ホワイトベース ホワイトベースの概要

ホワイトベース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 21:17 UTC 版)

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作中の軍事勢力である「地球連邦軍」の宇宙戦艦[1]、または宇宙空母[2]。人型ロボット兵器「モビルスーツ (MS)」の運用能力を持つ初の連邦軍艦であり、ガンダムなどのMSや戦闘機を複数搭載している。

劇中では「ジオン公国軍」の襲撃を逃れてきた主人公「アムロ・レイ」ら民間人が乗り込み、艦長の「ブライト・ノア」たち正規軍人とともに各地を転戦する。

デザイン

デザイン担当は大河原邦男[3]

本艦のデザインは元々『無敵鋼人ダイターン3』用のメカとして考案され、基本デザインまで描かれていたものの流用である[4]。そのためか、『ガンダム』の中で最も早くデザインに着手されたメカでもある(1978年7月[4])。準備稿段階では作品の仮タイトルが『フリーダム・ファイター』とされていたことから、本艦の名称は「フリーダム・フォートレス」であった[4]。当初はロボット的なメカを登場させるつもりはなく、宇宙空母である本艦が主役メカとなる予定であった[5]

スフィンクスがモチーフ
「木馬」という異名は、スポンサーとなるクローバーが「木馬のような形の宇宙空母だけではオモチャとして商売がしにくい」と要望したことにちなんでいるという[6]。ただし、大河原はスフィンクスをモチーフにデザインしたと発言している[3]
当初は主翼がなく、それが付けられた時点で「ペガサス」「コスモペガサス」「スペースペガサス」といった名称の候補が挙げられた[7]。クローバーから発売されたダイカスト製ホワイトベースは尾翼がT字型の1枚のみであるが、これはまだ準備稿段階のデザインを元にしたためである[8]
非現実的なデザイン
従来のロボットアニメと一線を画したリアルな科学考証が評判だった『ガンダム』において、本船が十分な揚力や垂直噴射もなしに空中を飛行していることの矛盾が指摘されており、後に書籍『ガンダムセンチュリー』においてこれを解決する設定としてミノフスキークラフトが考案され[9]、ひいてはミノフスキー粒子の諸設定に発展することとなった。
富野は「あんな戦艦、現実にはあるはずがないんです」とコメントしている。また、同様の経緯でトリコロールになったガンダムのカラーリングに対しても不快感を示している。さらに、富野は物語の中で動かしていくうちに「この形状の戦艦を飛行させたら、どう考えても戦闘機に簡単に撃墜されてしまう」ということに気付き、現実感のなさを痛感していたとされる。
ヤマト VS ホワイトベース
テレビ放送終了間際に発行された『月刊アニメージュ』1979年12月号で、「ヤマトとどっちが強いのですか?」という読者からの質問に対し、富野は「波動砲さえかわせれば、ホワイトベースが強いにきまっています」と答えた。また、「巨大ロボットになるんじゃないか?」という質問には、「テレビマンガの見過ぎです。『ガンダム』以外は観ないでください(笑)」と答えた[10][11]

艦体解説

諸元
ホワイトベース(WHITE BASE)
艦籍番号 SCV-70またはLMSD-71
分類 強襲揚陸艦
(または宇宙戦艦、全領域型戦艦、
宇宙空母、宇宙攻撃空母、強襲用重巡洋艦 他 )
艦級 ペガサス級
(またはホワイトベース級)
所属 地球連邦軍
建造 ジャブローAブロック1号ドック
全高 93m[12]/97m[13](艦橋まで83m[14]
全長 262m[12]/250m[13]
全幅 202.5m[12]/110m[14]/180m(主翼含む)[15]
全備重量 32,000t[12]/68,000t[13]
装甲材質 ルナチタニウム合金
推進機関 熱核ジェット/ロケット・エンジン×4×2[12]
ミノフスキー・クラフト・システム
出力 550,000馬力[15]
推力 16,000t×4×2または32,000t×2/550,000t[14]
最高速度 マッハ12(大気圏外)[14]
武装 880mm連装砲×2[12]/58cm連装主砲×1[14]
連装メガ粒子砲×2[14]
連装機関砲×18(計36門)
ミサイルランチャー×40(前部24門、後部16門[16]
有効射程 72km(主砲・地上)
乗員人数 最大収容人数:500名[15]
正規乗員数:128名または225名
艦長 パオロ・カシアスブライト・ノア
搭載数 MS×6または9, 12, 15ほか
航空航宙機×10
宇宙艇×不明
主な搭載機 RX-78 ガンダム×1
RX-77 ガンキャノン×1→2(劇場版)
RX-75 ガンタンク×1→0(劇場版)
航空航宙機×7→8→9
ガンペリー×1
FF-X7 コア・ファイター×6
Gファイター×0→1→2(テレビ版)
FF-X7-Bst コア・ブースター×0→1→2(劇場版)
宇宙艇×2
ランチ×2

