ホンソメワケベラ ホンソメワケベラに擬態した魚

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ホンソメワケベラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/03 04:05 UTC 版)

ホンソメワケベラに擬態した魚

スズキ目イソギンポ科のニセクロスジギンポ Aspidontus taeniatus は、ホンソメワケベラとは全く別の仲間に分類される魚だが、ホンソメワケベラとよく似た体色をもち、泳ぎ方も似ている。これは一種の擬態である。

他の魚はホンソメワケベラと思って近寄るが、この魚は寄生虫どころか、皮膚や鰓を鋭い歯で食いちぎってすばやく逃げてしまう。英語では"False cleanerfish (ニセ掃除魚)"と呼ばれている。ホンソメワケベラと似た体色と行動を身につけることで、大型の魚から捕食されるのを防ぎ、食料も手に入れることができるという利点を得ている。これも生きる上での戦略の一つといえよう。

知性

ミラーテストに成功し、鏡像自己認知する能力があることが魚類で初めて確認された[4][5][6]。顎に茶色の印を付けると、を見たホンソメワケベラは、海藻や石で正しい側(鏡像とは反対)の顎をこすり、再び鏡の前に戻って印が取れたか確認する行為が観察されている。

大阪市立大学の実験では、ホンソメワケベラのミラーテスト合格率は「100%=14/14」で、知性が高いとされるチンパンジーの「40%」やゾウの「30%」より高かった[7]。この結果を同大理学研究科教授・幸田正典は、ホンソメワケベラの大脳皮質が発達している事と「野生の類人猿や大型ほ乳類ではを合わせることが相手への敵意に繋がる」ため鏡への注目度の低下による要因と推論している。また同大学による別の実験では、ホンソメワケベラは(番いのペアではない)仲良しの個体や家族の識別ができる結果も得られている。


  1. ^ 桑村哲生「ホンソメワケベラ-ハレムの雄がいなくなると…」『渚の生物』海鳴社、1981年、16頁。 
  2. ^ a b 奥野良之助 (1969), ホンソメワケベラの掃除行動I, 一般社団法人 日本生態学会, doi:10.18960/seitai.19.5_184, https://doi.org/10.18960/seitai.19.5_184 2020年4月29日閲覧。 
  3. ^ 雑学総研『人類なら知っておきたい 地球の雑学』より「動植物」(KADOKAWA、2018年)
  4. ^ 「鏡に映る自分」がわかる魚を初めて確認!~世界の常識を覆す大発見〜大阪市立大学(2019年02月08日)2019年4月14日閲覧。
  5. ^ If a fish can pass the mark test, what are the implications for consciousness and self-awareness testing in animals?PLOS BIOLOGY, Published: February 7, 2019(2019年4月14日閲覧)。
  6. ^ 「鏡の中の自分」がわかる魚を初確認、大阪市大」『ナショナルジオグラフィック日本版』。2018年9月14日閲覧。
  7. ^ 幸田正典「魚にも自分がわかる」第5章(157頁)。筑摩書房(2021年10月5日) ISBN 978-4-480-07432-4


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