マクドナルド 問題

マクドナルド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/25 06:21 UTC 版)

問題

アメリカ資本主義の象徴

マクドナルドはその事業規模と影響力の大きさから、しばしばアメリカの大量消費文化やアメリカ帝国による経済支配(アメリカニゼーション)の象徴と考えられ、各国の民族主義派・保守派や、環境保護活動家、反グローバリズム運動家の攻撃目標になるケースが少なくない。

反米デモ活動では、真っ先にマクドナルドの店舗が襲撃される(これはケンタッキーフライドチキンザ コカ・コーラ カンパニーも同様である)。特に湾岸戦争イラク戦争などでアメリカが他国に侵攻する期間、中東の店舗は放火されたり破壊されたりした。またイギリスでは、批判的な活動家がロンドンにある店舗を爆破し、逮捕された。

更にイラク戦争以降、ロンドンパリチューリッヒなどの店舗前で、反米デモが激しく行われており、メキシコシティでは「ハンバーガー1つがアメリカ軍銃弾1発」という言葉が生まれた。また、大韓民国環境団体の会員らがマクドナルドの大型看板に登って「M」字の下に「AD WAR」と書かれた垂れ幕をかけて「MAD WAR(狂った戦争)」と叫ぶデモ活動をした。

1999年5月7日コソボ紛争における「アライド・フォース作戦」の際に、アメリカ空軍機が駐ユーゴスラビア中華人民共和国大使館誤爆したときは、北京市でマクドナルド10店舗が、中国人により襲撃される事態となった。

またファストフードは、その手軽さと高カロリーが故に「肥満の主犯」というイメージが植えつけられることになった。こうした拡大する外国の反感を宥めるため、マクドナルドは飲食の材料をできるだけその国で調達し、メニューもその国の文化を考慮した戦略を取っている。肉類を避けるインド人のためには、ベジタブルバーガーも開発した。

不健康

2004年には、マクドナルドに代表されるファーストフード業界の健康破壊をテーマに「1か月間、3食マクドナルドのハンバーガーだけを食べて過ごしたらどうなるか」監督が自らを人体実験となった、ドキュメンタリー映画スーパーサイズ・ミー』が公開され、第77回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた。2011年には、550超の団体が対し、肥満の抑制のためにロナルド・マクドナルドの引退を要請している[37]

アメリカのマクドナルド - 調理油切り替え遅れ和解金9億円支払い
マクドナルドは2002年9月心臓病疾患の原因になると指摘された「トランス脂肪酸」を減らすため、調理油(ショートニング)を2003年2月までに新しいタイプに替えると発表した。トランス脂肪酸はフライドポテトなど揚げ物に使う油(ショートニング)に多く含まれ、それを健康に配慮した新タイプの調理油に切り替えると発表しながら実施が遅れたことを同社が適切に公表しなかった事に対して訴訟が起こり、和解金など計約850万ドル(約9億円)を支払うと2005年2月に発表した。
ところが実施が遅れたため2003年2月に遅れの事実を公表したが、アメリカの健康問題活動家らは2003年、消費者への告知が不十分だったとして損害賠償などを求め、カリフォルニア州地裁に提訴した。
日本における調理油切り替え
調理油の切り替えはBSE問題が起きた2004年、調理油に牛脂をブレンドしていたため、一時的に植物油100%に切り替えた。2018年現在、日本マクドナルドの公式ウェブサイトによれば、トランス脂肪酸なしのパーム油牛脂をブレンドしているとされている。

対応

マクドナルドは、メニューに食材の生産地や食物アレルギー対応[38]を細かく明記している。またシェフイギリス人としては初めて、かつ歴代最年少でミシュランガイド三ツ星を獲得したマルコ・ピエール・ホワイトは「商品には一貫性があり、価格に対してその品質は優れている。アイルランド産など徹底した品質管理を行なっているにも関わらず、この事実はあまり知られていない。」と意見している[39]

栄養の改善を要請

2011年には、専門家らはマクドナルドに対して、子供を対象とした飲食品に高カロリー、高脂肪、多い砂糖、高塩分のジャンクフードの販売中止、おまけをつける販売の中止、ロナルド・マクドナルドを引退させることを要請している[40]

カリフォルニア州での例

児童肥満対策としてアメリカ・カリフォルニア州は2010年11月、「ハッピーミール」(日本では「ハッピーセット」)など高カロリーでおまけ付き子供用セットメニューの販売を禁じる条例を可決した。この条例はマクドナルドに限らず全てのファーストフードショップに適用される[41]

集団食中毒の発生

マクドナルドの衛生管理については、生産地から店舗までのプロセスごとにHACCPなどの国際規格をベースに厳格な体制が採られている[42]が、2018年、アメリカ・ニューヨーク州などを中心に汚染されたサラダを原因とするサイクロスポーラ症による500人以上の集団食中毒を発生させている[43]

訴訟多発

マクドナルドはそのイメージと著作権商標に関する訴訟をしばしば起こす。例として100年前からあるような小さな家族経営の店にも、マクドナルドは訴訟を起こしたり、スコットランドにある「マクドナルド」という名称の個人経営のカフェに対する名称使用停止の訴訟がある。

また、マクドナルドは、イギリスの歴史において最も裁判期間の長い民事裁判の記録を持っている。これはしばしば「マクドナルド名誉棄損裁判英語版」(McLibel trial) と呼ばれる。これは、ロンドン通りでマクドナルドを中傷するビラを配ったとして、マクドナルドが環境活動家2名を名誉毀損で告訴したもの[44]

労働条件訴訟

2014年3月、アメリカのニューヨークカリフォルニアミシガンの各州において、無給待機の強制、制服購入費ならびに制服洗濯費などの名目による給与からの天引きによる減額された賃金は、法令で定める最低賃金を下回る違法賃金に当たるとして、従業員から提訴された[45][46]

フランチャイズとの対立

1995年ごろから、マクドナルドのフランチャイズ店は、マクドナルドコーポレーションに不満を抱くようになった。マクドナルドがあまりにもあちこちにフランチャイズ権を与えたので、フランチャイズ店舗同士が競合しあうようになったのである。マクドナルドはこの頃から、フランチャイズ権を与える前に市場への影響調査を行うようになった。

イスラエルとの関係

マクドナルドがイスラエル支援企業だとしてパレスチナ支持派やムスリムにたびたび批判されている。例えば、日本国内のパレスチナ支持派のパレスチナ情報センターは、マクドナルドの元会長兼CEOのジャック・M・グリーンバーグがシカゴのアメリカン・イスラエル商工会議所の名誉会長であることや、マクドナルドがイスラエルを支援する「Jewish United Fund (ユダヤ人基金)」 及び「Jewish Federation (ユダヤ人協会)」の主要な企業パートナーであることを批判している[47]

また、2008年から2009年に行われたイスラエルのガザ紛争では、インドマレーシアのムスリムグループによりマクドナルドを含んだ「イスラエル支援企業」に対して不買運動が呼びかけられ、マレーシアのマハティール・ビン・モハマド首相も国内のマクドナルドの社員に辞職を呼びかけた。またフランスパリでは抗議者がマクドナルド店舗の窓を破壊した[48][49][50]。この事件でも見られるように「イスラエル支援企業」として、ザ コカ・コーラ カンパニースターバックスH&Mなどもマクドナルドと同時に批判される場合が多い。




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  8. ^ 【『おもしろい会社』が生き残る vol.2】マクドナルドの過去最高益更新に学ぶ - ハルデザインコンサルティング
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