地球連邦軍所属のペガサス級強襲揚陸艦2番艦。一部資料ではホワイトベース級1番艦で宇宙戦艦(SBB)、宇宙空母(SCV)、宇宙攻撃空母(SCVA)[17]、MS搭載強襲揚陸艦(LMSD)[18]、RX-MS用強襲揚陸艦[17] などと分類されることもある。小説版『機動戦士Ζガンダム』では、本艦の艦種を「強襲用重巡洋艦」と表記しており、これが後述する「ホワイトベースという存在は」うんぬんを一番表している艦種類別ではないかとされる。サイズや重量に関しては旧来より諸説が混在している(諸元参照)。

連邦の宇宙艦としては初めてMSの運用能力を持ち、V作戦のRX計画によって製造された「RX-78 ガンダム」、「RX-77 ガンキャノン」、「RX-75 ガンタンク」といったコア・ブロック・システム採用機の搭載を前提とした設備を持つ。

単艦多用途の戦艦
総監督の富野由悠季によれば、「ホワイトベースという存在は、戦争初期の敗退で生産力の激減した状態の連邦軍が単艦多用途を追求するあまり、“火力は戦艦以下、速力は高速艇以下、物資輸送能力は輸送機以下”という中途半端な艦を造ってしまった結果」なのだという[19]
とはいえ、搭載するMSの性能は高く、このMSも搭載火器の役割を果たしていた。この方式は軍部にとって結果的に満足できるものであったため、のちにアーガマ級やラー・カイラム級など、類似した方式をとる艦が建造される。
特徴的な機能
特徴的な機能として、ミノフスキー・クラフト・システムを利用した大気圏内での反重力浮上推進や、オプション装備なしで大気圏突入・離脱が可能であるが、この機能はのちの連邦艦艇にはほとんど引き継がれていない。
そのほかの機能としては、艦全体が主船体、エンジン、艦載機運用区画などにブロック化されており、部分部分を切り離すことが可能である(短期間での搭載機の宇宙戦闘機からMSへの大幅な設計変更や、ア・バオア・クーにおいてメインエンジンが破損した際にエンジンを切り離し、その結果、座礁し航行不能に陥るものの、致命的な損傷を免れたのはこの機能があったからである)。
両舷に艦載機用のリニアカタパルトを有し、その外観が馬が手足を前後に伸ばした形に似ていたため、ジオン軍からは「木馬」(英語版では" Trojan horse "『トロイの木馬』)のコードネームで呼ばれる。
その他、全ての砲塔を収納することができるのも特徴的。民生用の補給艦と偽装していた際や、大気圏突入の際に収納している。
艦籍番号
艦籍番号(ハルナンバー)は、『モビルスーツバリエーション』によれば「SCV-70」であり、一般的にはこちらが使われているが、これは宇宙空母あるいは宇宙攻撃空母としての番号である。講談社発行の書籍『機動戦士ガンダムMSVコレクションファイル 宇宙編』(1999年)によれば「LMSD-71」とされるが、これはMS搭載強襲揚陸艦としての番号である。

武装

武装は大口径連装実体弾砲 (前部主砲) 1基 (計2門)連装偏向型メガ粒子砲 (ビーム砲) 2基 (計4門)を主砲として装備している。実体弾砲、メガ粒子砲のいずれも従前の威力を凌駕している。

