ピザ ピザの概要

ピザ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/08 23:43 UTC 版)

アメリカ、ニューヨークコストコ・ピザ。大きくて、具が盛りだくさん。

小サイズのものは、区別してピッツェッタ: pizzetta)と呼ばれることもある。

概要

イタリアで生まれた。現在でもイタリアが本場中の本場であるが、アメリカでアメリカ風に変化したものも生まれた。それも世界中に伝播し、現在では世界的に広く食べられている料理である。

おいしいピッツァを生地から焼くには、大きな竈やオーブンが必要だったので、ピザ専門店やレストランなどで提供され、現在でもイタリアではそのタイプのピッツァが中心である[要出典]。一方、アメリカ合衆国では、1960年代から電話一本でピザを配達する配達方式のチェーン店が流行し、そのアメリカ資本の大規模ピザチェーン店がアメリカナイズされている傾向が強い国々への進出に成功し、世界の広範囲で親しまれるようになった。また近年では、家庭向けの冷凍食品およびチルド食品化されたピザもスーパーマーケットなどで販売されるようになった。ソース・具材も載った状態で販売されており、家庭の電気オーブン(オーブントースター)でも簡単に作れるようになったので、自宅にいながらにして気軽に安価に食べることができる料理となった。

本場イタリアでは「ピッツァ生地の発酵は24時間以上でなければならない」と法規的にも定められている。それに対してアメリカの場合はそういった法的規定が無く、ごく短時間で焼成する傾向が強いので、生地の発酵段階からしてすでにイタリアのピッツァとアメリカ風のピザは異なる。生地の質感がイタリアのものはパリッとした食感が楽しめる傾向があるのに対してアメリカ風のものはややボテッとした食感の傾向がある。さらに、その後の具材の選択がイタリアのものとアメリカ風では大きく異なり、アメリカ風のものは具材の多さを売り物にする傾向があり、さらに焼き方も異なるので、それらの要素が重層的に合わさって、結果として本場イタリアのピッツァとアメリカ風のピザは、別物である(次節以下でも、可能な場合、イタリアのものとアメリカ風のものは区別して説明する)。

数多くのレシピがある。トマトソース、ニンニク、オリーブオイルだけを使う(他に具材を一切のせない)「マリナーラ」(it:Pizza alla marinara)というとてもシンプルなピッツァから、トマトソースの上に具材としてモッツァレラチーズとバジルの葉を載せたマルゲリータ、さらにアメリカのチェーン店のもので具が(極端なまでに)盛りだくさんな状態になったピザなどまで、非常に多種類のピッツァ(ピザ)がある。もともとイタリア起源の料理なので、ソースを塗る場合は、トマトソースが基本ではある。アメリカ系の大規模チェーン店同士の激しい競争によって、さまざまな具材を載せたピザが商品開発された結果、人々の多様な好みに応えるようになっている。なかには地域にある産品を取り込んでご当地グルメ的変化を見せるものもある。

オーブンと材料があれば、家庭で、小麦粉から生地をつくり発酵させる段階からトマトソースを塗り具をのせて焼くところまで、全部自分で作ることもできる[1]。近年ではスーパーで(ピッツァの手作り用の)トマトソースも販売されている。

日本では、いくつかの経路で入って広まってきた経緯があり、イタリア風のピッツアとアメリカ風のピザが併存している。1946年には日本に住んだシチリア人がピザを提供する店を宝塚市に開店し、その近所の人々は本格的なイタリアのピッツアを食べられた。1954年には元進駐軍のイタリア系アメリカ人が東京・六本木にピッツェリアを開店。1970年代以降にはアメリカ系の「シェーキーズ」というピザ・レストランが日本の都市圏に出店して、アメリカ風のピザも親しまれるようになった。1980年代後半より始まったバブル景気の最中に起きたイタリア料理ブームで、あらためて本場イタリア風のピッツァのおいしさも、広く知られるようになっていった。その一方で、アメリカの宅配ピザチェーンの大手も順次日本に進出展開し、各家庭の郵便受けに投げ込まれるキャンペーンのチラシやテレビで流されるCMを見て注文する人も多く、アメリカ風のピザに親しむ人がさらに増えた。

歴史

ピザの定義や語源は曖昧であるが、イタリアにはフォカッチャがあり丸パンに具材を乗せるところから、ピザの原型とされている。

フォカッチャが作られる前にも、エジプトには円盤状のパンに具材を乗せて焼いた物が現ピザの調理法と酷似していることから、原型はエジプトからイタリアに伝来していると言う説もある。

