フェニックス (ミサイル) 各型

フェニックス (ミサイル)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/19 15:10 UTC 版)

各型

弾体の種類により、胴体に書かれた帯の色で区別される。

  • 黄色=実弾
  • 青色=訓練弾
  • 茶色=モーターのみ装備

XAIM-54A

1965年より飛行試験を実施していたプロトタイプ[3]

NA-3Aの翼下パイロンに装備されたXAIM-54A

AIM-54A

1974年に運用が開始された最初のタイプ。中間誘導にセミ・アクティブ・レーダーホーミング、終末誘導にアクティブ・レーダーホーミング方式を採る。

AIM-54B

1972年より開発が開始され、1977年に登場した簡易タイプ[6]。主翼とフィンをハニカム構造を採用した板金とし、液体冷却を必要としないモデルであった。費用対効果がないとしてキャンセルされた[1][3][7]

AIM-54C

AIM-54C

イランからソ連にわたったミサイル技術をつぶす目的で開発が実施され、1986年からAIM-54Aと交代した改良型。デジタル式のWGU-11/BガイダンスとWCU-7/B制御部、ソリッドステート化されたレーダー、デジタル式の電子機器を導入、ストラップダウン式の慣性航法装置の搭載により中間誘導方式に慣性誘導が追加された[6]。AIM-54Aの制御部にあった自動操縦装置は電子サーボ制御アンプ(ESCA)に置き換えられた[4]。対電子妨害対抗能力(ECCM)能力も強化され、弾頭は連続ロッドから制御されたフラグメンテーション弾頭に置き換えられた。DSU-28/Bの目標検出装置の搭載により、高クラッタ環境および小型・低高度目標に対する信管の精度が上がり、低および高高度を飛行する対艦ミサイル巡航ミサイルに対処することが可能となった[1]。また、自己診断回路および航空機によるテスト機能の追加で整備が容易となったほか、部品数はAIM-54Aとの比較で15%減少した[4]

AIM-54Cは継続的にアップグレードされ、MK 82弾頭は後に新しいWDU-29/B弾頭に、弾頭部はWAU-16/BまたはWAU-20/Bに置き換えられた。WDU-29/Bは、20-25%有効性の増加を提供した[3]

AIM-54C+

F-14D向けに1986年より生産と配備が開始されたタイプ[1]。搭載機が上昇したときやダイブしたときの海や温度変化などへの耐性と信頼性向上なども図られ[2]、電気変換ユニット(ECU)の再設計と自己完結型の密閉サイクル冷却システム(温度調節液の必要性を排除する内部ヒーター)の装備によりキャプティブ飛行中の熱調整用液体供給を不要としてミサイルを密封化した[4][8]。また、内装する電子機器にはAIM-120からレトロフィットされたハイパワー進行波管(TWT)送信器および低サイドローブアンテナが装備された。1987年8月より本格的な開発が開始され、1990年8月14日に実施された完全にアップグレードされたAIM-54C+最初の飛行試験では、前例のないマルチショットを実証し、QF-4ドローンへの直撃を達成した。ハイパワーフェニックスのほかAIM-54C (Sealed)とも呼称された[1]

AIM-54C ECCM/Sealed

1988年にIOCを達成した対電子妨害対抗能力(ECCM)能力を強化したAIM-54Cの発展型[1]。C+と同様に熱調整用の液体供給が不要。誘導と制御部がWGU-17/BとWCU-12/Bにそれぞれ換装され、弾頭部にはWAU-19/BとWAU-21/Bが利用可能となった。他の改良点として、再プログラム可能なEEPROMメモリと改良された新しいシグナルプロセッサのソフトウェアを備えた。また電磁パルスへの耐性も付加された[2][3]。古いAIM-54Cに後付けすることもでき、いくつかのミサイルにはC+のアップグレードキットが適応された[1]

訓練型

AEM-54
試験および評価のための特別なテレメトリ電子機器を有する型[3]
ATM-54
非アクティブ型の弾頭を装備する型[3]
CATM-54
キャプティブ弾[3]
DATM-54
地上での整備訓練用。整備の方法がさほど変わらなかったためA型のみ[3]

シーフェニックス

航空母艦に搭載されたシースパローの代替として計画されていた艦対空ミサイル型。研究では、射撃管制装置の29個のコンポーネントボックスのうちの27個がAN/AWG-9と互換性があるとされた。ヒューズが自社の資金を使って実施した試験では追加のブースターを使わずマーベリック用のレールランチャーに装備して発射され、90秒の飛行で22kmのダウンレンジを記録した[9]。しかし実現しなかった。

Fakour 90

イラン2013年2月に試験を行っていたことを明らかとした型式。AIM-54の機体を流用しつつシャヒン地対空ミサイル(ホークのコピー・改良型)の弾頭とシーカーを搭載している[10][11]。イラン空軍は2008年にイラン防衛産業組織と契約を結び、AIM-54A 50発のレストアおよび近代化改修を進め、2009年にはドローンの撃墜に成功した。イランでは2016年までに150発を製造予定である[12]

Maqsoud

2013年11月に開発が明らかとされた、 Fakour 90の後継となる新型ミサイル。Maqsoudは目的という意味である[13]


  1. ^ a b c d e f g h i j Backgrounder - AIM-54 Phoenix Missile
  2. ^ a b c d e f US Air-to-Air Missiles
  3. ^ a b c d e f g h i j Raytheon (Hughes) AAM-N-11/AIM-54 Phoenix
  4. ^ a b c d AIM-54 Phoenix Missile
  5. ^ NASA Phoenix Missile Hypersonic Testbed 2007年1月6日
  6. ^ a b ヴィジュアルガイド大全 航空機搭載兵装 P.17-18 著トマス・ニューディック
  7. ^ “Budget estimates descriptive summaries”, Supporting data for fiscal year 1983, Department of the Navy .
  8. ^ WORLD MISSILE DIRECTORY.Hughes AIM-54 Phoenix
  9. ^ FLIGHT International, 2? May 1976
  10. ^ Iranian F-14 Tomcat’s “new” indigenous air-to-air missile is actually an (improved?) AIM-54 Phoenix replica
  11. ^ Iran Tests New Fakour 90 Air-to-Air Missile
  12. ^ JETS January/February 2015 - No.33 PERSIAN TOMCATS
  13. ^ New long-range air-to-air missile in development, boasts Iran
  14. ^ Defense.gov Transcript: DoD News Briefing January 5, 1999”. 2016年6月13日閲覧。
  15. ^ Parsons, Dave, George Hall and Bob Lawson. (2006). Grumman F-14 Tomcat: Bye-Bye Baby...!: Images & Reminiscences From 35 Years of Active Service. Zenith Press, p. 73. ISBN 0-7603-3981-3.
  16. ^ 『イラン空軍のF-14トムキャット飛行隊』大日本絵画 2016年 ISBN 978-4-499-23185-5 p26





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