ブロッコリー 種類

ブロッコリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/26 05:03 UTC 版)

種類

ブロッコリーのなかまは、茎の先端部分に蕾をたくさんつける「頂花蕾型」や、茎から伸びた脇芽の先に小ぶりな蕾をつける「わき芽型」がある[12]

一般に市場でブロッコリーと呼ばれるものは「頂花蕾型」のもので、冬に多く出回る[12]品種としてはピクセル、エンデバー、グリーンベール、シャスター、パラグリーン、マーシャル、チャレンジャー、海嶺、雷鳴、緑炎、緑帝、緑笛、緑嶺などがある。花蕾の部分は濃緑色が一般的であるが、黄緑色、紫色、白色などの品種もある[6]。蕾が濃緑色のものでも紫色を帯びているものもあるが、これは寒さが原因で色づいたものである[12]。また、黄緑色、白色の品種はほとんど流通していない[6]

一般的なブロッコリーと比べて、茎の部分が長くて蕾が複数つく「わき芽型」系統は、「茎ブロッコリー」と呼ばれており、茎がやわらかく、甘みがあるのが特徴である[12]。「スティックセニョール」などの品種がある[3]

近縁のカリフラワーとの交配種に、ロマネスコ(一般にカリフラワーの一種と扱われる)が知られる[14]

栽培

一年のうち、早春に種をまいて夏に収穫する方法と、夏に種をまいて冬に収穫する方法があり、種をまいて苗を作り、収穫するまで約3か月を要する[11]。夏の暑さには弱く育苗が難しいため[15]日本では6月から9月に種を蒔きを育成して、育成した苗を圃場()に植えて収穫まで育てる[16][17]。栽培難度はふつうであるが、多湿に弱い性質がある[18]。他のアブラナ科作物同様、連作障害があり、2 - 4年は同じアブラナ科の野菜を作ることが不可とされる[15][11]。栽培に適した土壌酸度は pH 6.0 - 6.5 で、生育適温は15 - 20℃、発芽適温が15 - 30℃とされる[11]。10 - 20℃が生育に適しており、5℃を下回るような低温環境や25℃を上回るような高温環境では生育が抑制される[19]。15℃以下の低温にあうと花蕾ができる[15]。育て方は、キャベツとほぼ同様である[15]

ブロッコリーは多肥を好む性質で、用土は苦土石灰と有機質の元肥を多めにすき込んで耕した畑にを作る[15]。種まきは、季節に合わせて発芽に適した温度管理を行い、育苗箱に種を筋まきして本葉が出始めたら、1、2本ずつ育苗ポットに植え替える[18]。本葉が5 - 6枚になった苗を、畑に作った畝の中央に40 - 50 cm間隔で植え付け、植え付け直後はたっぷり水やりを行う[20][21]。気温が涼しくなると、中央部に花蕾ができ始める[15]。ただし、育成初期の葉数が少ないときに極端な低温に遭うと、早くに花芽ができてしまい花蕾が大きくならないボトニング(早期抽だい)現象が起こることがある[21]。植え付け後は約10日から2週間おきに追肥と土寄せを行って育成し、頂部についた花蕾が直径15 - 20 cm程になったら収穫の適期となる[14][20][21]。冬期の収穫では、花蕾が紫色になることがあるが、これは低温の影響でアントシアニン色素が生じたためで、食用には全く問題が無い[21]。頂花蕾を収穫した後も、側芽(側花蕾)が出てくる品種もあり、これも収穫する目的で2週間おきに追肥と土寄せを欠かさず行えば、しばらくの間は直径5 cmほどに育った側花蕾の収穫も続けられる[14][21]

家庭で育てやすいのは、小型品種や、茎ブロッコリー(スティックセニョール)などで、コンテナで栽培することも出来る[14]

病虫害はアブラムシアオムシコナガヨトウムシ、根こぶ病[注 1]、軟腐病(なんぶびょう)[注 2]萎黄病(いおうびょう)[注 3]などがあり、特に生育初期に害虫の被害に遭いやすい[15][11]。対策として、レタスなどのコンパニオンプランツを混植したり、寒冷紗によるトンネル栽培などを利用して予防するほか、害虫を見つけたらすぐに取り除く[20]

