ポリアミド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/24 22:07 UTC 版)
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名称
ナイロンはωアミノ酸の重縮合反応で合成される「n-ナイロン」と、ジアミンとジカルボン酸の共縮重合反応で合成される「n,m-ナイロン」とがある。いずれも名称中のnまたはm部分の数字はモノマー成分の炭素数に由来する指数である。例を次に示す。
「n-ナイロン」(重縮合反応)
- ナイロン6
- ε-カプロラクタム(炭素数6)
- ナイロン11
- ウンデカンラクタム(炭素数11)
- ナイロン12
- ラウリルラクタム(炭素数12)
「n,m-ナイロン」(共縮重合反応)
- ナイロン66
- ヘキサメチレンジアミン(炭素数6)+ アジピン酸(炭素数6)
- ナイロン610
- ヘキサメチレンジアミン(炭素数6)+ セバシン酸(炭素数10)
- ナイロン6T
- ヘキサメチレンジアミン(炭素数6)+ テレフタル酸 (Terephthalic acid)
- ナイロン6I
- ヘキサメチレンジアミン(炭素数6)+ イソフタル酸 (Isophthalic acid)
- ナイロン9T
- ノナンジアミン(炭素数9)+ テレフタル酸 (Terephthalic acid)
- ナイロンM5T
- メチルペンタジアミン(Methyl基+炭素数5)+ テレフタル酸 (Terephthalic acid)
その他
- ナイロン612
- カプロラクタム(炭素数6)とラウリルラクタム(炭素数12)とのωアミノ酸同士の共縮重合体。研磨剤なしナイロン612フィラメントはTynex®、研磨砥粒入りナイロン612フィラメントはTynex® A。
一方、アラミドはジアミンとジカルボン酸の共重合反応で合成されるが、組織的な命名法ではなく商標で呼ばれることが多い。
- ケブラー, poly-p-phenyleneterephthalamide(Kevlar® デュポン社の商標)
- p-フェニレンジアミン + テレフタル酸
- ノーメックス, poly-m-phenyleneisophthalamide(Nomex® デュポン社の商標)
- m-フェニレンジアミン + イソフタル酸
また、アラミドの中にはパラ系アラミドとメタ系アラミドがあり、上記のケブラーはパラ系、ノーメックスはメタ系に属する。メタ系は優れた耐熱性を持ち、他にも、帝人の「コーネックス」や、フランスkermel社のkermel繊維などがある。パラ系は強い強度と弾性率を持ち、他に帝人の「テクノーラ(HM-50)」が一般に良く知られている。
ナイロン
一般によく用いられるポリアミドとしては脂肪族のナイロン類が有名である。ナイロン類の特徴を次に示す。
- アミド基を有する為に吸水性が高い。
- 結晶性が高い樹脂で、耐薬品性に優れる。
- アミド基の水素結合により、優れた強靭性、耐衝撃性、柔軟性を示す。
- モノマーを変更することで、ポリマーアロイ化や共重合による改質が容易で、ガラス繊維など複合材との親和性も高くエンジニアリングプラスチックとして扱いやすい。
ナイロン6
ナイロン6はカプロラクタムを開環重縮合したポリアミドで略号はPA6である。融点225℃、ガラス遷移点48℃、比重1.14である。
ナイロン11
ナイロン11はウンデカンラクタムを開環重縮合したポリアミドで略号はPA11である。融点187℃、ガラス遷移点37℃、比重1.04である。ナイロン6及び66に比べて融点(187℃)、吸水性が低く、耐寒衝撃性に優れている。
ナイロン12
ナイロン12はラウリルラクタムを開環重縮合したポリアミドで略号はPA12である。融点176℃、ガラス遷移点50℃、比重1.02である。ナイロン6及び66に比べて融点、吸水性が低く、耐寒衝撃性に優れている。ポリアミドの中では最も低密度である。
ナイロン66
ナイロン66は、米デュポン社のウォーレス・カロザースが発明した完全人工合成による合成繊維であり、天然繊維の化学変換により可溶化し繊維として再生した、それまでの合成繊維とは一線を画する。略称はPA66、融点265℃、ガラス遷移点50℃、比重1.14である。当初はNylon®の商標で販売されたが、Nyronの用語は一般に脂肪族骨格を含むポリアミドをナイロンと総称するようになり、今日では、他のナイロン類と区別する場合はナイロン66と呼ばれる。
「石炭と水と空気から作られ、鋼鉄よりも強く、クモの糸より細い」という米デュポン社のキャッチフレーズが示すように、吸湿性や強度など繊維としての特性はポリエステル繊維より優れ、天然繊維と比べても遜色はないので、今日においても衣料用繊維として広く使用されている。
記事ナイロンに詳しい。
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- ^ Year of Twaron. “Twaron - A history of innovation”. Twaron News (June 2007): 10–11 .[リンク切れ]
- ^ International Fiber Journal (2007). “Teijin Launches Fourth Production Expansion in Six Years”. Fiber Journal (February): 20. オリジナルの2007年8月19日時点によるアーカイブ。 .
- ^ JWS Hearle (2004). High-performance fibres. Woodhead Publishing Ltd., Abington, UK - The Textile Institute. ISBN 1855735393.
- ^ Doetze J. Sikkema (2002). “Manmade fibers one hundred years: Polymers and polymer design”. J Appl Polym Sci, John Wiley & Sons, Inc. (83): 484–488.
- ^ L. Vollbracht and T.J. Veerman, US Patent 4308374 (1976)
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