Insight for D 「【解説】サービス・ドミナント・ロジック(SDL)」”. 2019年6月7日閲覧。
  3. ^ 隔月誌「Mi」2006年10月号中小企業診断士 根本寛”. 2019年6月6日閲覧。
  4. ^ : en:American Marketing Association
  5. ^ Kotler, P. et al., 2006. Marketing, 7th ed. Pearson Education Australia, p.7.
  6. ^ E.Jerome McCarthy(1960)"Basic Marketing,"Richard D.Irwin,Inc.
  7. ^ Philip Kotler(2013)"Marketing Management,"Prentice Hall.


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