マンション 維持管理

マンション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/16 04:36 UTC 版)

維持管理

マンション竣工後10〜15年ごとに実施される大規模修繕工事の外観。規模にもよるが、一般にほぼ3〜5週間続き、その間の生活への影響が大きい。

建物のうち、特にマンションは、日常の維持管理、計画的な大規模修繕の実施などにより、経済価値や「寿命」が大きく影響を受ける。日常の維持管理、大規模修繕は、管理組合が主体的に実施すべきものである。マンションは築年数が経過すると資産価値の維持や老朽化の防止のため、10年~15年に1度の頻度で大規模修繕工事を行うのが一般的である。その費用は居住者からの修繕費積立金より支払われる。マンションの規模によって金額が異なるため、一概にいくらとは言えない。

管理組合と町内会(自治会)

マンションにおいて任意に設立することができる管理組合は、区分所有者全員の加入が区分所有法に基づき入会が義務付けられている(管理組合が存在しないマンションでは管理組合に入ろうにも入りようが無い)。一方、区分所有者が賃貸に出している場合、賃借人は管理組合員ではない。関わる項目も、原則として共有部分に関することであり、マンション標準管理規約(単棟型)では、「管理組合の業務」に「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」を含めているが(第32条)、本来目的ではない。

日本の場合、既存の市街地には町内会(自治会)がある場合が多い。これらには賃借人であろうと居住者が加入するが、任意のため加入しない人もいる。マンション標準管理規約(単棟型)第27条のコメントでは、各居住者が任意の判断で加入する自治会費、町内会費は、管理費とは別で各自の負担として、マンションの管理組合とは区別している[22]。住民の親睦を図るほかに、自治体事務の委任を受けて仕事をすることがある。マンションの場合、小規模であれば町内会の「班」程度となるが、大規模であれば、独自の自治会を組織して上位の「町内会連合会」などに加盟することもある。

上記の性質の差から「管理組合=実質的に(マンション独自の)自治会」「管理組合役員と自治会役員の選出はまったく別」などのさまざまな形態がある。実質同一であれば賃借人の問題、実質別であれば業務の切り分け(例:共有の防災施設の扱いは誰が行うか)、自治体の委任事務の扱いなどの課題がある。

売買

新築時の分譲[注 6]と使用開始後の「中古」売買に分けられる。マンションの売買については、構造面、権利面の特殊性などから、ほかの建物、土地の取引とは異なる特徴がある。


注釈

  1. ^ マンションには様々な階層のものがあるが、低層:2階以下、中層:3-5階、高層:6階以上、消防法で規定の31m超とすることが多いという。さらに高層には超高層マンションという概念もある(『マンション学事典』65頁)。
  2. ^ 江東区の「マンションラッシュ」事例は顕著な事例として代表的に取り上げた。日本では2000年から2005年頃にかけて各地で発生し、個別事例の詳細は本記事では割愛する。
  3. ^ 日本の場合、マンション標準管理規約では「建物の躯体部分に相当程度の加工を要するものではなく、外観を見苦しくない程度に復元するのであれば」総会の普通決議で可能としている(単棟型第47条コメント)。
  4. ^ 国土交通省作成のマンション標準管理規約では「マンションの住戸の数に比べて駐車場の収容台数が不足しており(中略)という一般的状況を前提」としている(単棟型第15条コメント)。
  5. ^ 不動産鑑定評価基準でも建物や環境、立地というハード面と建物・敷地に関する権利に関する事項が重視されている(『新・要説 不動産鑑定評価基準』293-296頁)。
  6. ^ 売れ残りにより中古扱いとなる場合もある。
  7. ^ 建替え決議の要件として様々な要件を規定するという立法例は韓国にもある(不動産適正取引推進機構『諸外国におけるマンション建替え法制』)。

出典

  1. ^ a b 不動産協会『日本の不動産業』2010年版 10頁[リンク切れ](※2020年版には当該記載なし)
  2. ^ 不動産公正取引協議会連合会『不動産の公正競争規約』[リンク切れ]不動産の表示に関する公正競争規約施行規則3条(物件の種別)
  3. ^ 国土交通省『建築動態統計調査』「用語の定義」9頁(2021年5月3日閲覧)
  4. ^ 国土交通省・分譲マンションストック数(平成21年末現在)2021年5月3日閲覧
  5. ^ 中高層共同住宅標準管理規約の改正について 国土交通省(2004年1月23日)2021年5月3日閲覧
  6. ^ "「全員賛成」要件緩和へ 集合住宅の再開発 3分の2で可能に"『中日新聞』朝刊2015年12月28日10版(総合面3ページ)
  7. ^ a b c 湯川利和『まもりやすい集合住宅』学芸出版社、2001年
  8. ^ 小玉徹・大場茂明・檜谷美恵子・平山洋介『欧米の住宅政策』ミネルヴァ書房、1999年
  9. ^ 原田純孝・広渡清吾・吉田克己・戒能通厚・渡辺俊一『現代の都市法』東京大学出版会、1993年
  10. ^ 『マンション学事典』17頁
  11. ^ 第52回“マイホームプア”からの脱却「200年住宅ビジョン」の中身を検証する:住宅情報[リンク切れ]日経住宅サーチ(2010年11月7日閲覧)
  12. ^ ホームページ判例集最高裁判所不動産トラブル事例データベース(制作:国土交通省/運営:不動産適正取引推進機構インターネット等でのマンション建設反対と名誉毀損
  13. ^ 江東区:いただいたご意見と回答-豊洲の課題山積[リンク切れ]マンション急増対策の現状と課題[リンク切れ]
  14. ^ 『新・要説不動産鑑定評価基準』251頁
  15. ^ 快適空間を創るコンクリート[リンク切れ]大成建設 (2010年6月5日閲覧)
  16. ^ 高強度・超高強度コンクリート[リンク切れ]日本建築構造技術者協会(2010年6月5日閲覧)
  17. ^ アメリカ「高層マンション崩壊」はなぜ起きたのか”. 東洋経済オンライン (2021年6月30日). 2022年8月11日閲覧。
  18. ^ 韓国光州マンション外壁崩落事故は任意設計の変更など「総体的な人災」”. 中央日報 (2022年3月14日). 2022年8月11日閲覧。
  19. ^ 『マンション学事典』388-406頁
  20. ^ マンションの騒音トラブルはどう対処する? スーモ(2021年5月3日閲覧)
  21. ^ グループホームのマンション利用「管理規約違反」 大阪地裁判決 毎日新聞 2022年1月20日
  22. ^ 町内会費等の支払いについての対応は - 財団法人マンション管理センター
  23. ^ 諸外国におけるマンション建替え法制 不動産適正取引推進機構(2021年5月3日閲覧)
  24. ^ 藻谷浩介『ニッポンの地域力』日本経済新聞出版 2007年9月
  25. ^ 【防災ニッポン】マンション『読売新聞』朝刊2021年4月18日(特別面)






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