マハーバーラタ 作者

マハーバーラタ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/06 09:43 UTC 版)

作者

作中人物の1人でもあるヴィヤーサの作と見なされている[3]が、実際の作者は不明である。

特徴

原本はサンスクリットで書かれ、全18巻、100,000詩節[注釈 2]、200,000行を超えるとされる。これは聖書の4倍の長さに相当する[注釈 3]

物語は世界の始まりから始まる。その後、物語はパーンダヴァ族とカウラヴァ[注釈 4][注釈 5](この二つを合わせてバラタ族(バーラタ))の争いを軸に進められ、物語の登場人物が誰かに教訓を施したり、諭したりするときに違う物語や教典などが語られるという構成で、千夜一夜物語と似た構成になっているが、大きな相違点としてパーンダヴァ王家とカウラヴァ王家の争いの話自体が語られる物語であることがあげられる。 数々の宗教書も『マハーバーラタ』の物語の登場人物をして語らせることも多く、『バガヴァッド・ギーター』は著名な部分であり、宗教上、特に重視されている。

内容

パンチャーラ国にはドルパダ王子と仲の良いドローナという少年がおり、ヴェーダをともに学んでいた。やがてドルパダは国王になると、ドローナに「幼い頃は我らの間に友情があったが、国王とそうでない者との間に友情は成り立たない」と諭した。ドローナはパンチャーラ国を後にするとクル族パーンダヴァ国に入り、やがて首都のハスティナープラ英語版で腰を落ち着けた。ある日、5人の王子達が困っているところに出くわし助けたところ、請われてある条件と引換に教師になることに同意した。弟子には、5人の王子達(ユディシュティラビーマアルジュナナクラサハデーヴァ)の他にカルナが居た。ドローナは彼らに戦い方を教えると、かねてからの約束通り、ドルパダ王を捕らえるように願い出た。弟子達はパンチャーラ国に攻め入り、ドルパダ王を捕まえた。ドローナが「国王とそうでない者との間に友情は成り立たないのだから、君の国を奪ったのだよ」と言い放ったが、ドルパダ王の懇願を受け入れ、ガンジス川の北をドルパダ王に返還し、南にドローナの国を作ってパンチャーラ国を分割した。ドルパダ王はいつかこの屈辱を晴らすためにヤグナ英語版を行うと、双子の兄妹(ドゥリシュタデュムナドラウパディー)が生まれた。

ドラウパディーが絶世の美女に成長すると、ドルパダ王は花婿選びを開催した。カルナは優れた弓の名手ではあったがクシャトリヤ以上の階級という条件に合わなかったため拒否された。パーンダヴァの5王子を亡き者にしようとするカウラヴァの卑劣な策略から逃げ延び、身分を隠して参加していたアルジュナが勝利すると、パーンダヴァの5王子はドラウパディーを連れて家に帰った。アルジュナの母クンティーは忙しくしていたため、アルジュナがドラウパディーの花婿選びで勝ったという5王子の報告を、托鉢して施物を集めてきたものと勘違いし、兄弟で等しく分かち合うよう言った。こうしてドラウパディーは5王子が共有する妻になった。また、アルジュナは転生したインドラである。

ユディシュティラが大きくなると、父王パーンドゥの跡を継いでいた叔父の盲目王ドゥリタラーシュトラ英語版クル国の半分をユディシュティラに与えた。ユディシュティラはカーンダヴァ森英語版インドラプラスタ英語版の王宮に住むようになった。盲目王の子ドゥルヨーダナは5王子の幻想宮殿を訪ねたとき、水の中に落ちてしまい、ドラウパディーの女中達がそれを喜んで眺めた。元々次の国王は自分だと思っていたドゥルヨーダナは、この扱いに激怒して陰謀を巡らす。ドゥルヨーダナこそ悪魔カリの転身である。ドゥルヨーダナの怒りを知ったビーシュマは、首都ハスティナープラ英語版を分割してユディシュティラに与え、平和を維持することを提案した。カウラヴァシャクニ英語版が謀ったサイコロ賭博事件英語版が起こり、ユディシュティラは全てを巻き上げられ、王国も失ってしまう。ユディシュティラは、妻ドラウパディーすら賭けで失い、彼女は奴隷にされた。かつて身分の違いを理由に袖にされたカルナは、罪の無い彼女が男たちに裸にされ、辱しめをうけようとすることに加担し、奴隷女と罵った。

