ポリアミド アラミド

ポリアミド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/24 22:07 UTC 版)

アラミド

芳香族ポリアミド(アラミドとも呼ばれる)は、高耐熱性・高強度のエンジニアリングプラスチックである。この特性は芳香族ポリアミドが分子として直鎖状の構造を持っていることに起因する。その化学構造によりパラ系アラミド・メタ系アラミドに大別される。

パラ系アラミド

ケブラー®(Kevlar®) (デュポン東レ)・トワロン®(Twaron®) (帝人)はpoly-p-phenyleneterephthalamideとも呼ばれるp-フェニレンジアミンとテレフタル酸クロリドから共縮重合して得られるパラ系アラミド繊維である。Kevlar®はデュポン社の商標である。デュポン社は硫酸に溶かして紡錘する技術を開発して高重合度繊維の製品化を可能にした(1974年)。鋼鉄の5倍の引っ張り強度や耐熱・耐摩擦性が高く、切創や衝撃にも強いことから、もっぱらエンジニアリングプラスチックとしてスチールワイヤー、ガラス繊維、アスベストなどに置き換えられて利用される。次にパラ系アラミド繊維の主な用途を示す。

また、このケブラートワロンの成分に、ジアミノフェニレンテラフタルアミドを共重合したものが、テクノーラ (Technora®) であり、帝人が開発し、製造・販売している。 ケブラーとトワロンは液晶ポリマーであるため、製造時に特に延伸工程は必要ないが、テクノーラは液晶ではないので、製造時には延伸工程、熱処理工程が必須である。

メタ系アラミド

ノーメックス® (Nomex®) (デュポン東レ)あるいはコーネックス® (Teijinconex®) (帝人)は、poly-m-phenyleneisophthalamideとも呼ばれるm-フェニレンジアミンとイソフタル酸クロリドから共縮重合して得られるメタ系アラミド繊維である。ノーメックス®はデュポン社の商標であり、コーネックス®の商標でも帝人(株)からも製造販売されている。耐熱性繊維としてデュポン社が開発し、バグフィルターや樹脂補強剤に使用され、宇宙服等にも応用された。その後、バインダーに顔料を加えるピグメント染色が可能である為に日用品の用途が広がり、その防炎性を生かして、消防服やカーテンカーペットなどに利用されている。

Twaron

Twaron(トワロン)は帝人のパラ型アラミド繊維のブランドである。耐熱性のある強力な合成繊維で1970年代初頭にオランダアクゾノーベルのENKA部門が開発した繊維である。研究名はファイバーXだったがまもなくArenkaと呼ばれるようになった。オランダのアラミド繊維の開発はデュポン社のケブラーより少し遅かっただけだが1970年代のアクゾ社の金融上の問題により量産に入ったのはケブラーよりも大幅に遅れた。

歴史

Twaronの歴史:[1]:

  • 1960年代にFiber Xの開発が開始された。
  • 1972年にENKA研究所でArenkaと呼ばれるパラアラミドが開発された。
  • 1973年にアクゾは紡績の溶媒に硫酸を使用する事を決定した。
  • 1976年にパイロットプラントが建てられ1977年に生産を始めた。
  • 1984年に名前をTwaronに変えた。
  • 1986年に3箇所で9基のプラントが操業を始めた。
  • 1987年 Twaronは商品として発売された。
  • 1989年アクゾ社のアラミド繊維ビジネスはTwaron BVとして独立した。
  • 2000年から Twaron BVは帝人が所有し、現在は帝人Twaron BVと呼ばれオランダのアーネムを拠点とする。Twaronの主な生産拠点はオランダのDelfzijlである。
  • 2007年、帝人Twaronは6年間で4倍に拡大して社名も変更して帝人アラミドになった。[2]

[3] [4] [5]




  1. ^ Year of Twaron. “Twaron - A history of innovation”. Twaron News (June 2007): 10–11. http://www.teijinaramid.com/Upload/Documents/Twaron%20News/TEI7005TNJune%2010-11.pdf. [リンク切れ]
  2. ^ International Fiber Journal (2007). “Teijin Launches Fourth Production Expansion in Six Years”. Fiber Journal (February): 20. オリジナルの2007年8月19日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20070819131408/http://www.ifj.com/industryNews/rsIndustryNews2.asp?id=788. 
  3. ^ JWS Hearle (2004). High-performance fibres. Woodhead Publishing Ltd., Abington, UK - The Textile Institute. ISBN 1855735393. 
  4. ^ Doetze J. Sikkema (2002). “Manmade fibers one hundred years: Polymers and polymer design”. J Appl Polym Sci, John Wiley & Sons, Inc. (83): 484–488. 
  5. ^ L. Vollbracht and T.J. Veerman, US Patent 4308374 (1976)


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