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ビグロ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/28 23:51 UTC 版)

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作中の軍事勢力の一つであるジオン公国軍の量産機で、宇宙戦用に開発された最初のMA。強大な推進力を活かした高機動戦闘を得意とし、胴体から伸びる一対のクローアームで格闘戦もできる。劇中では、主人公アムロ・レイが搭乗する「モビルスーツ(MS、人型ロボットの一種)」「ガンダム」を、その機動性で苦しめる。

メカニックデザインは、監督の富野喜幸(現・富野由悠季)の原案をもとに大河原邦男が行った。

当記事では、各シリーズ作品に登場する派生機の解説も行う。

機体解説

諸元
ビグロ
BIGRO[注 1]
型式番号 MA-05
所属 ジオン公国
製造 MIP
生産形態 量産機
全高 23.6m[6]
全長 45.5m[6]/30m[7]
本体重量 125.5t[6]
全備重量 229.8t[6]/170t[7]
装甲材質 超硬スチール合金
出力 17,800kW[6](105,000馬力[8]
推力 136,100kg[6]
センサー
有効半径
111,000m[6]
最高速度 マッハ10[8]
武装 メガ粒子砲
4連装ミサイルランチャー×2
クローアーム×2
搭乗者 トクワン
グレニス・エスコット
他(「劇中での活躍」を参照)

最初に実用化された宇宙戦用MA。既存の宇宙ポッドを発展させた機体となる[9][10]。祖となる機体はザクIの原型機と制式採用を争ったMIP社のMIP-X1であり、MSと比較し汎用性は劣るものの、大加速を用いた一撃離脱戦闘においては優れるところがあり、MSに続く次世代機として実戦投入が決定する。ビグロはその唯一の実戦配備型である[3]

2基の熱核ロケットエンジンの大推力を有し、短いボディとAMBACを組み合わせる事により180度姿勢変換に1.3秒の高機動性を獲得[11]一撃離脱戦法を得意とする[12][13]機体だが、高い機動性故に並のパイロットではそのGに耐える事が出来ない[12]。開発は北米のキャリフォルニアベースで行われ、実用試験の終了後、初期型14機が生産され、本国に送られた[9][注 2][注 3]。数機は次期MA開発用にテストタイプとしてYMA-06などの仮ナンバーが与えられ、グラナダでの各種実験に用いられる[15]。MAへのサイコミュ搭載プランの一環でその搭載も検討されていたが、加速性能の低下が原因で候補から外される[16]。また、水中用MAグラブロは本機をベースに開発された[17]

武装

メガ粒子砲
機首が展開し露出する[9]。本装備は後に移動砲座スキウレに流用された[17]
4連装ミサイルランチャー
左右上側面にそれぞれ装備する[9]
クローアーム
接近戦用装備[9]
その他
量産型ではゲルググ用のビーム・ライフルも使用可能[11]


劇中での活躍

テレビ版『機動戦士ガンダム』では、ホワイトベースが再び宇宙に上がり、シャア・アズナブルが追撃のため急遽徴用したザンジバルと対峙する第31話にて登場する。地球から宇宙へ発進したザンジバルに、宇宙用のリック・ドムザクレロとともに搭載されている。本機は実戦テストをおこなう段階であった。ザンジバルの本来の指揮官であるトクワン大尉が搭乗し、衛星軌道上でリック・ドム2機を率いて出撃、セイラ・マスGブルイージーをクローで引っ掛けて放り投げ、アムロ・レイGスカイを圧倒する。駆け付けたカイ・シデンガンキャノンによる援護の隙に合体したガンダムとの一騎討ちに移行、ガンダムが本機の下面に取り付くが、本機の高速によるGでパイロットのアムロは気絶する。本機の両腕でガンダムをつかみ、そのままメガ粒子砲を当てようとするも、直前にアムロが意識を取り戻し脚を上げてビームをかわされ、同時にメガ粒子砲口をビーム・ライフルで射抜かれ撃破される。

劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』ではトクワン機は登場しないが、ア・バオア・クー防衛戦の直前のギレン・ザビ総帥の演説のシーンで4機の配備が確認できる。OVA機動戦士ガンダム MS IGLOO -黙示録0079-』第3話では、CGでこれを再現している。

漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では本機の活躍はなく(トクワンは地球でグラブロに搭乗する)、陥落寸前のア・バオア・クージオング担当の技術士官サキオカが「試作機で唯一出番のなかったかわいそうなやつ」として本機を回収しようとする場面がある。

漫画『機動戦士ガンダム0079』では、劇場版『ガンダムIII』準拠のドレン艦隊との戦闘のあと、トクワンが搭乗してホワイトベース隊と戦闘を繰り広げる。テレビ版とは展開が異なり、ホワイトベースの片翼を破損させ、FSWSを装備したガンダムを撃破寸前まで追い詰める。

