プロレスラー 職業病

プロレスラー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/08 16:21 UTC 版)

職業病

  • 戦いを見せる職業であるため、現実を見た場合、心身ともに酷使した結果の職業病を抱える者が大半である。常人の数倍の治癒速度を持つと豪語する者もいるが、などに慢性化した持病を抱えている者が多い。特に、空中殺法を得意とするレスラーは、持病の進行が速いと言われる。
  • 度重なる手術と激戦の結果、肘や膝が正しく曲がらなくなってしまった者や、骨折したまま試合を続け自然治癒したが歪んだ形で骨が癒着した者もいる。左膝が直角に曲がらなくなった大仁田厚が有名である。
  • 巨漢レスラーの場合は、特に体を支える下半身の関節部に持病を持つものも多い。しかし、巨漢であるために投げられる回数が少なく、自己管理の下で大きな負傷をほとんどしなかったジャイアント馬場のようなレスラーも存在する。巨漢レスラーの場合は、慢性的な内臓疾患を抱える者も多い。ビッグ・ショーはインタビューで自身が長生き出来ないことは覚悟している、と述べている。
  • 一般的な健康保険や生命保険に加入できない、加入できても保険料が極めて高い事が珍しくない。また、加入できたとしても業務(プロレスの試合・練習)に起因する傷病については適用外という契約であることも多い。その為、フリーランスの者はもとより団体所属の人気レスラーでも、契約内容によっては病気や負傷での長期戦線離脱は事実上の無収入状態に直結する。そのため、試合ができなくなって経済的に窮したという話は、著名なレスラーであっても過去に幾らでも聞かれるものである。
  • 健康面で大きな問題を抱えていても、経済的事情などからそれを隠して無理をして試合出場を続ける者も多く、倒れたときには手遅れ、あるいは選手として再起不能であったというケースも存在する。
  • ジュニアヘビーなどの軽量級からヘビー級へ転向したレスラーの中には、大柄な相手との過酷な試合や無理な肉体増強、或いは長年の痛み止め(ペインキラー)の副作用などの末に心身を故障して引退に追い込まれるケースが多い。元々上背が低く肉体増強によって体重をヘビー級に乗せたレスラーほど、頭から投げ落とされる危険な技を元々ヘビー級であった長身なレスラーと比べて受けやすい為に、脳へのダメージが蓄積して深刻な障害を呈する場合もある。この極端な例がクリス・ベノワ最期の事件であり、ベノワの死後病理解剖に当たった医療専門家らは、ベノワの事件は慢性的な外傷性脳損傷が原因という見方を示した(専門家チームは、ベノワの脳の状態は85歳程度のアルツハイマー患者の脳に酷似していた、と述べている)[9]

プロレスラーの健康面についての問題

プロレス大国であるアメリカにおいては、著名なプロレスラーの絶対数も多いだけに、レスラーの死が頻繁に報道される。

レスラーとしてはまだまだ働き盛りであるはずの50歳以下での突然死も多く見られ、筋肉質の体型が多いことから筋肉増強を目的にステロイド薬を使っている為であるという報道も多い。ただし引退しても60歳前後で亡くなるケースもまた多い。対して、日本のレスラーの場合はガンなどによる死亡が一番多く記録されている。また、日米共通して言えることとして、最晩年には肝硬変糖尿病に苦しめられていたと伝聞される者が少なくない。

日米問わずレスラーはその職業上の特徴として長期間の巡業が多く、日々の食生活とハードトレーニングでその逞しい肉体を作ったり、外食にしてもプロモーターなどとの会合や後援者タニマチへのサービスなどが少なくないという意味では食事も仕事の一環であるため、肉類への偏りや暴飲暴食、飲酒過多などの問題があると考えられている。

実際、過去に報道されてきたプロレスラーの死のほとんどは試合中の事故に起因するものではなく、まだ激しい肉体労働の商売である事を考えれば、現実的に見れば食生活の面の問題が大きい状況が伺われる。

WWEでは、1987年よりコカインヘロインなどの麻薬に関する検査を所属選手に対し行っている。また、2000年代に入り一時薬物が原因と見られる所属選手の死亡事故が相次ぎ、中にはエディ・ゲレロなどのスター選手も含まれていたことから、2006年より所属選手に対し定期的にドーピング検査を実施している。これらの検査の結果、問題が発覚した場合には契約を打ち切られ解雇される場合もある。

しかし、このような検査を導入している団体は世界的に見ればごく一部であり、依然多くの団体において選手の健康・肉体面の管理がなおざりにされ、各所に薬物の影響の影がちらついていることは否めない。


  1. ^ 「日本版アスレチックコミッション」 - 東京都議会議員 早坂よしひろ 公式ホームページ
  2. ^ 東京スポーツ・2009年3月18日付 7面
  3. ^ プロレスに「医師の出場許可書」を義務化 - 日刊スポーツ・2009年7月28日
  4. ^ 東京スポーツ・2011年3月6日付 28面
  5. ^ 「大日本プロレス」求人広告の待遇と特典が率直すぎる - ねとらぼ・2014年5月23日
  6. ^ 東京スポーツ・2009年5月20日付「格斗半世紀」第57回
  7. ^ この種の逸話としては、アンドレ・ザ・ジャイアントキラー・カーンのエピソードが有名。
  8. ^ 永源はレスラー引退後もプロレスリング・ノア常務取締役を長く務め、所属団体の営業面の一翼を担っていた。
  9. ^ 2007年9月5日付 ABC News(英文リンク)
  10. ^ ラッシャー木村が典型的な例で、2004年に「体力の限界」を理由に引退を表明したが、現役引退直後に脳梗塞で倒れていたことは、2010年の死去まで隠され続けた。
  11. ^ 一般的にはこのような状態となり、明確な引退発表を行わないままプロレスラーとしての活動が途絶えた者はセミリタイヤ状態として形容される事が多い。ただし、安定した収入が得られるようになった後に、本業の合間に趣味程度の割合でリングに復帰する者も散見される。
  12. ^ ただし実際には数試合限定復帰をしている。詳しくは小林邦明を参照。




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