サイコロ賭博事件の結果、5王子は13年間に渡る森の中での逃亡生活を強いられた。

その後、パーンダヴァ王家は5王子達カウラヴァ王家からの王国奪還を要求し対立が深まった。アルジュナが師ドローナに弓引く戦争をためらっていると、いとこのクリシュナが自分の正体がヴィシュヌであることを証し、「道徳的義務を遂行する自分のダルマを果たすべきで、友人や知人の死で苦しんではならない。彼らは肉体の死によってその病んだ魂を純粋平和な世界へ開放することが出来るのだから」と説いた(『バガヴァッド・ギーター』)。

クルクシェートラの戦い英語版でカウラヴァ王家は全滅する。カルナはアルジュナによって殺され、昇天して太陽神スーリヤと一体化した。ドゥルヨーダナはビーマに殺された。ドローナは、ユディシュティラに捕まえられたところをドゥリシュタデュムナに殺され、悲報を聞いたアルジュナは師の死を悼んだ。

神話の受容

東南アジアにおける受容

『マハーバーラタ』の作者ヴィヤーサが象神ガネーシャに神話を語る現代的な表現
(インド・カルナータカ州

東南アジアではインド二大叙事詩『ラーマーヤナ』と『マハーバーラタ』は共に王権(クル族を祖先とする王家の正統性)を強調するものとして翻案され、支配階級のみならず民衆の間でも親しまれている。ベトナム(チャンパー)の碑文やインドネシア(ジャワ、バリ)の古典文学およびワヤン・クリットにおいてはクル族両王家のうちカウラヴァ方への共感が見られる。7世紀のチャンパー碑文によればチャンパーとカンボジアの王はカウラヴァのアシュヴァッターマン王子(ドローナの槍の継承者)の子孫である。ジャワにおける翻案(古ジャワ語文学(カウィ文学))ではパーンダヴァ方の血統でありながらカウラヴァ方についたカルナ(ジャワ語カルノ)がアルジュナ(ジャワ語アルジュノ)と共に二人の主人公と目され、カルナは心はパーンダヴァにありながら、カウラヴァを滅ぼすためにカウラヴァについたと改変されている。

創作か事実か

『マハーバーラタ』に限らず神話は創作か、事実を基にした物語か問題になることが多い。『マハーバーラタ』に記された「インドラの雷」の描写は、現代の核兵器を想起させる。このため『ラーマーヤナ』とともに、超古代文明による古代核戦争説の証拠とみなす者もいる[7]。しかし、創作の場合でも登場するのがであることから、核兵器に匹敵する能力が描写されていたとしても不思議は無いというのが一般的な考え方である。




注釈

  1. ^ 成立年代は一般に、紀元前4世紀頃から紀元後4世紀頃とされている[1]
  2. ^ マハーバーラタの「批判版」によれば7万5千詩節弱である。これに「付録」を付け加えると9万詩節を超える[4]
  3. ^ ホメロスの二大叙事詩を合わせても2万7千行あまりである[5]
  4. ^ バラタ王の孫であるクル王の後裔をクル族(カウラヴァ)という[6]
  5. ^ パーンダヴァ族とカウラヴァ族を合わせてバラタ族(バーラタ)といい、マハーバーラタは要するにバラタ族(バーラタ)の同族の大戦争の空しさ(寂静の情趣)を主題とした物語である。

出典






固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「マハーバーラタ」の関連用語

マハーバーラタのお隣キーワード

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



マハーバーラタのページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのマハーバーラタ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2019 Weblio RSS