ブラック・ジャック (架空の人物) 報酬・診療時の対応

ブラック・ジャック (架空の人物)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/11 00:08 UTC 版)

報酬・診療時の対応

ほとんどの場合、患者に高額の手術料を請求するため[28]、無免許であることと合わせて医学界では評判が悪いが、公然と大学病院で患者の指名、あるいは病院の依頼により執刀をしているエピソードも描かれていることから、他の医師から頼られている部分もあるようである。

高額な治療費を請求するのは金持ちに限らず、患者が貧乏であってもほぼ同じである。その理由については、ある依頼主が「金額が高すぎて、私たち普通のサラリーマンじゃ払えない」と愚痴をこぼしたとき、「私は人の命を助けるための覚悟を確認しているんだよ。お前さんにはその覚悟はあるのか? 命が助かるならこんな金も安いもんだ」と発言している[29]。また、高額な治療費を請求する一方で支払期限は一切設けず、長々と待ってくれることも多い[30]。ただし、治療費を払おうとしない患者には借金取りのように付きまとうことも多い[31]

患者の置かれた状況によっては周囲に冗談と思われるほど低額の手術料しか受け取らなかったり[32]、まったくの無償で手術を行ったこともある。また、患者の負傷・発症の原因が明確であれば、その原因を作った企業や団体に直接請求する。何らかの価値(金銭価値に限らず)を認めた物品を受け取ったり、無理難題を突き付けて手術料代わりにすることもあった。一旦受け取った高額の手術料のほとんどを、患者に返却することもある[33]。ただし、慈善行為として困った人には低額、ないし無料で診療する旨を本人が明言したことは一度も無く、気まぐれで免除したかのように振る舞っている。妻の手術代を払えない夫と息子に対して、本人の申し出によるとはいえ容赦なく臓器を摘出させる誓約書を書かせたうえ、それを故意に紛失して紛失届を警察に提出したこともある[34]。一度低額で治療を約束した後は徹底し、ラーメン1杯分代だけを請求した一文無しの患者が、後に裕福になって「望むだけの手術料を払う」と言ったにもかかわらずそれを断り、最後までラーメン1杯分にこだわった。

無免許であることを理由に警察に捕まった場合、釈放を条件に無料で手術することが多い。これを逆手にとり、ブラック・ジャックに何度も無料で手術させている刑事もおり、その刑事の一言でブラック・ジャックは嫌々ながらも毎回動くので、彼だけはどうしようもないと思っているようである。

また、完治した直後に何らかの事故などによって患者が死亡してしまった際は全額返却するか、治療費の受け取りを拒否する。例えば、銃殺刑にされた患者について治療費が用意されていたにもかかわらず、受け取りを拒否して立ち去っている。

少年時代に苦労した経験から子供には優しく、手紙を送ってきた子供の相談に無償で応じたりもしている。また、非常に義理堅くもあり、世話になった人物や恩人、その肉親、ピノコと親しい人物などに対しては無償あるいは低額で治療する[35]。自分の無実を証言してくれた会社員を救うため、自動車、モーターボート、さらには病院までそのまま買い取ったことがある。動物に対しても同様で自分の命を救ってくれたのために数千万の金を惜しげもなく出したこともある[36]。患者に対しても一度引き受けたからには献身的に治療し、回復後に家族のもとへ戻る途中に交通事故で患者が死亡してしまった際には事故を起こした人物を執拗に追いかけ続け、遺族に謝罪させたことがある[37]。また、現代医療技術では治療の見込みのない若い夫婦のため、ソ連の極秘研究の冷凍睡眠装置の使用権を獲得してきたり、大富豪の老人が報酬とは別になんでも言うことを聴くといった際には、遺産目当ての若妻との離婚を勧めたりするなど[38]、術後の経過や治療の過程はもちろんのこと、患者のプライベート面にもそれなりに思いやりを見せることもある。

生に対する醜い欲求などの利己的な動機に基づく依頼には、容赦なく高額な料金を即支払うよう請求する傾向がある。患者や周りの人物があまりにも悪質であった場合、最後まで治療する意志を見せなかったこともあり(第81話『宝島』、第88話『報復』)、第1話『医者はどこだ!』では不当に死刑宣告を受けた少年を救うため、本来の患者である非行少年を一切治療せず、結果的に見殺しにしている[39]

