ブリティッシュ・エアウェイズ5390便不時着事故
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/20 03:02 UTC 版)
原因
事故機は、飛行の27時間前に操縦室の窓ガラスが交換されていたが、取り付け部の固定ネジに規格外の物が使用されていた。窓ガラス固定ネジ90本の内84本の直径が規程の物より0.66mm小さく、他の6本は長さが2.5mm短かった。このため取り付け部の強度が不足し、飛行中の内外の気圧差によって窓ガラスが脱落した。このボルト自体は事故の数年前から誤った直径の物が使われていたが、長さが足りていたため事故は起きていなかった。しかしガラス交換の際に整備士がマニュアルを確認せず、既存のボルトと目測で比較して、同じ直径かつ長さの短いものを取り付けたことで事故が発生した。当時のバーミンガム国際空港では、過密な勤務状況から離陸時間に間に合わせるため、独自に省略した整備手順が横行していた。
また、与圧されている航空機の窓ガラスが外方から固定されていると、内方から固定されているよりも取り付け部に負荷がかかり、これは航空機の設計としては不適切なものであった。また、整備が適切に行われていたかどうかの確認が行われていなかったことにより、規格外のネジの使用を発見することができなかった。
安全勧告
最終報告書にて、以下の提言がなされた。
ブリティッシュ・エアウェイズ側
- 整備部品の管理体系の再考と、方針伝達、意思疎通の徹底
- 整備監督者に対して、整備仕様書と技術専門レベルの再教育
- 整備担当者からの詳しい聞き取り調査と作業基準の再考
イギリス民間航空局側
- 航空機の、安全上重要な作業の認定についての再考
- FOI 7 の実地検分の目的と範囲の再考
- 整備士の再教育と再試験の検討
- 航空機整備の際、医師による矯正用眼鏡の使用の確認。
- 航空管制資格の取得にあたっての、緊急時の対応理論と実際の訓練の実施
映像化
- メーデー!:航空機事故の真実と真相 第2シーズン第1話「BLOW OUT」
- ^ “This is your captain screaming (interview with Nigel Ogden)”. The Sydney Morning Herald. (2005年2月5日) 2008年4月21日閲覧。
- ^ 益満雄一郎 (2018年5月15日). “中国機、1万メートル上空で窓脱落 体の半分が外に”. 朝日新聞デジタル. 2018年5月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月27日閲覧。
- ^ “離陸滑走中、窓にひび 上海行き日航機―成田空港:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2020年3月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月18日閲覧。
固有名詞の分類
機体メンテナンス不良による航空事故 |
アエロペルー603便墜落事故 チュニインター1153便不時着水事故 ブリティッシュ・エアウェイズ5390便不時着事故 バージェン航空301便墜落事故 アラスカ航空261便墜落事故 |
イギリスで発生した航空事故 |
パンアメリカン航空103便爆破事件 ブリティッシュ・エアツアーズKT28M便火災事故 ブリティッシュ・エアウェイズ5390便不時着事故 ブリティッシュミッドランド航空92便不時着事故 ブリティッシュ・エアウェイズ38便事故 |
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