ホタテガイ ホタテガイの概要

ホタテガイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/25 23:33 UTC 版)

ホタテガイ
ホタテガイ
(貝殻の端に並ぶ黒い点は眼点[cf.])
分類
: 動物界 Animalia
: 軟体動物門 Mollusca
: 二枚貝綱 Bivalvia
階級なし : 自層鰓類 Autolamellibranchiata
亜綱 : 翼形亜綱 Pteriomorphia
: イタヤガイ目 Pectinoida
上科 : イタヤガイ上科 Pectinoidea
: イタヤガイ科 Pectinidae
: MizuhopectenMizuhopecten
: ホタテガイ M. yessoensis
学名
Mizuhopecten yessoensis
(Jay, 1856)
シノニム

Patinopecten yessoensis (Jay, 1856)
Patinopecten (Mizuhopecten) yessoensis (Jay, 1856)

和名
ホタテガイ
英名
Japanese scallop
貝の形状

食用としても重要な貝類の一つ。

呼称

学名

開国を要求するために日本に来航したマシュー・ペリー率いるアメリカ東インド艦隊黒船)が1854年函館湾で採取したサンプルを、 J. Jay が1856年に発表し、学名Mizuhopecten yessoensis と命名した[1]

諸言語名

日本語名

日本語では、標準和名ホタテガイ」の元となっている帆立貝が古くから呼称としてあり、これは、約10〜15cmぐらいの貝殻の一片をのように開いて立て、帆掛舟(ほかけぶね。cf. 帆船)さながらに風を受けて海中あるいは海上を移動するという俗説に由来し『和漢三才図会[2]においても記載が見られる。「貝」を省略した帆立ほたてホタテ)の名でも呼ばれることも多く、「ほたて○○」「ホタテ○○」「○○ほたて」「○○ホタテ」といった連結語的用法も目立つ(用例:ほたてウロ、ほたてタイル、ホタテマン)。

その他、板屋貝や、の形からそれをに見立てた海扇(うみおうぎ)との雅称もある[2]。また、武家久保田佐竹氏(久保田藩は「秋田藩」とも言う)の家紋に似ていることから秋田貝(あきたがい)とも呼ばれる。まれに車渠とよばれることもある[2]

なお、日本に限っては、この貝から取れる主たる食材貝柱であることから、代名詞的用法をもって貝柱俗称されることがある。

中国語名

中国語では、ホタテガイ類をに見立てて「扇貝簡体字扇贝)/拼音: shànbèi(シャンベイ)」と言う。ただし、Mizuhopecten yessoensis を特定する呼称は確認できない。

英語名

英語では scallop (イタヤガイ類)の一種である Mizuhopecten yessoensisJapanese scallop と呼ぶ。また、日本で「ホタテガイ(帆立貝)」と翻訳されることも多い scallop は生物学的には「イタヤガイ類」(おおよそ、イタヤガイ科)であって、その一種である「ホタテガイ」とは異なる。

フランス語名

キリスト教圏では英語で言うところの scallop (特にその一種であるイタヤガイ属)の貝殻は、中世以来、聖ヤコブの象徴物とされており、フランス語では「聖ヤコブの貝」を意味する “coquille Saint-Jacques仮名転写例:コキーユ・サンジャック]” の名で呼ばれている(#文化の節も参照のこと)。これは「ホタテガイ」とは異なる。

生物的特徴

貝殻の端に並ぶ黒い点は眼点

形態

殻径は20cmほどになる大きな二枚貝である。貝殻はふくらみが強い殻と弱い殻とが合わさっているが、ふくらみが強い方が右殻である。殻の中央には大きな閉殻筋貝柱-断面形の横紋筋とその傍らに断面三日月形の平滑筋)がある。また、外套膜(ヒモ)の周囲には、およそ80個の小さな眼点()があり(画像を参照のこと)、明るさを感じることができる。水管や砂に潜るための足は発達せず、砂底で右殻を下にして砂にもぐらずにくらす[3][4]

生態・分布

生息に至適な海水温は +5〜+19の冷水であるが、−2〜+22℃の間なら生きていける(稚貝はさらに4℃ほど高温でも耐えられる)。浅海の砂底に生息し、自然分布域はロシアカムチャツカ半島千島列島サハリン沿海州日本北海道東北地方朝鮮半島北部など。日本での南限は日本海側が能登半島太平洋側が千葉県とされている[5]が、大規模な商業的漁業が可能なのは東北地方三陸海岸以北である。