基本的に自殺を嫌う傾向にあり、勤務先の経費を男に貢いだために自殺しようとした見ず知らずの女性から、自殺用の毒薬を騙し取られた金額と同じ3000万円(同じ場に居合わせた患者の治療費)で買い取ったり、愛着のあるケヤキが切られることになった老人の自殺を察知して張り込み、自殺に踏み切ったところをすぐに助けて手術したり、目の前で飛び降り自殺を図った少年を本人の意思に反して手術したり、作り話を使って何人も自殺を思いとどまらせたりと、かなり徹底している。中には自分の患者(金貸し)の取り立てによって自殺に追い込まれた家族を救った際、治療費をほとんど請求しないどころか、金貸しの治療費として受け取った一家の財産に関する書類を「予防薬」として一家に返還したうえ、自身の取り分も返還させられて[40]落胆する金貸しに対しても、今後の発病の際に無料同然で治療することを確約したことすらある。なお、自殺を嫌うといっても無条件で自殺志願者に優しいわけではなく、「助からないと言われて自殺するやつは生きてたって生きがいを持とうとしない」という叱咤を行なったこともある(第94話「侵略者(インベーダー)」)。その一方、自分が関知しない場での自殺、あるいは完遂済みの自殺については割り切っているようであり、一家心中した家族の遺体の皮膚を「誰も文句を言わないから」と手術に使ったこともある。

美容整形に関しては、有名アイドルの替え玉作りを頼まれた際、替え玉の方に「健康な人の顔をいじくるのは気が進まない」と諭すことが多いが、金さえもらえれば行うようである。また冤罪を着せられた看護婦の復讐のために、整形手術を本人の事前の承諾なしで行なった事もある(118話「きみのミスだ」)。

安楽死を商売とするドクター・キリコとはたびたび衝突している[41]が、彼自身も医者であることに加え、共通の目的のためには手を組むこともあり、お互いの腕は認め合っている(ドクター・キリコも決して安易な気持ちで安楽死を行っているわけではなく、安楽死はあくまで手の施しようのない重傷患者を苦痛から解放するために行う最終手段であって、通常は「治せる患者は治す」のが彼の基本方針である)。ドクター・キリコが謎の伝染病「グマ」に感染した際には、肝臓を半分切除する手術で彼の命を助けている。

以上のようにブラック・ジャックは膨大な金を稼いでいるように見え、ある闇組織は100億ドル稼いだと推測している。しかし、空き巣がブラック・ジャックの家に入った時は大量の現金や預金通帳を見つけられず、ある闇組織が金融機関口座を調べた時には1000万円程度しか確認されなかった。その一方、現金で20億円を即座に用意した場面もある(第211話「助け合い」)。金の使用方法は自然保護や老人ホームなどへの援助(第25話「灰とダイヤモンド」)、そして後述の不発弾処理の関係者に対する復讐用の資金などである。また、上記のように医療技術の研究についても使っているようでもある。作中に請求した最も多額の治療費は150億円であり、詐欺めいた方法ではあったが、話の流れからこれはしっかり受け取ったようである(第73話「こっぱみじん」)。


