ボルボ・カーズ ボルボ・カーズの概要

ボルボ・カーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/25 02:36 UTC 版)

Volvo Personvagnar AB
Volvo Car Corporation
ボルボ・カーズの本社
種類 株式会社
市場情報 Nasdaq Nordic VOLCAR B
略称 Volvo Cars
本社所在地  スウェーデン
418 78
Gunnar Engellaus väg 8, イエーテボリ
設立 1927年 (97年前) (1927)
業種 自動車製造
事業内容 乗用車の製造販売
代表者 ホーカン・サミュエルソン英語版 (CEO)
主要株主 浙江吉利控股集団 (82%)
主要子会社
  • Volvo Cars IndiaPacific
  • Volvo Cars of Canada
  • Volvo Cars of North America LLC
外部リンク www.volvocars.com
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ボルボ・カーズの前身は、ボルボ・グループ (いわゆるトラック部門や船舶エンジン部門で構成されるコングロマリット)の乗用車部門である。中国浙江吉利控股集団が8割の株式を保有している。

概要

ボルボの誕生

ボルボカーロゴ (1927年)

1924年、アッサール・ガブリエルソングスタフ・ラーソンによってスウェーデンでの自動車製造の計画が始まる。SKF社の後援で、1926年に自動車メーカーのボルボが誕生し、ボルボブランドの乗用車製造が開始される。 社名の由来は「私は回る」という意味のラテン語volvoに由来する。SKFのベアリングのブランドに因んだ名称である[1]

1927年4月14日、ヨーテボリヒジンゲン にある工場から「ヤコブ」と呼ばれるVolvoÖV4が最初に製造されたボルボ車である。

フォード資本への移転と商標の使用

1999年にボルボの乗用車部門がフォードに譲渡され、ボルボ・カーズとしてフォード社のプレミア・オートモーティブ・グループの1部門となった。フォードグループ共通のプラットフォームやエンジンを採用しつつ、ボルボのアイデンティティである「安全設計」を守り続けてきた。同社が生産販売する乗用車は、商標管理会社であるボルボ・トレードマーク・ホールディングABの利用許諾を得て2010年8月まではブランドを使用していた。

吉利汽車資本への移転

2010年8月、フォードは、中華人民共和国の吉利汽車の親会社の浙江吉利控股集団に、ボルボ・カーズのすべての株主の権利を18億ドルで売却した。

そしてフォードグループからの離脱を機に、完全自社開発で次世代のエンジン・シャーシを新開発し、順次採用している。

  • VEA (Volvo Engine Architecture):新パワートレーン「Drive-E」シリーズとして展開する。「基本設計は2リッター以下・4気筒以下であること」「可能な限りガソリンとディーゼルで構造を共有すること」「将来的にハイブリッドやEVなどの電動化に対応すること」の3点を柱に設計されている。
  • SPA (Scalable Product Architecture)・CMA (Compact Modular Architecture):電動化や自動運転化にも対応する、「相似形」「モジュール設計」によるコモンアーキテクチャー。SPAはEセグメント以上に、CMAは吉利車を含めたDセグメント以下の車種に使用する。

安全性の追求

「ボルボ設計の基本は常に安全でなければならない」という理念の基、安全装備の開発、事故調査の実施と設計へのフィードバックを行う企業方針と、北欧メーカーであるためヘラジカとの衝突を開発段階から考慮しムーステストを実施することから、「世界一安全なファミリーカー」と評価されていた。

また、各種安全装備に関して特許の公開を行い、自動車の安全性に貢献した。例えば、1959年にボルボは3点式シートベルトを発明して特許を取得するも、安全は独占されるべきものではないという考えからこの特許を無償で公開した。このおかげで、3点式シートベルトは全世界の自動車に付いている装置となった。

さらなる安全を目指して、2020年以降すべての車種で、スピードリミッターにより最高速度が180km/hに制限される[2]

電動化

ゼロ・エミッションに向けて、電気モーター駆動システムの開発導入を積極的に進めている。

  • 2017年7月5日:「2019~2021年の間に5機種の純EVを発売する」「2019年以降に発売される全モデルにガソリン・ディーゼルのプラグインハイブリッドと48Vマイルドハイブリッドを設定する」と発表。
  • 2019年:「2025年には世界販売の50%を純EVとする」と発表。
  • 2021年3月2日:「2030年には販売する全モデルを純EVとし、販売はオンラインのみとする」目標を発表する。

