ピッツバーグ・スティーラーズ イマーキュレート・レセプション(Immaculate Reception)

ピッツバーグ・スティーラーズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 03:32 UTC 版)

イマーキュレート・レセプション(Immaculate Reception)

1972年12月23日のAFCプレーオフ、対レイダース戦。スティーラーズは残り22秒時点で6対7でリードを許している状況。自陣40ヤードからの攻撃、残り10ヤード、既に4thダウンという瀬戸際に追い込まれていた。

ボールを受けたQBのテリー・ブラッドショーは、自陣29ヤード地点から、敵陣35ヤード地点にいたHBのジョン・フッカにパス。しかしフッカはレイダースのセーフティであるジャック・テイタムと接触してパスを取りそこね、ボールはテイタムの体に触れてスティーラーズ陣側に跳ね返った。そのボールを、フランコ・ハリスが地面まであとわずかの地点でキャッチ、相手陣に向けて疾走する。パス不成功が成立したと思って一瞬動きを止めていたレイダース選手は追いつくことができず、ハリスはそのままタッチダウンを奪った。

試合はその後、スティーラーズがTFPも決め終了。13対7により、スティーラーズがAFC優勝戦へ駒を進めた。

このプレイはのちに、無原罪の御宿り(Immaculate Conception=清浄なる受胎)に引っ掛け、「イマーキュレート・レセプション」(Immaculate Reception=清浄なるパスキャッチ)と呼ばれるようになった。絶体絶命の場面からの大逆転を実現したこのプレイは、チーム史上のみならず、NFLの歴史においても屈指の奇跡的プレイとして現在でも語り継がれている。

文化

スティールカーテン

1970年代のスティーラーズの強力なディフェンス陣はスティールカーテン(Steel Curtain)と呼ばれている。スティーラーズは1970年代に第9回1974)、第10回1975)、第13回1978)、第14回1979)と4回ものスーパーボウル制覇を経験し、特に強力なディフェンスで敵を圧倒していたことから名付けられた。メンバーはドワイト・ホワイト、アーニー・ホームズ、ミーン・ジョー・グリーン、L・C・グリーンウッドの4人を指す場合が多い。

ファン

第43回スーパーボウル優勝パレードに押し寄せるスティーラーズのファン(2009年)

スティーラーズのファンは、スティーラー・ネーション(Steeler Nation)と呼ばれ、ピッツバーグのみならず全米中に居住していると言われている。また、ピッツバーグやその他の地域のスティーラーズファンが集まる地域は、たびたびスティール・カウントリー(Steel Country)と呼ばれている。

スティーラーズが人気になった理由として、工業都市ピッツバーグの特異性が挙げられる。1970年代に4度のスーパーボウル制覇を経験し、市民は大いに盛り上がったものの、この頃からピッツバーグの鉄鋼業はすでに下火となっていた。そのため、市民にとって唯一の希望の存在がスティーラーズであった。また、1980年代のいくつかの製鉄所の閉鎖で、ピッツバーグから転居する住民は相次いだ。しかし、ピッツバーグを離れた市民であったが、転居先でも引き続き故郷へのアイデンティティを強く持っており、それが今日までスティーラーズファンが全米中に所在している状況になっている。

近年では、スティーラーズのファンがアウェイのスタジアムにも多く押しかけることから、チームによってはスティーラーズファンに対して、入場制限を掛けている場合もある[19]

テリブルタオル

テリブルタオルを振って応援するファン

スティーラーズファンによる応援はNFLでもとりわけ熱狂的であり、特にテリブルタオル(Terrible Towel)というゴールドのタオルを振り回すことで知られている[20]。このテリブルタオルは、地元ラジオ局「WTAE」のスティーラーズ専門アナウンサー、マイロン・コープ(Myron Cope、2005年に引退)の発案で広まった。1975年プレーオフのボルティモア・コルツ(現インディアナポリス・コルツ)戦で初めて行われ、以降スティーラーズの象徴的な応援となっている。また、応援グッズに留まらず、ファンの日常生活でも用いられており、今日ではピッツバーグ市民の日用品として定着している。

テリブルタオルの販売による収入は、発達障害身体障害を持つ人々をケアするアレゲニー・バレー・スクールへ寄付され、2007年時点で600万ドル以上を集めている。近年、さまざまなスポーツの応援でたびたび用いられているタオル回しは、このスティーラーズのテリブルタオルが元祖であると言われている。