52(58[14])センチ(異説880ミリメートル[20])という史上最大の口径を持つ主砲の火力は従来の宇宙戦艦などと比べ強力で、弾頭重量2トン、最大射程70キロメートル(地上)にもおよぶ。ただし威力に比例して反動が大きいため、使用時にはほかの火砲の使用を制限する必要がある。メガ粒子砲は連邦総本部の南米ジャブローにて、ウッディ・マルデン大尉らによって宇宙で威力を発揮する新型に換装される[21]

一方で複雑な船体構造のため、武装の取り付けが制約され、それ以外は射程の短い近接戦闘兵器のみで副砲はなく、戦闘艦としての火力は前述のように重巡洋艦程度にとどまり、あとは連装機関砲18基ミサイルランチャー40門となっているため、防衛はMS頼りであった。[22]

開発経緯

V作戦により建造されたとされているが、『モビルスーツバリエーション』[23]などではやや異なる表記がされている。

一年戦争開始以前、地球連邦軍初の宇宙空母(SCV)開発計画である「SCV-X計画」という計画からの始まりであり、当初、搭載される予定であった機種はFF-S3 セイバーフィッシュ航宙戦闘機12機であったという。「SCV-X計画」では、複数の開発計画を進行させるものであったらしく、その中の「SCV-27計画」あるいは「SCV-27A計画」が採用される。その計画の1番艦として建造されたのが、ホワイトベースであるという。また一時期、議会通過のための偽装として宇宙戦艦(SBB)に分類されていたが、起工時にRXモビルスーツ用強襲揚陸艦もしくはモビルスーツ搭載強襲揚陸艦(LMSD)に種別が変更されたとされる。さらに竣工時に宇宙攻撃空母(SCVA)に変更されたという記述もある。

「SCV-27計画」あるいは「SCV-27A計画」の艦船の建造は、0077年度戦力整備計画で承認。宇宙世紀0078年2月に、ジャブローAブロック1号ドックで起工される(0079年起工説あり、また、建造されたドックは不明であるとする説もある)。翌0079年1月に始まった一年戦争の初期の大敗を受けてV作戦が発動され、本艦は宇宙戦闘機ではなく、MSの運用を前提とした艦に計画を変更され、同年4月に改修。進宙は7月。竣工は9月1日である。

本艦の艦級は『モビルスーツバリエーション』ではホワイトベース級であるが、公式設定ではペガサス級とされている。ペガサス(艦籍番号:SCV-69)の起工はほぼ同時期であり、本来、ペガサスのほうが先に就役する予定であった。しかし、エンジン部分の設計に問題が見つかり、ペガサスはその改修によって建造が大幅に遅れた。ホワイトベースは若干後から起工したことにより、建造がそこまで進んでいなかったために事前に回避することができ、結果としてペガサスより1週間早く竣工することができた。つまり、起工順に従えばペガサスが1番艦、ホワイトベースは2番艦となり、竣工順に従えばホワイトベースが1番艦、ペガサスは2番艦となる。この複雑な設定の経緯は、アニメ描写上は一番艦であるホワイトベースをのちにペガサス級と設定したため、ネームシップと一番艦の艦名が異なるという矛盾を回避するため、後付けで設定を追加したためである[24]

なお、このエンジン部分の問題は完全には解決せず、ホワイトベースはこの不調に大きく悩まされる。そのため、ペガサス級(SCV系統)は3番艦でいったん打ち切り、4番艦以降は大幅に設計を変更した準ホワイトベース級(改ペガサス級、SCVA系統)として建造を続けたとされる。富士急ハイランドの劇場アトラクション『GUNDAM THE RIDE』(2000年)によると、ペガサス級5番艦とされるSCV-73 ブランリヴァルが設定され、SCV系統も建造が続けられる。