現在「ピッツァ」と呼ばれる料理が誕生したのはイタリアのナポリである。ナポリ第二大学の栄養学教授カルロ・マルゴーニによれば、初めて薄くのばしたパン生地にトマトソースを載せて焼いたピザが作られたのは1760年頃だという。1803年には初めてピッツェリアが創業した[2]

イタリア系移民がアメリカ合衆国にピザを導入したのは19世紀末である。1905年にはニューヨークリトル・イタリーに米国初のピッツェリアが創業した。第二次世界大戦後にはイタリア系米国人以外にも普及した。ピザは米国で独自の発展を遂げ、今日ではホットドッグハンバーガーに並ぶアメリカの国民食となっている。

2017年12月、イタリア南部のナポリに伝わるピザ職人「ピッツァイオーリ(pizzaioli)」の技が、ユネスコ無形文化遺産に登録された[3]

世界的に広まった経緯

1945年時点ではアメリカ人のほとんどはピザという名で呼ばれる食べ物を全然知らなかった[4]第二次世界大戦でイタリアに駐留することになったアメリカの兵士たちがアメリカに帰ってからアメリカにピザが広まった、とする説明が、Ed Levine著の “Pizza: A Slice of Heaven.”という印刷された本に書かれているのだが[4]、数人の兵士がイタリアでピザを食べてアメリカでも食べようと思った可能性もありはするが、当時のイタリアはファシストの政府の誤った政府運営が原因で深刻な食糧危機に陥っていたので、ほとんどのアメリカの兵士たちはイタリアの食糧不足のせいで駐留中にピザには出会わなかった可能性が高い[4]。したがって、アメリカで現在のようにピザが広まったことの原因の説明としては、アメリカ兵のイタリア駐留を持ち出すのは不適切である可能性が高い[4]

これほどまでに(アメリカや世界各地で)ピザが広まることになった原因として挙げるのにもう少し良さそうな説は、イタリアからの移民の多さである[4]。1870年から1970年にかけて2600万人よりも多くのイタリア人が仕事を求めてヨーロッパ諸国やアメリカやそれ以外の国に向けて出国した[4]en:Encyclopedia Britannicaは「イタリア人移民がとても多かったことで、ピザはポピュラーな食べ物となった」と説明している[4]。たしかに、アメリカのニューヨークでも、アルゼンチンのブエノスアイレスでも、イタリアからの移民がイタリアン・レストランを開店して、さまざまなイタリア料理を提供した、という事実がある[4]。だが、それらのイタリア料理店のおかげで他のイタリア料理に関してはアメリカ人にも知られるようになったのに、ことピザに関しては、不思議なことに1950年代でもほとんどのアメリカ人が知らなかった[4]

つまり、ピザは今ではグローバルなものになっているのにもかかわらず、それがどのようなメカニズムで広まったかについては、あまり正しく理解されていないのである[4]。1950年代から1980年代にかけてピザが世界的に広まったのは事実なのであるが、そこにはいくつかの要因が関係している[4]、とワシントン・ポストの記事の筆者は分析している。(イタリア移民の世界的な多さだけを要因として挙げるべきではない[4]。たとえば当時、米国北東部で出店ブームとなったピザ店のおよそ半分はギリシア系のアメリカ人だった。[4]

ピザ店というのは、開店する時の必要な開店資金が比較的少ないということが、他の選択肢もある中からピザ店を選んで開店することにつながった、と言えるとし[4]、また、テクノロジーの変化がピザの調理・配達に劇的な変化をもたらしたこともピザの普及に影響した、と指摘する。たとえば回転式の棚をそなえた金属製のオーブンの登場、あらかじめシュレッド(細切りに)されたチーズやトッピングの登場、加工済みの配達用ボックスの登場、自動車の一層の普及(モータリゼーション)などの要因が、より多くの消費者たち、たとえば都市の外に住む消費者たちや、大学のキャンパスにいる人々や、軍の基地にいる人々(軍関係者)にまで、ピザを配達するということにつながった[4]、とワシントン・ポストの記事の筆者は分析している。


注釈

  1. ^ 『日本大百科全書』は「ピッツァ」というカタカナ表記で項目を立てている。
  2. ^ イタリア語発音: [ˈpittsa] ッツァ
  3. ^ 英語発音: [ˈpiːtsə] ッツァ、ーツァ
  4. ^ フランス語発音: [pidza] ピッザ
  5. ^ なお、東京の日本交通がニック・ザペッティに“ニコラス”のチェーン展開をもちかけ、同社が負債の代物返済として店舗を取得し、東京赤坂ほかで運営していたことがある。

