ベーキングパウダー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/29 09:46 UTC 版)
ガス発生剤の加熱分解及びガス発生剤と酸性剤の中和反応によりガスが発生する[1]。
出芽酵母(イースト)を使用する際の精密な温度管理と「寝かし」工程が不要で、生地中の砂糖や油脂などの影響を受けにくく保存性が良いことから利用が広まった。
組成と種類
ガス発生剤を単独で用いる物と酸性剤 + 遮断剤が配合されている物がある。一般に市販されるベーキングパウダーは、ガス発生剤 + 酸性剤 + 遮断剤を一包式にしたものである[2]。
- 酸性剤
- 中和反応によってガス発生剤の分解を促進する[2][3]。成分の配合を変えることで、ガス発生が最大になるタイミングも変える事が出来る[4]。
- 酒石酸水素カリウム、リン酸二水素カルシウム (別名第一リン酸カルシウム)、酒石酸、焼ミョウバン、フマル酸、リン酸ナトリウム、グルコノデルタラクトン、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性リン酸アルミニウムナトリウム (NaAl3H14(PO4)84H2O) など。
一剤式
アルカリ性剤 + 酸性剤 + 分散剤
分解によって炭酸ナトリウム、炭酸ガス、水が生成するが、生地を膨らませる元になるのは炭酸ガスである。炭酸ナトリウムはアルカリ性で刺激ある苦味を示すが、酸性剤(助剤)等で中和され無味となる[3]。
二剤式
アルカリ性剤、酸性剤を二包式に分け、使用時に混合する[2]。
化学反応式
代表的な反応式の例[4]、
ベーキングパウダーはドイツ人の化学者、ユストゥス・フォン・リービッヒ (Justus von Liebig) の弟子の1人であるエーベン・ノートン・ホースフォード (Eben Norton Horsford) の手で1856年に研究が始められた[要出典]。ドイツ人薬剤師のアウグスト・エトカーが1891年に売り出し[6]、現在でもドイツでは同じ Backin の名で売られている[7]。エトカーは1903年に特許を取得している。
- ^ 平井俊男「ベーキングパウダーについて」『化学と教育』第49巻第10号、日本化学会、2001年。doi:10.20665/kakyoshi.49.10_667 。
- ^ a b c d e “ベーキングパウダー(膨脹剤)”. 大宮糧食工業株式会社. 2018年8月8日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2018年8月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l 「重曹」と「ベーキングパウダー」の違い、東京ガス 食の生活110番Q&A
- ^ a b 小西旭、「ベーキングパウダー合成膨脹剤」『調理科学』 1975年 8巻 3号 p.126-131, doi:10.11402/cookeryscience1968.8.3_126
- ^ 齊藤紅、簑島良一、椎葉究、「ミョウバンとその代替化合物の添加がパンケーキの膨張と構成タンパク質に与える影響」『日本食品科学工学会誌』 2016年 63巻 4号 p.170-175, doi:10.3136/nskkk.63.170
- ^ Company History, Dr. August Oetker 社
- ^ Backin (Dr. August Oetker社の商品紹介)
- ^ a b c d e f What Is the Difference Between Baking Soda & Baking Powder?, About.com
- ^ a b c d e f g What is the Difference Between Baking Soda and Baking Powder?, wisegeek.com
- ^ 佐々木晴代「アルミニウムはアルツハイマー病の原因物質か?」『ファルマシア』第26巻第7号、日本薬学会、1990年、 727-728頁、 doi:10.14894/faruawpsj.26.7_727。
- ^ 紅, 齊藤、良一, 簑島、究, 椎葉「ミョウバンとその代替化合物の添加がパンケーキの膨張と構成タンパク質に与える影響」『日本食品科学工学会誌』第63巻第4号、2016年、 170-175、 doi:10.3136/nskkk.63.170。
- ^ 「百名が中毒 危ういフクラシ粉」『朝日新聞』昭和22年9月29日.2面
- 1 ベーキングパウダーとは
- 2 ベーキングパウダーの概要
- 3 重曹との違い
- 4 関連項目
ベーキングパウダーと同じ種類の言葉
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