プロレスラー 活動期間、廃業

プロレスラー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/08 16:21 UTC 版)

活動期間、廃業

  • 近年の男子プロレスラーはピークを迎えるのが平均して30代前半と、競技スポーツを行う選手に比べ若干高い。これは、野球やサッカーなどと比べアマチュアがなく、身体的能力よりも表現力や集客力などレスラーにとって重要な能力の醸成にはある程度の期間が必要となるためである。デビューが早いものや、秀でた才能を持つ者はこの限りではない。
  • 身体的な負担は大きいが、現役選手として長い間活動出来ることも特徴。投げ技や飛び技を抑えたファイトスタイルにし、50歳を超えて現役を続けているものも多い。これは、プロレスが相手の肉体を破壊する真剣勝負である必然性が無いことに起因する。他競技では引退するような年齢であってもジャイアント馬場ラッシャー木村アブドーラ・ザ・ブッチャージプシー・ジョーなど還暦を超えても継続してリングに上がるレスラーもいる。肉体が衰えても、Tシャツなどを着用し、体の緩みを隠して試合をするレスラーは多い。肉体をきちんとビルドアップして試合に臨む選手も数多く存在する。
  • 統一機関によるライセンス制度が無いため、成績不振や試合内容の低下などを理由にした強制引退制度が存在しない。年齢制限も無いことから、女子プロレスのアイスリボンなどでは小中学生が試合を行っている。また、どインディという俗称で呼ばれるローカルインディ団体の中には、一般人とほぼ変わらない人間をレスラーとして興行に参加させている場合もある。
  • レスラー廃業の要因としては、上述したような職業病の慢性化などの肉体面の損耗の問題が多いが、その一方で、移動と興行を頻繁に繰り返し続ける典型的な旅商売であり、家を空ける事が多い為、家族関係が崩壊して離婚する者や、子供の非行など家庭面での問題を抱え、表向きはまた別であってもこれが最大の原因となる者も少なからず見られる。
    • 肉体的にはまだまだ続けられても、自身の将来の健康面への不安、少なからぬプロレス団体がレスラーの健康管理を軽視している事への不安、家族との時間を大切にしたいという理由で廃業する者もいる。
  • 一度はリング上から完全に離れ、団体フロントや他業種(芸能界など)に転じた元レスラーであっても、話題作りの一環やチャリティーなどを目的としてワンマッチ・数試合限定でリングに復帰することは珍しくない。近年の代表例は坂口征二など。中にはダンプ松本のように後に第一線に完全復帰する場合もある。
  • 他方で、ベテランレスラーの場合、上述したようなショーマンシップを重んじる考えから、廃業を機に「衰えた姿(あるいは病身)を見せたくない」として表舞台やマスコミには全く姿を見せなくなる人物は珍しくなく、長い間情報が途絶え、数年ぶりのニュースで名前を聞いたらそれが訃報であったという人物も見られる。強さを誇示することで身が立つ世界で生きてきた人物たちだけに、現役プロレスラーと同様、引退後でも闘病や療養の事実が公になることを嫌う元プロレスラーも少なくない[10]
  • 試合中・練習中・移動中の不慮の事故で脊椎損傷などのプロレスラーの職業生命を絶たれるほどの重い身体障害を負い、引退を余儀なくされた人物の場合には、心配してくれるファンへの状況報告や御礼、事故などで同様の障害を負って苦しむ人々への激励などという意味を込めて、敢えてマスコミの前に懸命にリハビリを続ける自身の姿を見せる者もいる。

プロレスラー引退後の生活に懸かる問題点

日本のプロレスには統括的な団体が存在せず、ステップアップとなるカテゴリー・リーグ制度も存在しない事から、日本相撲協会に見られるような引退後の職業の受け皿となるような組織も、プロ野球Jリーグモータースポーツに見られるような学生による競技組織や下位カテゴリーへの指導者としての就職といったケースも見受けられない。ボクシング等の他の格闘技に見られるような興行団体から独立したジムや道場がほとんど無く、団体所有道場で養成が行われる形態が採られる為、選手としての経験を生かして指導の立場に立てる機会自体がプロレスには極めて少ない。比較的大きな団体の場合には団体職員として再雇用されたり、坂口征二のように社長など役員を兼任するレスラーがその役職に専念するケースもあるが、所属団体の崩壊により現役継続の岐路に立たされた場合には、失業と同様の状態となってしまうケースも少なくない。

一部のレスラーはアントニオ猪木アニマル浜口風香のように引退後に自ら団体や道場を起こしたり、小橋建太のようにプロモーターに転じたり、実業家タレントへの転身、或いは料理店を起こしたり家業の継承により引退後の生活を安定させるケースもある[11]が、元々経営感覚に乏しい者や、一般の社会生活に適応できなかった故にレスラーへの道を選択した経緯を持つ者、ギャンブル等に傾倒する癖のある者に至っては引退やセミリタイヤ後に完全に生活が破綻してしまうケースも見られ、最悪の場合には剛竜馬のように生活苦から犯罪を犯してしまったり、アダルトビデオに出演して家庭が完全に崩壊してしまうケースに至る場合もある。

その為、健康上や肉体的な問題から当に現役を務めるには無理がある年齢となっても、定職が見つけられないままローカル団体を転々としながらリングに上がり続けざるを得ない元メジャー団体所属レスラーは近年しばしば見られ、業界全体の構造問題として捉えられる向きも多いが、特に日本においてはこの問題に真摯に取り組む団体はなく、顧みられることが無い状態である。


  1. ^ 「日本版アスレチックコミッション」 - 東京都議会議員 早坂よしひろ 公式ホームページ
  2. ^ 東京スポーツ・2009年3月18日付 7面
  3. ^ プロレスに「医師の出場許可書」を義務化 - 日刊スポーツ・2009年7月28日
  4. ^ 東京スポーツ・2011年3月6日付 28面
  5. ^ 「大日本プロレス」求人広告の待遇と特典が率直すぎる - ねとらぼ・2014年5月23日
  6. ^ 東京スポーツ・2009年5月20日付「格斗半世紀」第57回
  7. ^ この種の逸話としては、アンドレ・ザ・ジャイアントキラー・カーンのエピソードが有名。
  8. ^ 永源はレスラー引退後もプロレスリング・ノア常務取締役を長く務め、所属団体の営業面の一翼を担っていた。
  9. ^ 2007年9月5日付 ABC News(英文リンク)
  10. ^ ラッシャー木村が典型的な例で、2004年に「体力の限界」を理由に引退を表明したが、現役引退直後に脳梗塞で倒れていたことは、2010年の死去まで隠され続けた。
  11. ^ 一般的にはこのような状態となり、明確な引退発表を行わないままプロレスラーとしての活動が途絶えた者はセミリタイヤ状態として形容される事が多い。ただし、安定した収入が得られるようになった後に、本業の合間に趣味程度の割合でリングに復帰する者も散見される。
  12. ^ ただし実際には数試合限定復帰をしている。詳しくは小林邦明を参照。




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