マスコット

マスコットのスティーリー・マクビーム

2007年シーズン前、チームは公式マスコットとしてスティーリー・マクビーム(Steely McBeam)を発表した。チームの75周年記念として発表されたスティーリーは、ファンからの7万を超える応募から命名された。

ライバル

同地区のライバル、クリーブランド・ブラウンズ、ボルチモア・レイブンズ、シンシナティ・ベンガルズに加えてこれまでポストシーズンの対戦を繰り返しているニューイングランド・ペイトリオッツ、オークランド・レイダース、テネシー・タイタンズ、ダラス・カウボーイズなどが挙げられる。また現在のスケジュールでは4シーズンに1回しか対戦しないがフィラデルフィア・イーグルスとはプレシーズンゲームで毎年のように対戦している。

クリーブランド・ブラウンズ

1950年からの対戦成績は最初の40試合の勝敗では9勝31敗であったが2008年終了時点での対戦成績は57勝55敗とスティーラーズがリードしている。1999年にブラウンズが再結成された後の対戦成績では17勝3敗と圧倒しており現在10連勝中である。また1970年から1985年までの16年間はスティーラーズの全勝でスリー・リバース・スタジアムでの対戦はスティーラーズの24勝5敗となっている。ビル・カウアーはスティーラーズのヘッドコーチに就任する前、ブラウンズでスペシャルチームコーチ、ディフェンスバックコーチを務めている。

ボルチモア・レイブンズ

1996年からの対戦成績は16勝10敗でスティーラーズがリードしている。両チームとも強力なディフェンスで知られている。2001年、アクリシュア・フィールドを本拠地にしてから初のホームでの敗戦がレイブンズ相手の試合であった。このシーズンプレーオフで対戦し、前年のスーパーボウルチャンピオンのレイブンズを27-10で破った。2008年のAFCチャンピオンシップゲームでも対戦しスティーラーズが勝利している。

シンシナティ・ベンガルズ

NFLとAFLが統合された1970年からの対戦成績は47勝30敗でスティーラーズがリードしている。2005年のワイルドカードプレーオフではAFC第6シードのスティーラーズが31-17でベンガルズを破り、ベンガルズQBのカーソン・パーマーはKimo von Oelhoffenのヒットを受けて膝を負傷し退場した。ベンガルズの選手たちは汚いプレーだと非難したがNFLのルールでは正当なルールであり事故と判断されている。2005年、2006年はお互い11勝5敗、8勝8敗で終わり対戦成績も1勝1敗であったがディビジョン内の対戦成績でベンガルズが上位となった。

ニューイングランド・ペイトリオッツ

1996年、1997年のプレーオフで両者は対戦している。ペイトリオッツにはタイ・ロー、カーティス・マーティンとピッツバーグ近郊出身の2人の選手が在籍していた。2001年の当時のハインツ・フィールドで行われたAFCチャンピオンシップゲームで番狂わせで敗れた。2004年の第6週で対戦しペイトリオッツの連勝を21で止めたがAFCチャンピオンシップゲームでチームは敗れた。1998年から2007年までの10年間で7回対戦したがその内6回チームは敗れた。2008年フォックスボロ・スタジアムで行われた試合で相手QBのマット・キャセルから5回のターンオーバーを奪って33-10で勝った。通算成績はスティーラーズが14勝10敗とリードしている。

オークランド・レイダース

1970年代からのライバル関係にある。プレーオフでの初対戦となった1972年12月23日の試合ではフランコ・ハリスのイマーキュレート・レセプションで13-7と勝利した。翌1973年のプレーオフでは敗れたが1974年、1975年のAFCチャンピオンシップゲームではいずれもレイダースを降した。1976年のチャンピオンシップゲームでも両者は対戦したがこの試合でリン・スワンがジョージ・アトキンソンの激しい当たりで負傷退場し試合はレイダースの勝利に終わった。チャック・ノールヘッドコーチがこれを厳しく批判したことに対してレイダースとアトキンソンはノールに対して名誉毀損訴訟を行ったが敗れている。近年はレイダースが低迷しているためプレーオフでの対戦はない。通算成績は11勝12敗でレイダースにリードされている。