出典

  1. ^ 『イタリアマンマの粉ものレシピ - 本格的ピッツァやパスタが家で作れる!』講談社、2016年
  2. ^ Schwartz, Arthur. Naples at Table. Harper Collins, New York, 1996. p.67
  3. ^ ナポリピザの職人技、ユネスコ無形文化遺産に決定ロイター、2017年12月8日、2022年2月5日閲覧
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o The Washington Post, Five myths about pizza
  5. ^ Schwartz, Arthur. Naples at Table. Harper Collins, New York, 1996. p.73
  6. ^ Publication of an application pursuant to Article 8(2) of Council Regulation (EC) No 509/2006 on agricultural products and foodstuffs as traditional specialities guaranteed” (英語). EUR-Lex (2008年2月14日). 2021年12月11日閲覧。
  7. ^ Ventunesima revisione dell'elenco dei prodotti agroalimentari tradizionali - Tabella con suddivisione per Regione e categoria merceologica (293.69 KB) (pdf)” (イタリア語). Ministero delle politiche agricole alimentari e forestali. 2021年12月4日閲覧。
  8. ^ Disciplinare Internazionale Per L’ottenimento Del Marchio Collettivo “Verace Pizza Napoletana” – (Vera Pizza Napoletana) (pdf)” (イタリア語). Associazione Verace Pizza Napoletana (AVPN). 2021年12月14日閲覧。
  9. ^ ピザはバランス栄養食”. ピザ協議会. 2013年4月13日閲覧。
  10. ^ La vera pizza napoletana - ピザについて(イタリア語)
  11. ^ 「イタリアでピザの『自動製造販売機』が登場へ」 ロイター、2009年3月27日、2022年2月5日閲覧
  12. ^ ピザのマーケット - ピザ協議会
  13. ^ 「兵庫人 挑む」第9部 われら地球人 ニッポンで追い求める夢 祖国離れ苦労の末に得た幸せ - 神戸新聞、2007年12月23日
  14. ^ ピザ東京デビューは丸?四角? - 東京新聞、2006年6月10日
  15. ^ みんな知ってる? 11月20日はピザの日 - ピザ協議会(PDF)
  16. ^ 小麦粉のおはなし - (財)製粉振興会、2003年4月
  17. ^ Tokyo Underworld: The Fast Times and Hard Life of an American Gangster in Japan Robert Whiting, Knopf Doubleday Publishing Group, Sep 29, 2010
  18. ^ 『東京アンダーワールド』ロバート・ホワイティング(角川書店)
  19. ^ 『近代日本食文化年表』小菅桂子(雄山閣出版、1997年)
  20. ^ ジェーシー・コムサ 大河原愛子会長 - BSジャパン「直撃! トップの決断」2007年4月28日放送
  21. ^ 【動画付き】神宮の森に“青空カフェ”誕生…「シェーキーズ」日本上陸35年目の挑戦 - ニュースウォーカー
  22. ^ 「外食史に残したいロングセラー探訪(35) 紅鹿舎ピザトースト」 - 2009年12月7日付『外食レストラン新聞』10面
  23. ^ 「東京ふつうの喫茶店」第67回「カフェレストラン 紅鹿舎(有楽町) ピザトーストの元祖」 - 平凡社
  24. ^ ドミノ・ピザの紹介”. 株式会社ドミノ・ピザ ジャパン. 2016年6月9日閲覧。
  25. ^ ピザの“自販機”が広島に登場!! 「3年で全国100台」目標、あなたの街にも? 設置者に聞く』 オトナンサー(株式会社メディア・ヴァーグ) 2018年8月9日 (2018年9月12日閲覧。)
  26. ^ 人気のピザ自販機“車で寝た”導入への執念」 日テレNEWS24  2018年9月12日 (2018年9月12日閲覧。)
  27. ^ 自販機で“焼きたてピザ”!? 広島で設置、連日大行列”. SankeiBiz. 2018年9月5日閲覧。
  28. ^ お得な“2時からセット”で「イタリアンホットサンド」が復活! - ニュースウォーカー(2009年8月20日 東京ウォーカー)
  29. ^ 採用情報:ヒット商品変遷史まで 昭和43年〜昭和60年 - 井村屋
  30. ^ アメリカ人の彼等が愛するお国の味!? excite.ニュース 2009年4月23日 10:00(2020年7月1日閲覧)
  31. ^ ドミノピザが宅配にドローンを採用? 「ドミコプター」テスト映像を公開(動画あり)
  32. ^ ドローン(無人飛行機)で配達するロシアのピザショップの実態
  33. ^ Bitcoin Pizza Day: Celebrating the Pizzas Bought for 10,000 BTC - ビットコイン・ピザ・デー(英語)






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