沿革

  • 1924年 - アッサール・ガブリエルソングスタフ・ラーソンらにより自動車製造が模索され設計が始まる。
  • 1926年 - プロトタイプ1号が完成する。同年、当時のスウェーデン最大企業だったベアリングメーカーSKF社の後援により、休眠中のSKF社子会社であるボルボ社の名称を使用し、自動車製造会社としてのボルボ社が創立する。
  • 1927年 - 乗用車製造を開始する。
  • 1930年代 - 元GMの技術者を招聘するなど、スウェーデンの比較的広大な国土に合わせた「小さなアメリカ車」的な設計がなされた。
  • 1944年 - 発表した小型車「PV444」が世界的な成功を収め、信頼性/耐久性で高い評価を獲得した。徐々にモデルは大型化して行くが、「世界一安全なファミリーカー」と評価された。
  • 1970年代 - 労働条件改善のためにベルトコンベアー生産方式を廃止し、各工程で工員数人から成る作業チームを主体とした生産方式を採用した。これは労働者に歓迎され、生産技術者らの注目を集める一方で、労働コスト高騰によって国際競争力を失い、結果として高級車の生産に移行していかざるを得なくなる。それ以前から高級車を製造しようというアイデアがボルボにはあり、50年代後半にV8エンジンを搭載した大型乗用車を開発する計画もあったが、小型乗用車の需要が米国で高まるという調査結果を踏まえこの計画は破棄された。
  • 1975年 - オランダDAFトラック社の乗用車事業を吸収した。
  • 1980年代以降 - 国際競争力を強めるため、「200」シリーズの改良と共に、「700」「900」シリーズを発表する。
  • 1992年 - FWD5気筒の礎となる「850」シリーズを発表する。
  • 1994年 - 同じスウェーデン企業のオートリブと世界初のサイドエアバッグを共同開発[3]
  • 1999年 - 世界的な自動車会社再編の中でボルボ・グループの乗用車事業が「フォード」に売却され、フォード傘下企業の「ボルボ・カーズ」 (Volvo Cars)となる。
  • 2010年8月 - 「浙江吉利控股集団」が筆頭株主となり、フォードグループから離脱。
  • 2018年 - 同じく吉利グループだが資本関係はない「ABボルボ」と路上危険データを共有することを発表[4]
  • 2021年 - ナスダック・ストックホルムに株式上場[5]。浙江吉利控股集団は筆頭株主の地位を保つ。

  1. ^ 第471回:ボルボの歴史を一望の下にスウェーデン本社のミュージアムを見学する”. webCG (2018年1月18日). 2020年4月13日閲覧。
  2. ^ ボルボ・カーズ、スピードの出し過ぎによる危険性を喚起するため、全車に時速180キロまでの速度制限を導入すると発表”. ボルボ・カー・ジャパン (2019年3月5日). 2020年5月14日閲覧。
  3. ^ 製品情報(What We Do):サイドエアバッグ”. オートリブ. 2018年1月1日閲覧。
  4. ^ 日本経済新聞(2018年5月7日)
  5. ^ 吉利傘下のVolvo CarsがストックホルムのNASDAQに新規株式公開を申請へ”. TechCrunch (2021年10月5日). 2021年12月21日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i https://group.volvocars.com/company/global-presence
  7. ^ a b c d e f http://www.volvocars.com/intl/corporation/FactsandFigures/Pages/default.aspx
  8. ^ 80年代輸入車のすべて - 魅惑の先鋭 輸入車の大攻勢時代. 三栄書房. (2013). pp. 35,95. ISBN 9784779617232 
  9. ^ 80年代輸入車のすべて - 魅惑の先鋭 輸入車の大攻勢時代. 三栄書房. (2013). pp. 94. ISBN 9784779617232 
  10. ^ 【ボルボ S60 新型】木村社長「国産ラージセダンからの積極的な代替えを狙う」”. レスポンス(Response.jp). 2019年11月13日閲覧。
  11. ^ ボルボカーズ初のSUVクーペ、『C40』発表…EV専用モデルに”. レスポンス(Response.jp) (2021年3月3日). 2021年11月19日閲覧。
  12. ^ ボルボ国内初の電気自動車C40 Rechargeを発表』(プレスリリース)ボルボ・カー・ジャパン、2021年11月18日https://www.vcj-press.jp/pressrelease/202111182021年11月19日閲覧 
  13. ^ "小さくても最高:電気自動車の小型SUV 「ボルボEX30」登場!" (Press release). ボルボ・カーズ・ジャパン. 7 June 2023. 2024年2月18日閲覧
  14. ^ "ボルボ、EVの小型SUV、「EX30」を11月22日に発売開始" (Press release). ボルボ・カーズ・ジャパン. 22 November 2023. 2024年2月18日閲覧
  15. ^ Volvo's History in Motorsports
  16. ^ 豪州SC:撤退を決めたボルボとチーム側が裁判沙汰。12月13日に連邦裁判所調停へ


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