生産・流通

日本のカリフラワーとブロッコリーの収穫量の推移(1973-2012年)
世界のカリフラワーとブロッコリーの収穫量の推移(1961-2012年)
世界のカリフラワーとブロッコリーの生産地域(2005年)

日本での主産地は北海道(2012年収穫量:22,600t、栽培面積:2,440ha)、愛知県(同:15,700t、951ha)、埼玉県(同:14,900t、1,260ha)であり[23]、市町村別では愛知県の田原市が全国で最も生産量が高い[24]

常温でも外見が変化しないカリフラワーに対し、ブロッコリーは収穫後ただちに低温保存しないと変色が進んでしまうことから、保存技術が未熟だったかつては、ブロッコリーの流通量は、カリフラワーに大きく水を開けられていた。しかし低温流通技術の開発や家庭における冷蔵庫の普及により、1980年代頃からブロッコリーの生産・流通が急速に拡大。現在、東京都中央卸売市場における取扱量では、ブロッコリーが約13万トン、カリフラワーは約2万トンと、かつての状況とは完全に逆転している[25]。農林水産省は、35品目の「特定野菜」になっているブロッコリーを消費量が多く国民生活に重要な「指定野菜」にブロッコリーを追加すると発表した。新規の追加は1974年のバレイショ以来、半世紀ぶりになる。この措置は2026年度から適用される。[26]

日本における出荷量上位10都道府県(2016年)[27]

収穫量順位 都道府県 出荷量(t)
1 北海道 19,300
2 愛知 13,800
3 埼玉 12,600
4 香川 11,000
5 長野 8,120
6 徳島 7,720
7 長崎 6,240
8 群馬 4,990
9 鳥取 4,380
10 福岡 4,270
全国 127,900

世界のカリフラワーとブロッコリーの収穫量上位10か国(2020年)[28]

収穫量順位 収穫量(t)
1 中華人民共和国 9,558,156
2 インド 8,840,000
3 アメリカ合衆国 1,259,135
4 スペイン 746,510
5 メキシコ 686,788
6 イタリア 365,360
7 トルコ 311,391
8 バングラデシュ 283,157
9 フランス 257,130
10 アルジェリア 242,990
世界計 25,531,274

日本は13位で190,493tを生産する[28]


注釈

  1. ^ 土壌中のカビを原因とし、根が感染して細胞が異常増殖してこぶ状になる。主にアブラナ科植物に発生しやすい。
  2. ^ 土中の細菌が原因で、植物の傷から入って地面近くの葉や茎がドロドロに軟化して腐敗する病気[22]
  3. ^ 糸状菌(カビ)を原因とする病害で、土壌から根を伝って感染すると苗が萎縮して枯死する。

