フランチャイズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/08 15:59 UTC 版)
問題点
フランチャイズ展開の特性が生む欠点以外に問題視されているのは、フランチャイザー側が「経営の安定性」「高収入」「低リスク」を前面に出し、慎重なマーケティングや加盟希望者へのリスクの説明を適切に行っていない点である。そのため、大きな負債を抱えて廃業するフランチャイズ経営者も少なからず出てきているが、必ずしもフランチャイザー側の問題だけではなく、フランチャイジー側が事業のリスクに関する十分な知識を身に付けないまま開業したことが原因になっている場合もある。
損害賠償を求める経営者が増え、訴訟を起こした例もある。「フランチャイザーは事業成功の見込みが乏しいと分かっていながら、それを告げずにフランチャイズ契約を締結した」とした裁判では、詐欺罪などの刑事訴訟ではなく民事訴訟になることが多いため、民法や商法のみに従った判断がなされることが多い。現在の日本にはフランチャイジーを保護する特別な法律はないため、契約に基づいたフランチャイザーに有利な傾向がある。そのため、店舗経営やフランチャイズ展開について充分なノウハウを持たずに認識の甘い個人経営者を標的としたフランチャイザー、あるいは加盟金を騙し取ることを目的とした詐欺行為も出てきている。
また、フランチャイジーの従業員の過労死が問題となり、訴訟が起こされることもある[12]。フランチャイザーとフランチャイザーの経営方針の違いが対立を生む場合もあり、セブンイレブンでは、独自に深夜営業を休業したフランチャイジーとの対立が表面化し、フランチャイズ契約解除をめぐる訴訟問題へと発展した[13][14]。他にも、フランチャイジーで利益を出した店舗の近くに、フランチャイザーの直営店を出店させることで、フランチャイザー側はリスクの低い店舗拡大を実施できる。こういったフランチャイザーとフランチャイジーの競合が問題となる場合がある。
- ^ “フランチャイズWEBリポート『フランチャイザー』とは?”. Dai. 2018年5月25日閲覧。
- ^ “フランチャイズWEBリポート『フランチャイジー』とは?”. Dai. 2018年5月25日閲覧。
- ^ 財賀礪至「フランチャイズ・システムに関する研究」『日本経営診断学会年報』第20巻、日本経営診断学会、1998年、 129-137頁、 doi:10.11287/jmda1969.20.129。
- ^ 犬飼知徳「日本のフランチャイズ組織の特徴」『香川大学経済論叢』第82巻第1号、香川大学経済研究所、2009年9月、 145-159頁、 ISSN 0389-3030。
- ^ 小本恵照「フランチャイズ契約が加盟店の廃業に与える影響」『流通研究』第8巻第3号、日本商業学会、2006年、 1-15頁、 doi:10.5844/jsmd.8.3_1、 ISSN 1345-9015。
- ^ システムのご紹介 センチュリー21ジャパン、2015年8月11日閲覧。
- ^ ENEOSフロンティアやりゅうせきなど。
- ^ フランチャイズ事業 壱番屋、2015年2月22日閲覧。
- ^ モスバーガー、なぜ好調?マックとの明暗を分けた、商品力とFC店舗力の秘密(2ページ目) Business Journal、2014年2月16日(2015年2月22日閲覧)。
- ^ a b 小本恵照「創業期におけるフランチャイズの機能」『国民経済雑誌』第193巻第6号、神戸大学経済経営学会、2006年6月、 1-16頁、 doi:10.24546/00056075。
- ^ “3.フランチャイズ・システムの特徴(メリット・デメリット) | JFAフランチャイズガイド”. fc-g.jfa-fc.or.jp. 2020年5月9日閲覧。
- ^ 過労死 ファミマが認め和解 月200時間超残業 毎日新聞 2016年12月30日
- ^ “セブン、時短店の契約解除 物言うオーナー排除か” (日本語). 東京新聞 TOKYO Web. 2020年5月9日閲覧。
- ^ “セブン、東大阪の時短店主と契約解除へ 「接客に苦情」” (日本語). 日本経済新聞 電子版. 2020年5月9日閲覧。
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