  1. ^ テレビアニメ『機動戦士ガンダム』、映画『機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』のカイ・シデンのセリフ「ホワイトベースは船っつっても、宇宙戦艦てほうだからな」。
  2. ^ 講談社ポケット百科シリーズ『機動戦士ガンダム』(1981)
  3. ^ a b ラポート『アニメック』15号30頁。
  4. ^ a b c 『機動戦士ガンダム ガンダムアーカイブ』メディアワークス、1999年6月、14頁。
  5. ^ 映画秘宝』関係者の中にいたガンダム野郎編「サンライズ企画案デスク(当時) 飯塚正夫INTERVIEW 『機動戦士ガンダム』誕生の秘密 いかにして『ガンダム』は大地に立ったか」『ガンダム・エイジ ガンプラ世代のためのガンダム読本』洋泉社、1999年4月9日、ISBN 4-89691-379-5、64頁。
  6. ^ 『機動戦士ガンダム ガンダムアーカイブ』メディアワークス、1999年6月、28頁。
  7. ^ 『機動戦士ガンダム ガンダムアーカイブ』メディアワークス、1999年6月、51頁。
  8. ^ 『機動戦士ガンダム ガンダムアーカイブ』メディアワークス、1999年6月、52頁。
  9. ^ 浮遊原理については『ガンダムセンチュリー』に先行するロマンアルバムにおいて記述がある[要ページ番号]
  10. ^ 尾形英夫編「機動戦士ガンダム きみはこれを見て生きのびることができるか? ファンからのここが聞きたいガンダム67の質問」『アニメージュ 1979年12月号』徳間書店、昭和54年12月10日。雑誌 01577-12、30-31頁。
  11. ^ 氷川竜介藤津亮太編「第二章 TV版と音楽と ファンからのここが聞きたいガンダム67の質問(1979)」『ガンダムの現場から 富野由悠季発言集』キネマ旬報社、2000年10月16日。ISBN 4-87376-537-4、77-79頁。
  12. ^ a b c d e f 大河原邦男松崎健一監修『ファンタスティックコレクション・スペシャル 機動戦士ガンダム・マニュアル』朝日ソノラマ、1981年3月。
  13. ^ a b c 『アニメック』第6号、ラポート、1979年8月、18頁。
  14. ^ a b c d e f g 『講談社のポケットカード8 機動戦士ガンダム モビルスーツコレクション』1982年1月。
  15. ^ a b c 『アニメック』第7号、ラポート、1979年。
  16. ^ 第28話、31話より。
  17. ^ a b バンダイ『模型情報6月号・特別編集/モビルスーツバリエーションハンドブック第4集』(1984年)。
  18. ^ 講談社『機動戦士ガンダムMSVコレクションファイル 宇宙編』(1999年)。
  19. ^ みのり書房『ガンダムセンチュリー』(1981年)。
  20. ^ 講談社ムック「ガンダム解体新書 一年戦争編」より。
  21. ^ 『劇場版 機動戦士ガンダム II 哀・戦士』で、新型メガ粒子砲の設定が新しく描きおこされた 『テレビマガジン』1981年3月号付録「機動戦士ガンダム大事典下巻」(講談社)79頁。
  22. ^ 講談社『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション 3 連邦軍編』(1984年)。
  23. ^ 厳密には講談社発行の書籍『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション 3 連邦軍編』やバンダイ模型部(現:ホビー事業部)発行の雑誌「模型情報6月号/特別編集モビルスーツバリエーションハンドブック第4集」(共に1984年)
  24. ^ アニメ版では商標の関係でペガサスという名称が使えなかったため、急遽変更されたことによるが、小説版では『ホワイトベース級 一番艦ペガサス』であり、逆である。なお実在の軍艦にも、ロード・ネルソン級戦艦メリーランド (戦艦)愛宕 (重巡洋艦)のように、ネームシップと竣工順での一番艦が異なるケースは存在する。
  25. ^ 大徳 哲雄 編集 『月刊 OUT 4月号』みのり書房、1981年4月1日、p53頁。 
  26. ^ “安彦良和監督を支えた“3人の監督”がひも解く、40年ぶりに蘇らせた「ガンダム」への想い - 3ページ目”. MOVIE WALKER PRESS (MOVIE WALKER). (2022年6月9日). https://moviewalker.jp/news/article/1086892/p3 2022年6月10日閲覧。 


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