ダラス・カウボーイズ

1960年にカウボーイズが創設された際、コットン・ボウルで最初に対戦したのがスティーラーズであった。この試合は35-28でスティーラーズが勝利した。両チームはスーパーボウルで3回対戦しており、最初の2回の対戦(第10回スーパーボウル、第13回スーパーボウル)ではスティーラーズが勝利した。第13回スーパーボウルに出場した選手、コーチの合計20人がプロフットボール殿堂入りを果たしておりこれはこれまでのスーパーボウル最多の人数となっている。1977年にカウボーイズは第12回スーパーボウルを制覇したが11月にスリー・リバース・スタジアムでの対戦ではスティーラーズが28-13で勝利した。ロジャー・ストーバック現役最後のシーズンとなった1979年にも両チームはスリー・リバース・スタジアムで対戦し14-3でスティーラーズが勝利した。1970年代、1980年代合計8回の対戦中6回はスティーラーズが勝利したが1990年代には第30回スーパーボウル[21]での27-17の勝利を含めて4試合ともカウボーイズが勝利した。通算成績は15勝15敗のタイ。


  1. ^ ヘルメットの右側にのみロゴが入っている
  2. ^ 印象に残る守備陣のニックネームTOP6”. NFL JAPAN (2012年5月17日). 2012年5月17日閲覧。
  3. ^ a b c d e f Steelers History
  4. ^ An Old Raider’s Old-School Values”. ニューヨーク・タイムズ (2009年12月7日). 2010年5月7日閲覧。
  5. ^ A Walk On The Sordid Side”. スポーツ・イラストレイテッド (1977年8月1日). 2010年5月7日閲覧。
  6. ^ Steelers Utilize Nine Turnovers In 34-5 Victory”. Sarasota Herald-Tribune (1979年1月8日). 2010年12月25日閲覧。
  7. ^ Official site of the Pittsburgh Steelers
  8. ^ アリゾナ・カージナルスのヘッドコーチに就任し第43回スーパーボウルでスティーラーズと対戦した。
  9. ^ 暴行騒動の“ビックベン”、6試合の出場停止処分に”. NFL JAPAN (2010年4月22日). 2012年1月18日閲覧。
  10. ^ 3連勝スティーラーズ、第4週もバッチが先発QB継続”. NFL JAPAN (2010年9月29日). 2012年1月18日閲覧。
  11. ^ パッカーズ、14年ぶりスーパーボウル制覇!”. NFL JAPAN (2011年2月7日). 2012年1月18日閲覧。
  12. ^ スティーラーズ鉄壁守備で勝利も、エースRB負傷退場”. NFL JAPAN (2012年1月2日). 2012年1月21日閲覧。
  13. ^ スティーラーズに痛手、RBメンデンホールがプレイオフ欠場”. NFL JAPAN (2012年1月3日). 2012年1月18日閲覧。
  14. ^ スティーラーズHC、Sクラークのブロンコス戦欠場を決断”. NFL JAPAN (2012年1月4日). 2012年1月18日閲覧。
  15. ^ ティーボウ大活躍、ブロンコスがOTの死闘を制す”. NFL JAPAN (2012年1月9日). 2012年1月18日閲覧。
  16. ^ スティーラーズ、オフェンスコーディネーターが引退”. NFL JAPAN (2012年1月21日). 2012年1月21日閲覧。
  17. ^ リターン妨害によりスティーラーズHCに罰金処分 来季ドラフト指名権に影響も”. NFL JAPAN (2013年12月5日). 2014年4月5日閲覧。
  18. ^ Pittsburgh Steelers QB Dwayne Haskins dies at 24 after being hit by vehicle”. NFL.com. 2022年4月10日閲覧。
  19. ^ Rooney: Opposing teams discriminate Steelers fans”. TRIBUNE-REVIEW (2006年4月7日). 2021年2月11日閲覧。
  20. ^ 伝統は「強力ディフェンス」 NFLの名門スティーラーズ”. 47NEWS (2014年5月29日). 2021年2月11日閲覧。
  21. ^ スティーラーズのQBニール・オドネルのパスを2回インターセプトしたラリー・ブラウンがMVPを獲得した。
  22. ^ Official site of the Pittsburgh Steelers - Article Archived 2010年3月4日, at the Wayback Machine.
  23. ^ Steelers hire league's first full-time female athletic trainer スポーツイラストレイテッド 2008年7月25日
  24. ^ http://www.nfljapan.com/headlines/23065.html スティーラーズの選手たちが「バットマン」に出演


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