OVA『機動戦士ガンダム戦記 アバンタイトル』では、ア・バオア・クー防衛戦で3機のビグロが補給中のサラミス級巡洋艦を強襲し撃沈するが、ユーグ・クーロジム・コマンドの反撃で1機撃破される。プロデューサーの稲垣浩文によれば、前述の劇場版に登場する機体「かもしれない」と述べており、監督の松尾衡の中ではパイロットは若い学徒動員兵たちであり、上官の命令で訳も分からず出撃させられているイメージとのこと[18]

いけ!いけ!ぼくらのVガンダム!!』収録の短編漫画「ソロモンの悪夢」、およびゲーム『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙』では、ソロモン防衛戦ケリィ・レズナー大尉が搭乗している。

ガンダムエース』掲載の松田未来の漫画「BIG CLAW」(『機動戦士ガンダム THE ANTHOLOGY VOL.2』に再録)では、一年戦争末期に侵攻する連邦軍艦隊に対する強襲陽動作戦用として投入される。乗り手を選ぶ本機を用いる危険な任務のため、MIP社のテスト・パイロットであり公国軍人から差別されている月面人(ルナリアン)のイーサ・トゥルボ少尉が搭乗。作戦中に中破するもイルマリ・ユーティライネン中尉らの救援により生還する。同作品では、本機はその外観から連邦軍に「ビッグ・クロー」のコードネームで呼ばれていたとされる。

漫画『機動戦士ガンダム外伝 宇宙、閃光の果てに…IF』では、ア・バオア・クー防衛戦でNフィールドに配備されるも、サラブレッド隊に撃破される。原典に当たる『SD CLUB』掲載小説ではビグロ改とされる。

書籍『機動戦士ガンダム 戦略戦術大図鑑』では、公国軍の撃墜数7位であるグレニス・エスコット中尉が本機に搭乗しているとされる。

ゲーム『機動戦士ガンダム戦記 (プレイステーション3)』および漫画版『機動戦士ガンダム戦記U.C.0081 -水天の涙-』では、宇宙世紀0081年にジオン残党部隊インビジブル・ナイツに協力するジオン残党の戦力として月面のマスドライバー基地奪還を図るファントムスイープ隊の前に立ちふさがるが、ユーグ・クーロの駆る重装フルアーマーガンダム(漫画版ではフルアーマーガンダム7号機)に撃破されている。

小説版『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』では、一年戦争後連邦軍にテスト用として接収され、ふたたび実戦用に調整された機体が登場。メガ粒子砲は連邦軍規格のものに換装されている。機体色は白を基調とし、"E.F.S.F"(地球連邦宇宙軍)のロゴが記されている。宇宙世紀0083年11月にユーイン・バーダー大尉(当時)が搭乗し、連邦軍との密約があるはずのシーマ艦隊、およびデラーズ・フリートを攻撃する。

機動戦士ガンダム バニシングマシン』では、公国軍残党がスポンサーから譲渡された本機でジャミトフ・ハイマンが乗るマゼラン級戦艦を奇襲するも、パプテマス・シロッコメッサーラに迎撃される。

機動戦士ガンダム 新ジオンの再興』では、第二次ネオ・ジオン抗争時に稼働している機体が登場。ジェガンなどの最新MS相手を圧倒する活躍を見せる。

漫画『機動戦士ガンダム U.C.0096 ラスト・サン』第4巻収録の描き下ろし短編「越天の宇宙で」では、0096年に密輸船航路に出没する宙賊(宇宙海賊)の機体として登場。フレスベルク・レイヴン混成部隊に補足され、持ち前の加速力を活かし逃走するも、先回りしていたフルアーマー百式改と追撃してきたデルタカイの挟撃を受け撃破される。

MIP-X1

書籍『ガンダムセンチュリー』などに登場。

「ミノフスキー粒子散布下における新型機動兵器」というジオン軍の要求を受けて、一年戦争前に試作された機体。宇宙戦闘機と外惑星資源開発用作業ポッドを組み合わせたような機体であり、ホバークラフトシステムも有している。宇宙空間でのもの以外のすべての性能で勝っていたジオニック社のクラブマンに敗れたが、その高機動性から戦中にMAの原型機とされ、この機体から各種MAが開発された。

書籍『機動戦士ガンダム MS大全集2003』には、ジオニック社製の試作機と同時期に製作されていたMIP社製機動兵器が掲載されている。AMBACシステムを採用していないため戦闘時のプロペラントの消費が激しく、最大戦闘時間は10分以下だとされている。また、この機体はダミーのメガ粒子砲を装備している[19]