中華人民共和国アメリカ合衆国の一部でも養殖され、乾物に加工されて流通しているが、養殖場はいずれも日本以上に水温が高い海域であるため、イタヤガイなど、別のであると考えられている。

天敵ヒトデオオカミウオミズダコなどである。襲われた際は閉殻筋で力強く殻を開閉させて外套膜から海水を吹き出し、泳いで逃げることができる[6]


  1. ^ 山崎友資 図書「臼尻水産実験所付近の貝類」 北海道大学北方圏フィールド科学センター臼尻水産実験所 2017年7月27日閲覧
  2. ^ a b c 和漢三才図会.
  3. ^ 速水格「ホタテガイ類の自然史」(PDF)『日本古生物学会144回例会普及講演会』第41巻、1995年6月、NAID 10003621605 
  4. ^ Alejandrino, Alvin (2014). “Convergent evolution of life habit and shell shape in scallops (Bivalvia: Pectinidae) with a description of a new genus”. Iowa State University. doi:10.31274/etd-180810-2509. https://doi.org/10.31274/etd-180810-2509. 
  5. ^ 木村稔 (2002). ホタテガイ貝柱の品質保持に関する研究 (博士 (水産学) 乙第72号). Vol. 東京水産大学. NAID 500000227494. CRID 1110001310147265664
    木村稔「ホタテガイ貝柱の品質保持に関する研究」『北海道立水産試験場研究報告』第65号、北海道立水産試験場、2003年、1-47頁、ISSN 0914-6830 
  6. ^ フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉〜へぇの本〜 3』講談社、2003年。 
  7. ^ a b 平成28年漁業・養殖業生産統計
  8. ^ 嶋田宏、西田芳則、伊藤義三 ほか、ホタテ稚貝放流レポート 網走市
  9. ^ 嶋田宏, 西田芳則, 伊藤義三, 水島敏博「噴火湾八雲沿岸における養殖ホタテガイの成長,生残と漁場環境要因の関係」『北海道立水産試験場研究報告』第58号、北海道立水産試験場、2000年9月、49-62頁、ISSN 0914-6830NAID 10012484525 
  10. ^ 噴火湾ホタテ貝の付着物対策について 北海道庁 (PDF)
  11. ^ ほたての輸出 函館税関 (2015年3月18日)
  12. ^ “農林水産物と食品の輸出額 過去最高に ホタテ貝が品目別トップ”. NHK. (2023年2月3日). https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230203/k10013969431000.html 2023年2月24日閲覧。 
  13. ^ 産廃の有効活用と高品質を両立させたチョークの開発”. Local Resource News:ローカルリソースニュース. 2022年10月17日閲覧。
  14. ^ 笹木圭子、本郷大、恒川昌美「廃ホタテ貝殻焼成物を原料とするaragonite型軽質炭酸カルシウムの合成(第2報) -種結晶としてaragonite型炭酸塩を用いる方法-」『資源と素材 : 資源・素材学会誌』第114巻第10号、社団法人 資源・素材学会、1998年9月25日、709-713頁、doi:10.2473/shigentosozai.114.709NAID 10002468096 
  15. ^ 笹木圭子、小林弘幸、恒川昌美「ホタテ貝殻および石灰石を原料としたaragoniteの合成 -遂次反応による形態制御-」『資源と素材 : 資源・素材学会誌』第117巻第9号、社団法人 資源・素材学会、2001年9月25日、747-752頁、doi:10.2473/shigentosozai.117.747NAID 10007496156 
  16. ^ ホタテ貝殻の機能性”. エムエス・ラボ. 2010年4月8日閲覧。
  17. ^ 貝類中の微量元素濃度東京都健康安全研究センター 研究年報 2002 年 和文要旨
  18. ^ 古崎睦「ホタテ貝中腸腺の焼却処理における含有重金属の物質収支」『分析化学』第48巻第9号、社団法人日本分析化学会、1999年9月5日、829-834頁、doi:10.2116/bunsekikagaku.48.829NAID 110002905768 
  19. ^ 作田庸一、嶋影和宜「湿式製錬プロセスによる水産系廃棄物(ホタテウロ)のリサイクル技術の開発」『資源と素材 : 資源・素材学会誌』第120巻第2号、社団法人 資源・素材学会、2004年2月25日、71-77頁、doi:10.2473/shigentosozai.120.71NAID 10012099473 


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