ポロニウム 用途例

ポロニウム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/16 05:45 UTC 版)

用途例

熱源

ポロニウムは強いアルファ線を放出するため発熱する。1 gのポロニウム塊はアルファ崩壊熱により500 °Cに達し、520 kJの熱を放出する。この特性から、人工衛星用原子力電池の熱源として利用された[7](実際のところは、発熱体としては 238Pu の優秀性が際立っている)。

暗殺の手段として

2006年11月にイギリスで発生した、元ロシア連邦保安庁 (FSB) 情報部員アレクサンドル・リトビネンコの不審死事件で、ポロニウム210が被害者の尿から検出されたことが明らかになった(死因は体内被曝による多臓器不全と推測され、暗殺その他の謀略死の可能性が広く指摘されている。なお、事件の詳細は当人の項参照)。ロシア運輸省は航空機から基準値を超える放射線を検出したと発表したが、その後の調査で基準値の範囲内であると判明した。

2004年11月に死去したPLO執行委員会議長ヤーセル・アラファートの死因も当初不明とされたが、その後病院で使用していた衣類よりポロニウム210が検出されたことより、ポロニウムによる暗殺が疑われている[8][9]

ポロニウム210は99.99876%アルファ崩壊のみで崩壊し、崩壊過程でガンマ線の放射を0.00123%しか伴わない[10](殆どのアルファ崩壊はガンマ線の放射を伴う)。アルファ線は紙一枚で遮蔽されるため、容器に入ったポロニウム210(あるいは微量仕込んだ食品等)をガンマ線計測により検出することは不可能である。運搬者が被曝しないこと、被害者を即死させないことも暗殺用薬物に適した特徴である。


  1. ^ a b 桜井弘 『元素111の新知識』講談社、1998年、344~345頁。ISBN 4-06-257192-7 
  2. ^ Nanny Fröman, Marie and Pierre Curie and the Discovery of Polonium and Radium, Nobelprize.org, December 1, 1996.
  3. ^ Gidropress "Innovative nuclear technology - no analogues in the world"
  4. ^ 東京工業大学原子炉工学研究所『鉛−ビスマス冷却材と keV 中性子捕獲断面積:α放射核210Poと210mBiの生成量評価のために』 日本原子力研究開発機構核データ研究グループ「核データセンターニュース」第72号、2002年。
  5. ^ Eric Loewen and Shuji Ohno "Investigation of Polonium Removal Systems for Lead-Bismuth Cooled Fast Reactors Using a Tellurium Surrogate: Part II"、2004年。
  6. ^ 倉田有司, 佐々敏信, 斎藤滋 ほか、「加速器駆動核変換システムの技術開発II (7)ポロニウム蒸発実験のための鉛ビスマス照射試験」『日本原子力学会 年会・大会予稿集』 2004年秋の大会 セッションID:C62 , doi:10.11561/aesj.2004f.0.204.0,日本原子力学会
  7. ^ John Emsley (2001), "Nature's Building Blocks", Oxford University Press, p.331 ISBN 0-19-850340-7
  8. ^ アラファト氏は毒殺? 中東TV 衣類に放射性物質と報道『中国新聞』2012年7月5日 17版 国際・総合
  9. ^ アラファト氏毒殺説裏付けか 遺体からポロニウム検出”. CNN (2013年10月7日). 2016年1月14日閲覧。
  10. ^ Table de Radionucléides





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