フェノール フェノールの概要

フェノール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/08/07 22:10 UTC 版)

フェノール
識別情報
CAS登録番号 108-95-2
ChemSpider 971
KEGG D06536
RTECS番号 SJ3325000
特性
化学式 C6H5OH
モル質量 94.11 g/mol
外観 白色の結晶
密度 1.07 g/cm3
融点

40.5 °C, 314 K, 105 °F

沸点

181.7 °C, 455 K, 359 °F

への溶解度 8.3 g/100 ml (20 °C)
酸解離定数 pKa 9.95
双極子モーメント 1.7 D
危険性
EU分類 有毒(T)
Muta. Cat. 3
腐食性(C)
NFPA 704
NFPA 704.svg
2
3
0
COR
引火点 79 °C
関連する物質
関連物質 ベンゼンチオール
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
フェノール

広義には、芳香環水素原子をヒドロキシ基で置換した化合物全般を指す。これらについてはフェノール類を参照のこと。

性質

毒性および腐食性があり、皮膚に触れると薬傷をひきおこす。絵具に似た臭気を有する。毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。

に可溶(8.4g/100mL, 20℃)で、アルコールエーテルには任意の割合で溶ける[1]

芳香環の共鳴効果によって共役塩基フェノキシドイオン(またはフェノラートイオン);C6H5O-が安定化されるため、同じくヒドロキシ基を持つアルコール類よりも5桁以上高い酸解離定数 (pKa = 9.95) を示す[2]。ゆえに弱い酸性を示し、カチオン種と共にを形成する。フェノール塩はカチオン種名と「フェノキシド」を合わせて命名する(例:ナトリウムフェノキシド)。

Phenol-phenolate equilibrium.svg

検出

フェノールに塩化鉄(III)水溶液を滴下するとフェノール錯体が生成し紫色を呈する。

この反応はフェノール性ヒドロキシル基をもつ化合物の簡易的な検出法として広く用いられている。

生産と用途

フェノールは有機合成化学工業重要な原料である。コールタールから分離するかベンゼンから合成する。ベンゼンからの合成法は、ベンゼンをスルホン化し、そのナトリウム塩アルカリ融解する、クロロベンゼンとしてから、これを高圧下で水酸化ナトリウム水溶液と加熱する、クメンヒドロペルオキシドとしてから分解する(クメン法)などの方法によって生産される。クメン法の場合、副産物としてアセトンを生じる。フェノールの2008年度日本国内生産量は 771,641t、消費量は 194,594t である[3]

実験室的製法として、ベンゼンをスルホン化あるいは塩素化した、ベンゼンスルホン酸あるいはクロロベンゼンを、溶融した水酸化ナトリウム中で加熱分解するとフェノールのナトリウム塩(ナトリウムフェノキシド)が得られる。これは電子密度が低下したベンゼン環への水酸化物イオン OHipso型の求核置換反応である。スルホ基やクロロ基は電子求引性が大であることと、脱離基として能力が高い為にこの種の反応が起こりやすくなっている。

フェノールはフェノール樹脂に代表されるプラスチックの他、医薬品染料など各種化成品の原料として広く用いられている。フェノールそのものは希釈して消毒剤などに利用される。

融解温度以上で水と混合すると、常温に冷却しても含水フェノール(液体)とフェノール水溶液の2相に分離する。生物学では、核酸の分離精製にこの含水フェノール液をよく用いる。含水フェノール液は特に腐食性が強く注意が必要。




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