注釈

  1. ^ 初期の資料での英文表記は "BYGRO" とされ[2]、これを踏襲する資料も少なくないが[3][4]、公式ウェブサイト[1]や書籍『MS大全集』シリーズ[5]などでは "BIGRO" である。
  2. ^ プロトタイプのテストをU.C.0080年7月に行い、大戦末期に初期型12機が参戦したとされる資料も存在する[11]
  3. ^ 実戦テストが行われたのはジャブロー戦が終わった11月下旬である[14]
  4. ^ 「ミサイル×14」とする資料もある[25]
  5. ^ 『0083』劇中、ケリィはフォン・ブラウンのジャンク屋からヴァル・ヴァロを垂直に上昇させる。
  6. ^ 『0083』第7話より。ヴァル・ヴァロはガンダムGP01Fbのビーム・ライフルの射撃を2発正面装甲に受けるが、影響なく戦闘を継続する。搭乗者ケリィ・レズナーは、遠距離からのビーム攻撃ではヴァル・ヴァロを倒すことはできないと発言する。対ビームコーティングがなされていたとの見方もある。

出典

  1. ^ a b 「WORLD - MS」機動戦士ガンダム公式Web、創通・サンライズ
  2. ^ 大河原邦男・松崎健一(監修)『機動戦士ガンダム マニュアル』1981年3月。
  3. ^ a b 「051 ビグロ」『機動戦士ガンダムMSV COLLECTION FILE 宇宙編』講談社、1999年11月。(ISBN 4-06-346550-0)
  4. ^ 『データコレクション2 機動戦士ガンダム 一年戦争編』メディアワークス、1996年11月、40頁。ISBN 4-8402-0531-0
  5. ^ 『Dセレクション 機動戦士ガンダム MS大全集2003』メディアワークス、2003年4月、15頁。
  6. ^ a b c d e f g 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日、58-59頁。(ISBN 4-89189-006-1)
  7. ^ a b 『テレビマガジン』1981年3月号付録『機動戦士ガンダム大事典』下巻、講談社、59頁。
  8. ^ a b 『講談社ポケット百科シリーズ15 ロボット大全集1 機動戦士ガンダム』1981年4月、139頁。
  9. ^ a b c d e 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション(2) ジオン軍MS・MA編』講談社、1984年4月30日、2006年7月(復刻版)、136-137頁。ISBN 978-4063721768
  10. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日、124頁。(ISBN 4-89189-006-1)
  11. ^ a b c 『ガンダムセンチュリー』みのり書房、1981年9月、銀河出版、2000年3月(復刻版)、54頁。ISBN 4-87777-028-3
  12. ^ a b 『機動戦士ガンダム宇宙世紀 vol.2 大事典編』ラポート、1998年9月、72頁。(ISBN 4-89799-294-X)
  13. ^ 機動戦士ガンダム公式Web「メカ-ジオン軍-ビグロ」
  14. ^ テレビ版第31話、シャアとトクワンの会話より。
  15. ^ 『ジオン軍ミリタリーファイル』(バンダイ デジタル エンタテインメント/1998)より[要ページ番号]
  16. ^ ガンダムエース2011年8月号 『MSV-R vol.28』より[要ページ番号]
  17. ^ a b c 皆河有伽『総解説ガンダム辞典Ver1.5』講談社、2009年8月、189頁、ISBN 978-4063757958
  18. ^ 「スペシャル - アバンタイトル プロデューサーインタビューvol.1, vol.2」PS3版 機動戦士ガンダム戦記 公式ホームページ
  19. ^ 『機動戦士ガンダム MS大全集2003』メディアワークス、2003年4月、7-8頁。ISBN 4-8402-2339-4
  20. ^ B-CLUBレジンキャストキット「1/400スケール ビグロマイヤー」。
  21. ^ a b c d e f g h i 『機動戦士ガンダム MS IGLOO Mission Complete竹書房、2009年12月、70頁。ISBN 978-4-8124-4093-3
  22. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 『機動戦士ガンダム MS IGLOO Mission Complete』竹書房、2009年12月、68-72頁。ISBN 978-4812440933
  23. ^ OVA『MS IGLOO -黙示録0079-』第3話、出撃前のマイ技術中尉の発言より。
  24. ^ MSVスタンダード 2018, p. 82.
  25. ^ a b c d e f g MSVスタンダード 2018, p. 103.
  26. ^ a b c d MSV-Rジオン編 2014, p. 116-117.
  27. ^ a b c d e f MSV-Rジオン編 2014, p. 48-49.
  28. ^ a b ガンダムエース1101 2011, p. 66-67.
  29. ^ a b ガンダムエース1101 2011, p. 68-69.
  30. ^ 機動戦士ガンダム0083 web「MS-ジオン公国軍-ヴァル・ヴァロ」
  31. ^ 皆河有伽『総解説ガンダム辞典Ver1.5』講談社、2009年8月、190頁、ISBN 978-4063757958





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