  1. ^ 第130話『霧』
  2. ^ 秋田文庫BLACK JACK Treasure Book P137より
  3. ^ 『ヤング ブラック・ジャック④』秋田書店、2013年9月20日、190頁。 
  4. ^ その竹中が急死した際には、借金の回収と称して妻が経営する病院が軌道に乗るまでわざわざ住み込みで働いてやっている。
  5. ^ 結果的に「事件の全捜査費用3,000万円を払う」という捜査官の言葉に応じて手術を行ったものの、事件解決後に「3,000万円は患者に渡して欲しい」と頼んでいる。
  6. ^ 第44話『目撃者』
  7. ^ アニメ版では、ブラック・ジャックの父を家族から引き離すために故意に引き起こしたものとされている。
  8. ^ 原作のカラーページでは、美術上の都合により青白く塗られている。2004年のTVアニメでは褐色で表現された。ほか、手塚治虫得意のスター・システムによって、他作品に出演した際には肌の色の違いの無いブラック・ジャックが描かれる場合もある。
  9. ^ しかし、現実には皮膚は内臓など以上に拒絶反応が大きく、DNAが同一である一卵性双生児でない限り他人の皮膚が定着することはない。自家移植が困難なほど広範囲な患部へ応急処置として他人の皮膚を移植するケースもあるが、あくまで一時的な保護目的であるため、移植した他人の皮膚は数日で脱落し残ることはない。
  10. ^ 広島から大阪まで400キロメートルの距離を踏破するなど。このときの様子は恩師・本間丈太郎により、黒男少年の氏名を伏せたうえで記録され、出版された。BJも「元の体に戻るために色々と無茶苦茶をやったもんだ」と語っている
  11. ^ 『U-18は知っていた』・『笑い上戸』では香港と記載されているが、手塚が長期連載を予定していなかったため、設定の矛盾が発生している。こういった部分は他にも散見される。
  12. ^ 後に父親から、和解のきっかけも兼ねて、父親の新たな妻・蓮花を「世界で最も美しい顔」に美容整形するよう依頼された際には、「今でも母を愛していますか?」との問いに、父が「かつては母を愛していた、だが今は蓮花だけを愛している」と答えたため、和解を拒否し「自分が世界で最も美しいと思う顔」として蓮花を母親と同じ顔に整形した(「もし今でも母を愛していると答えれば違う顔にするつもりだった」とも発言していたが、真偽は不明)。BJはそれ以後、父親が脳卒中で昏倒し、死亡するまで顔を合わせることはなかった。
  13. ^ 『ご意見無用』では、漂流する木造船の上で、襲い掛かってきたに対してメスを投げて応戦している。徒手格闘も非常に強く、拳銃を手にした相手に背後をとられた際も冷静に対処して危機を脱しており(『U-18は知っていた』)、精神的な強さも窺える。
  14. ^ ゲラの家にサラ金の業者が上がりこんで彼に暴行し、それを止めるためにブラック・ジャックがダーツを投げて業者の腕に刺さり、逆上した業者がそのダーツを引き抜きゲラの喉に刺した(アニメでは業者がブラック・ジャックをダーツで刺し殺そうとした際にゲラがブラック・ジャックを庇って刺された)ため。ゲラはこの時の傷が元で後に重い病気に罹り、得意の笑い声を上げることができなくなってしまった。その後、ゲラは医師となったブラック・ジャックが手術を行うも、二次感染により死亡する。
  15. ^ 白髪は本来、加齢による髪の色素不足から生じるものである。
  16. ^ 連載当初は黒目がちだった
  17. ^ 「やり残しの家」より。
  18. ^ ただしこの描写が見られるのは、第133話『てるてる坊主』の一話のみ。
  19. ^ 宗美智子によるリメイク版では、「顔を前妻そっくりに整形され、そのせいで夫婦仲がおかしくなって略奪婚に失敗した」という理由で、蓮花の方からブラック・ジャックを憎んでいる。
  20. ^ 兄妹ともに父親似の顔立ちで、蓮花も小蓮とブラック・ジャックはそっくりと評している。
  21. ^ ブラック・ジャックはゴロツキに監禁された際負傷してしまい、蓮花に連絡して父親の身体の一部をもらい、自身に移植することで切断せずに手術を成功させたが、その際に「マカオに来たのは父親の遺体を引き取り、母の隣に埋めたかったから」と語っていた。
  22. ^ 劇中で直接対面する機会がなく、ブラック・ジャック自身そもそも異母妹と知らずに終わったため。ただし、この段階で彼女の素性に気づかないままだったのかどうかは不明で、立ち去りながら肩越しに小蓮に目線を向けているため、気づきながらあえて黙っていたとも受け取れる。
  23. ^ 宗美智子によるリメイク版では小蓮は暴漢の襲撃時に失明の危機に陥るが、ブラック・ジャックの手術で助かるという描写になっている。
  24. ^ 作内における架空の組織で、実在する日本医師会の政治組織である「日本医師連盟」とは無関係。
  25. ^ 作中に気胸の手術を苦手としている描写がある。
  26. ^ 宇宙人の治療に関しては、当の宇宙人曰く「身体の構造は地球人とあまり変わらない」とのこと。地球人と異なる青い血がブラック・ジャックをかなり困惑させたが、イカタコなど青い血の地球上の生物は実在する(血液中で酸素を運搬する媒介がイオンイオンかの違いである)。
  27. ^ その際、宇宙人が地球貨幣を概念は知っていたが理解はできなかったため、ブラック・ジャックは宇宙人に見せた100ドル紙幣と通し番号や皺まで同じ偽札をつかまされることになった。
  28. ^ 原作の連載は1970年代であり、当時の貨幣価値が後年より数倍高いことも考慮されたい。
  29. ^ この依頼主はブラック・ジャックに覚悟を認められ、治療費を実質無料にされた。
  30. ^ 患者が貧乏な場合に多い。しかし、「ある生徒と先生」の患者に関しては、治療費をかけ合った患者のクラス担任がブラック・ジャックに「一括で払え」と言われ、担任は自分の生命保険金で出そうと自殺未遂を起こした。
  31. ^ 第172話『命のきずな』では、治療費の支払いを待つ患者が飛行機事故で赤ん坊を残して死亡した際、治療費請求先として瀕死の赤ん坊を救出し、同じ事故で赤ん坊を亡くした他人の女性に患者の赤ん坊を託すという、強引な手段を取っていた。
  32. ^ ブラック・ジャックから希望をもらった少年に1か月10円のローン、一家心中した家族の全員分に50円請求して30円にまける、何らかの才能を持つ子供が関わった場合は「将来それを活かして金を稼いだ時に返してもらう」とその場での手術料を保留にする(第7話「海賊の腕」)など。
  33. ^ 5000万円請求しながらも、後で4990万円の釣銭を返すなど。
  34. ^ 「落とし物」
  35. ^ ただし、第51話「ちぢむ!!」では、恩師である戸隠に対して3千万円を要求していた。本人曰く気まぐれなところがあるようである。
  36. ^ 『一ぴきだけの丘』より。
  37. ^ 「黒潮号メモ」より。
  38. ^ 前者は第117話『未来への贈りもの』、後者は第119話『ハリケーン』より。
  39. ^ もっとも、この非行少年は裁判中すでに心肺停止となっており、助かる見込みは皆無に等しかった。
  40. ^ 一家からの取り立てが済んだあとの飲みの席で「これからも先生(ブラック・ジャック)のやり方をそっくりそのまま真似する」と金貸しが口にしたことを理由に、このときのブラック・ジャックのやり方に従って返還させられた。
  41. ^ 「生き物は死ぬときは自然に死ぬ。それを人間だけが無理に生きさせようとすることは正しいのか」とキリコに指摘された際には、「それでも自分は人を治すんだ。自分が生きるために」と返している。なお、この時にブラック・ジャックが治した脊髄損傷の女性は、子供2人もろとも交通事故で死亡するという皮肉な結末を迎えている。
  42. ^ アニメ版ではかつてはパイプを吸っていたが、火種が残っていた灰をネズミが倒したことからボヤが発生しピノコに恐怖を感じさせたことから禁煙した(Karte:44 ピノコ誕生)。
  43. ^ 東南アジアから帰国した同期の医師と偶然再会し、行きつけの店で同じ杯を差し出され嫌々ながら口にした。彼の体調が優れない様子や、後に「東南アジア旅行の医師団がコレラに集団感染した」というラジオ放送を聞いたことで、自身の感染を疑う(第217話『コレラさわぎ』より)。
  44. ^ この供述の中で看板の撤去は「値上」という人物の指示であったことが判明するが、値上が復讐対象の5人に含まれるか否かは明言されなかった。
  45. ^ リメイク作品『ブラック・ジャック 〜黒い医師〜』では前述の2人だけが不発弾爆発の関係者となっており、2人目の病死によってブラック・ジャックの復讐は終わっている。
  46. ^ 【公式】絵師神の絆@ノルマー (2019年1月7日)”. 2019年1月11日閲覧。
  47. ^ コミカライズ版のみの設定。もっともキリコ自身も原作の安楽死医とは別の役柄で登場している。
  48. ^ 『ブラック・ジャック』の作中においては、そのような特殊な眼球ではなく普通の眼球であっても、ブラック・ジャックといえど移植は不可能と描写されている。





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