フロントフォーク (自転車) サスペンションフォーク

フロントフォーク (自転車)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/19 05:15 UTC 版)

サスペンションフォーク

サスペンションフォークの一例

しばしば「サスフォーク」、「(フロント)サス」と略される。名前の通りサスペンションが組み込まれたフォーク。主にマウンテンバイクに装備され、オフロードでの走行を想定するものが多い。衝撃吸収性能から、クロスバイクなどで快適さを目指す車種にもよく見られる。ロードバイク用のサスペンションフォークもかつては存在し、プロ競技でも〔パリ - ルーベ〕などの路面が劣悪なレースで1990年代初期には投入されることもあったが、現在ではほとんど見られない。

サスペンションは簡単に言えばクッションで、路面からの衝撃吸収と、路面追従性の向上、という2つの働きがある。これは不整地での走行、主に急激な荒れた下り坂での制御を容易にしている。一方で欠点としてはリジッドフォークに比べ重い(XC系で1.5-2.5kg、DHでは3kg超も。典型的な形態の市販品で最も軽いものは1.2kg程度)事、特に近年のサスペンションは複雑な機能がついているので定期的なメンテナンス(オーバーホールを含む)を要する事が挙げられる。

構造

現在、自転車のサスペンションフォークには以下のような構造がある。

  • ブレードを2重のチューブにして伸縮させる、オートバイテレスコピックフォークと同じ構造で、この種類が大半を占める。
  • コラムが伸縮するもの(キャノンデールのヘッドショックなど)
  • クラウンとコラムを分離して平行リンク機構で連結した構造で、AMP ResearchやGerman:Aなどの製品が該当する。
  • エンド部分が回転または移動するもの(SUS 21、Lauf Trail Racer、ローライダーのスプリンガーフォークなど)

サスペンションの可動部が移動する量を「トラベル量」または「ストローク量」と呼び、トラベル量が大きいものほど強い衝撃を受け止めることができる。

緩衝材

サスペンションフォークは衝撃吸収材とその過度な動きを封じるダンパーから成り立っている。衝撃吸収材には以下の種類があるが、ダンパーは主にオイルダンパーが使われる。

エアサスペンション(エアサス)
圧縮空気は文字通り空気による衝撃緩衝材であり、気体の緩衝材に加えてスプリングが必要ないので軽量にできる。また密閉された圧縮空気は衝撃緩衝には最適な素材で、細かな路面の衝撃を滑らかに乗り手に伝える効果があり路面の衝撃から来る疲労を緩和してくれる。
しかしながら内部の圧縮空気はいくら密閉していても長時間が経つと徐々に抜けていく性質のため乗る前に必ず専用のポンプによる一定の空気圧の測定、調整が必要であり、これを怠ると機能を活かしきれないどころか故障の原因になる。また構造上エアサスは圧縮された空気を逃さないように精密さを要する構造となっており、レッグ、パッキンの細かい傷で内部の空気が抜けるようになると機能は大幅に落ちてしまうため運用上比較的細かい注意とメンテナンスが必要になる。また高級な製品はある程度の耐久性を犠牲にして軽量な素材が使われる傾向にある。
オイル&コイル
密閉されたオイルとスチールのスプリングによる緩衝材。初期のマウンテンバイクのサスペンションフォークから一貫して使われている緩衝材である。オイルダンパーはあるものの圧縮空気よりも内部のスプリングは受けた衝撃を反発させる性質があるのでエアサスほど路面からの衝撃を滑らかにはしない。また内部に液状のオイルと金属のスプリングがあるので重量はエアサスよりかさむ。
しかしながらエアサスより耐久性、メンテナンスが容易であり、レッグの傷などでオイルが漏れるようになっても圧縮空気ほどの急激に機能は落ちる事はなく、またそのような不備が生じればオイルの漏れですぐに分かる。またエアサスのように毎回乗車前に細かな空気圧の設定をする必要もないので、運用は比較的楽である。
エラストマー
固形の緩衝材で初期のマウンテンバイクのサスペンションフォークには使われた。現在では一部の安価なものを除きほとんど使われない。

リーフ式サスペンション

全く主流ではないが、この原理はLauf Trail Racerが使用している。しかしここで使われる素材は鉄ではなく、CFRPガラス繊維で作られている。






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