フェリー 歴史

フェリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/08 07:48 UTC 版)

歴史

日本

渡し舟と初期のフェリーの違いは判然としないため、いつの時点から日本での最初のフェリーと呼んで良いかは断言できないが、1つの例として示せば、1934年に今の北九州市若松区戸畑区の間の400m程を結ぶ航路に43総トンの2隻のカーフェリー「第8若戸丸」と「第9若戸丸」が就航した事例が挙げられる[6]。これらのフェリーは船の前後に舵とスクリューを備えた両頭船であり、最大でもトラック2台とオート三輪を4台を積載できるのみであった。

1944年には鹿児島桜島との間を結ぶ156総トンの木造船、「第一桜島丸」が就航した。

第二次世界大戦後の1950年下関門司の間3.8kmを結んだ「第三関門丸」「第四関門丸」第五関門丸」の3隻が就役した。また、瀬戸内海では1953年宇野岡山県)と高松香川県)間を結ぶ「第一航走丸」150総トンが、1954年明石海峡横断航路として明石 - 岩屋(兵庫県)間を結ぶ「あさぎり丸」220総トンが、同年に鳴門海峡航路として福良(兵庫県) - 鳴門(徳島県)間を結ぶ「若潮丸」220総トンがそれぞれ就航した。

1960年代後半には、自動車貨物輸送の拡大とモータリゼーションの本格化に伴い、関西と四国、九州の瀬戸内海沿岸各地を結ぶ航路をはじめ、日本全国に長距離フェリー航路が多数開設された[6]1968年には阪九フェリーのフェリー阪九が神戸 - 小倉航路に就航した。これは、日本国内で初めての片道300kmを越える長距離フェリーであった[7]。フェリー航路は1973年には168航路、1980年には241航路にまで増加した。

1973年からの第一次オイルショック1979年からの第二次オイルショックの影響で、国内観光の需要が激減して輸送量が減少するともに、燃料油の価格が高騰。さらに瀬戸内海航路では1975年の山陽新幹線博多延伸開業による旅客の減少もそれに追い打ちをかけた。運航会社の経営を圧迫し統合や廃業が相次ぐとともに、多くの航路が閉鎖された[6]。また、1988年から1999年にかけての本州四国連絡橋の完成によって、それまで四国本州を結んでいた多くの航路が、減便や役割を終えて閉鎖された。一方、一部の航路ではフェリーの高速化が企図され、2007年青函航路に就航し当時の日本最速となった「ナッチャンRera[5](のち休航)のほか、従来と比較して速力を増したフェリーが多くの航路に就航している。

近年は、原油価格の高騰が進んでいること、および高速道路におけるETC割引制度の充実(特に、2009年4月から2011年6月まで、日本国政府の景気対策の一環として実施された休日特別割引、いわゆる「1000円高速」)により、自動車輸送の利用が低迷する航路が増加している。また関西 - 九州航路は、速達性に勝る山陽新幹線や旅客機との運賃差が縮小し、格安高速バスの登場もあってさらなる苦境にさらされている。これに対し、自動車輸送料金の値下げを行って対抗する会社もあるほか、物流以外の個人利用客の誘致のため、キャンペーンの実施、インターネット予約における割引の拡充、繁忙期適用期間の縮小などの施策をとっている会社も多い。

一方、フェリーによる輸送は、輸送単位当たりの二酸化炭素排出量が少ないことから、モーダルシフトを担う輸送手段として注目されている[8][9]。また、2011年に「1000円高速」が終了したことや、2012年4月の高速ツアーバスの居眠り事故を契機とする長時間・長距離運転の社会問題化によって、コストや運転手の負担軽減の観点から、フェリー輸送が再評価されている。このような動きを受けて、2015年以降、九州航路等で長距離フェリーへの新造船の投入が相次いでいる[7]


  1. ^ 池田良穂著「図解雑学 船のしくみ」ナツメ社 2006年5月10日初版発行 ISBN 4-8163-4090-4
  2. ^ 代表例として大東海運だいとうがある
  3. ^ 池田良穂著 『内航客船とカーフェリー』 成山堂書店 平成20年7月18日新訂初版発行 ISBN 9784425770724
  4. ^ ※2015年現在、日本長距離フェリー協会には8社が加盟している。
  5. ^ a b c d 池田良穂著 『内航客船とカーフェリー』 成山堂書店 2008年7月18日新訂初版発行 ISBN 978-4-425-77072-4
  6. ^ a b c フェリーの歩み 商船三井
  7. ^ a b 復権?長距離フェリーに新船続々 景気回復追い風、安全輸送で再評価 産経ニュース、2015年4月22日
  8. ^ モーダルシフトについて 日本長距離フェリー協会
  9. ^ フェリーの今 商船三井
  10. ^ 我が国船社が運航する外航クルーズ船一覧 p8 - 国土交通省
  11. ^ パンスターライン、釜山~大阪路線でクルーズ船運航 - 聯合ニュース
  12. ^ 外航旅客定期航路事業運航状況 - 国土交通省
  13. ^ 中国鉄路・渤海鉄道フェリー会社の公式サイト(簡体字中国語)
  14. ^ スターフェリー公式サイト繁体字中国語・英語)
  15. ^ 若勢敏美 (2016年1月11日). “売れない日本の中古船 フェリー会社のビジネスモデルに異変”. 乗りものニュース. http://trafficnews.jp/post/47704/ 2016年6月26日閲覧。 
  16. ^ Conventional Ferries - Our Fleet - Hellenic Seaways(英語)
  17. ^ Brittany Ferries公式サイト(英語)
  18. ^ European cruises LD Lines公式サイト(英語)
  19. ^ P&O Ferries公式サイト(英語)
  20. ^ https://www.corsicalinea.com/reserver/les-traversees/marseille-la-corse
  21. ^ https://www.lameridionale.fr/rubrique/nos-traversees-26.html
  22. ^ https://www.corsica-ferries.fr/traversees/corse-ferry/
  23. ^ https://www.corsica-ferries.fr/traversees/corse-ferry/
  24. ^ ICEごとフェリーに乗ってデンマークへ! ドイツ旅行記 STW
  25. ^ Scandlines公式サイト(英語)
  26. ^ Berlin Night Express公式サイト(英語)
  27. ^ オーランド諸島 - フィンランド大使館・東京 : フィンランドについて : オーランド諸島
  28. ^ Smyril Line公式サイト(英語)
  29. ^ Trasmediterranea公式サイト(英語)
  30. ^ TTライン・カンパニー公式サイト(英語)
  31. ^ インターアイランダー公式サイト(英語)
  32. ^ ストレイト・シッピング公式サイト(英語)





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