出典

  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Brassica oleracea L. var. italica Plenck”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月11日閲覧。
  2. ^ 藤田智・編著『旬を育てる 旬を味わう 野菜づくり大図鑑』講談社, ISBN 978-4062137539 より
  3. ^ a b c d e f g h i j 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 49.
  4. ^ 外間数男 ほか「パラグアイにおける野鳥による野菜被害」『沖縄農業』Vol.43 no.1 p.67-78, hdl:20.500.12001/4781
  5. ^ メグ・マッケンハウプト 著、角敦子 訳『キャベツと白菜の歴史』原書房〈「食」の図書館〉、2019年4月23日、29頁。ISBN 978-4-562-05651-4 
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 講談社編 2013, p. 136.
  7. ^ a b 星川清親. “ブロッコリー”. 日本大百科全書(ニッポニカ)(コトバンク). 2021年8月9日閲覧。
  8. ^ 蔬菜栽培法』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
  9. ^ 果樹蔬菜品種一覧表. 果樹蔬菜品種一覽表』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
  10. ^ a b c d 主婦の友社編 2011, p. 152.
  11. ^ a b c d e f 藤田智監修 NHK出版編 2019, p. 140.
  12. ^ a b c d e f g h i 主婦の友社編 2011, p. 153.
  13. ^ ブロッコリー「重要な野菜」に昇格”. 読売新聞. 2024年1月21日閲覧。
  14. ^ a b c d 主婦の友社編 2011, p. 157.
  15. ^ a b c d e f g 主婦の友社編 2011, p. 156.
  16. ^ ブロッコリーの栽培方法 農林水産省
  17. ^ 山田式家庭菜園教室 ブロッコリー タキイ種苗
  18. ^ a b 金子美登 2012, p. 140.
  19. ^ ブロッコリー|基本の育て方と本格的な栽培のコツ”. アグリコネクト. 2021年1月27日閲覧。
  20. ^ a b c 金子美登 2012, p. 141.
  21. ^ a b c d e f 藤田智監修 NHK出版編 2019, p. 141.
  22. ^ 金子美登 2012, p. 252.
  23. ^ 作物統計調査>作況調査(野菜)>確報>平成24年産野菜生産出荷統計>年次>2012年”. e-Stat. 総務省統計局. 2014年11月6日閲覧。
  24. ^ 農産物輸出の推進 ブロッコリー”. 豊橋田原広域農業推進会議. 2014年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月19日閲覧。
  25. ^ 「カリフラワーとブロッコリー、盛衰くっきり 変わる食卓」朝日新聞デジタル2013年3月25日閲覧
  26. ^ ブロッコリー「重要な野菜」に昇格…購入量増加、半世紀ぶり「指定野菜」に”. 読売新聞オンライン (2024年1月21日). 2024年1月23日閲覧。
  27. ^ 作物統計調査 作況調査(野菜) 確報 平成28年産野菜生産出荷統計 年次 2016年
  28. ^ a b FAOSTAT” (英語). FAOSTAT. FAO. 2022年3月8日閲覧。
  29. ^ 主婦の友社編 2011.
  30. ^ 主婦の友社編 2011, p. 155.
  31. ^ 「野菜のご飯 ブロッコリーライス 供給を開始/全農」日本農業新聞』2020年1月13日(1面)2020年1月25日閲覧
  32. ^ Zhang, Y; Kensler, T. W.; Cho, C. G.; Posner, G. H.; Talalay, P. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1994 91, 3147–3150.
  33. ^ Fahey, J. W.; Zhang, Y.; Talalay, P. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94, 10367–10372.
  34. ^ Basten, G. P.; Bao, Y.; Williamson, G. Carcinogesis 2002, 23, 1399–1404.
  35. ^ 谷中昭典、田内雅史、山本雅之ほか「スルフォラファン含有食品,ブロッコリースプラウト摂取による H.pylori 胃炎軽減作用と胃癌予防の可能性」『日本補完代替医療学会誌』2007年 4巻 1号 p.9-15, doi:10.1625/jcam.4.9
  36. ^ 木下弘貴 ほか「ブロッコリー抽出加工食品(ブロリコ)の継続摂取によるヒトの自然免疫賦活作用に関する試験」『薬理と治療』Volume 40, Issue 6, 489 - 494 (2012)
  37. ^ 岸本祐太郎、深田充輝、二橋文哉ほか「第39回日本呼吸器内視鏡学会学術集会 -学術プログラム・演題・抄録集- Posterセッション 第2日 P39-6 「ブロリコ」による薬剤性肺炎の1例」『気管支学』2016年 38巻 Suppl号 p. S331-S393, doi:10.18907/jjsre.38.Suppl_S331
  38. ^ 吉田緑、中江大、前川昭彦「Indole-3-carbinolによる雌ラット肝臓および子宮中のcytochrome P450酵素の発現パターンについて」日本トキシコロジー学会学術年会 第32回日本トキシコロジー学会学術年会 セッションID:O-6, doi:10.14869/toxp.32.0.39.0
  39. ^ 岩本祥子、須永克佳、原田園子 ほか「ドキソルビシン, メルファランおよびメトトレキサートの抗腫瘍効果に影響する食品の検討」『日本栄養・食糧学会誌』2011年 64巻 6号 p.393-401, doi:10.4327/jsnfs.64.393
  40. ^ “Broccoli and Bad Faith”. PAUL KRUGMAN (『ニューヨーク・タイムズ』). (2012年4月29日). http://www.nytimes.com/2012/03/30/opinion/krugman-broccoli-and-bad-faith.html?_r=2&smid=tw-NytimesKrugman&seid=auto 2012年5月30日閲覧。 
  41. ^ “結婚式の新定番 ブロッコリートスやラストバイト”. アメーバニュース. (2013年3月19日). オリジナルの2014年1月13日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140113155632/http://yukan-news.ameba.jp/20130319-265 2015年6月24日閲覧。 






ブロッコリーと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ブロッコリー」の関連用語

ブロッコリーのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ブロッコリーのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのブロッコリー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS