ヒューストン・テキサンズ 歴史

ヒューストン・テキサンズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 04:03 UTC 版)

歴史

NFL32番目のフランチャイズ

ヒューストンにはかつてヒューストン・オイラーズ(現テネシー・タイタンズ)がフランチャイズを置いていたが、1997年テネシー州ナッシュビルに移転し、それ以来ヒューストンはNFLの空白地帯となっていた。

NFLは2002年シーズンより32番目のチームを迎え入れることになり、候補地としてはトロントロサンゼルス、ヒューストンがあげられた。1999年3月16日に行われたNFLのオーナー会議で29-2の賛成多数でロサンゼルスが32番目のフランチャイズと決まったが、ロサンゼルスにおける新チームを目指す複数のグループの計画が進まなかったため白紙に戻され、同年10月6日のオーナー会議で29-0でヒューストンが新フランチャイズとなり2004年のスーパーボウル開催地となることも決定された。

2000年、チームはワシントン・レッドスキンズの元ゼネラルマネージャー、チャールズ・キャサリーをGMに起用、2001年1月21日には元カロライナ・パンサーズのヘッドコーチでその後ジャクソンビル・ジャガーズのディフェンスコーディネーターを務めたドム・ケイパーズが初代ヘッドコーチに就任することが発表された。

新チームの愛称としてはオイラーズはテネシー・タイタンズが利用しているので使うことはできず公募の結果、アポロズ、ボブキャッツ、スタリオンズ、トロズ、ワイルドカッターズ、テキサンズの6候補に絞られ最終的には「テキサス州に根差した馴染みのある名前として」[1]ヒューストン・テキサンズとなった。これは1974年にヒューストンにフランチャイズを置いていたワールド・フットボール・リーグのチームと同名である。

チーム草創期

チーム初の公式戦は2002年9月8日にリライアント・スタジアムでのダラス・カウボーイズ戦であった。この試合でルーキーQBのデビッド・カーはビリー・ミラーへTDパスを通し19-10で勝利した。エクスパンションチームがデビューを白星で飾るのは1961年のミネソタ・バイキングス以来史上2チーム目のことであった。その後5連敗した後、ジャクソンビル・ジャガーズ戦でロード初勝利をあげた。その後、ニューヨーク・ジャイアンツピッツバーグ・スティーラーズ(この試合オフェンスは46ヤードしか獲得できなかった。これはNFLの勝利チームとしては最低の記録であった。)に勝利し4勝12敗でシーズンを終えプロボウルにもゲイリー・ウォーカー、アーロン・グレンの2人が選ばれた。この年オフェンスラインが弱点となりカーは76回のサックを受けた。

2003年の開幕戦ではマイアミ・ドルフィンズを破りエクスパンションチームとしては初めて2年連続開幕戦を勝利で飾った。チームは前年より1勝しか増やせなかったがこのシーズン第38回スーパーボウル出場を果たしたカロライナ・パンサーズへの勝利、スーパーボウルチャンピオンになったニューイングランド・ペイトリオッツにもオーバータイムに持ち込む接戦を演じた。

2004年、開幕から3連敗したがカンザスシティ・チーフスオークランド・レイダースに連勝、同地区のライバル、ジャクソンビル・ジャガーズテネシー・タイタンズから2勝を奪うなどして勝ち星を7つまで積み上げたものの、最終週にここまで3勝12敗のクリーブランド・ブラウンズに14-22で敗れて勝ち越しを逃した。この年2年目のWRアンドレ・ジョンソンがプロボウルに選ばれた。

2005年、チームは開幕から連敗しオフェンスコーディネーターのクリス・パーマーは解任された。ケイパーズヘッドコーチやキャサリーGMへのメディアやファンからの風当たりは強いものとなり、開幕から6連敗したチームはクリーブランド・ブラウンズから初勝利をあげたがその後また6連敗を喫した。最終週のサンフランシスコ・フォーティナイナーズとの試合は敗れたチームがNFLシーズンワースト成績となり翌年のNFLドラフトで全体1位指名が期待されるUSCのRBレジー・ブッシュが指名できるとあって「Bush Bowl」という陰口もたたかれた。この試合に17-20で敗れて2勝14敗でシーズンを終えた。その中で唯一の光明はルーキーのジェローム・マシスがキックオフリターンで2TDをあげてプロボウルに選ばれたことだった。

シーズン終了後ケイパーズヘッドコーチ及びコーチングスタッフの大部分は解雇された。キャサリーGMはしばらくチームに残ったがドラフト終了後にチームを去りリック・スミスが後任となり、新ヘッドコーチにはデンバー・ブロンコスのオフェンスコーディネーターだったゲイリー・キュービアックが就任した。

2006年のドラフトでは全米のメディアはレジー・ブッシュの指名を予想し、地元ヒューストンではローズボウルでそのブッシュのUSCを破り全米チャンピオンになったテキサス大学のQBヴィンス・ヤングの指名を期待した。この2人のいずれがドラフトで指名されることになるか注目されたがチームが全体1位で指名したのはノースカロライナ州立大学のDEマリオ・ウィリアムスであった。リライアント・スタジアムで行われたこのドラフトでファンは失望するとともにブーイングを行った。全米のメディアもマイケル・ジョーダンサム・ブーイが指名された1984年のNBAドラフトを持ち出してこの選択はドラフト史上最悪のものではないかと報道した。ブッシュはニューオーリンズ・セインツに、ヤングはテネシー・タイタンズに入団した。この年ブッシュが加入したセインツはNFCチャンピオンシップゲームまで進出し、ヤングは最優秀攻撃選手に選ばれたのに対してウィリアムスは足底筋膜炎に罹り47タックル、4.5サックに終わった。チームはこの年開幕から3連敗したがテネシー・タイタンズ戦ではオフェンスの獲得ヤードで427対197と圧倒されたもののターンオーバーでボールを5回奪い勝利した。また第41回スーパーボウルを制したインディアナポリス・コルツを27-24で破り10回目の対戦で初勝利をあげた。オフェンスではQBカーが成長しパス成功率68.9%、バッファロー・ビルズ戦では22回連続パス成功の記録を残した。またアンドレ・ジョンソンはリーグトップの103回のレシーブを記録し2度目のプロボウルに選ばれた。またドラフト2巡指名のデミーコ・ライアンズは最優秀新人守備選手に選ばれた。

2007年3月21日、アトランタ・ファルコンズの控えQBマット・ショーブを獲得、元ドラフト全体1位指名選手であるカーはカロライナ・パンサーズに移った。この年チームがドラフト1巡で指名したアモビ・オコイエはドラフト史上最年少選手となった(ドラフト当日19歳)。開幕からチームは連勝し前年から数えると4連勝となった。しかしその後ショーブが負傷して5試合欠場、アンドレ・ジョンソンもひざの負傷で7試合を欠場した。第9週のオークランド・レイダース戦ではデュンタ・ロビンソンがシーズン絶望となる負傷、センターのスティーブ・マッキニーも第3週にシーズン絶望となる怪我を負った。またオフシーズンに大型契約を結んだアーマン・グリーンはわずか260ヤードしか走れず故障者リストに入った。こうした状況にもかかわらずチームはホームで6勝2敗の成績を残し通算で8勝8敗、チーム史上初めて負け越さずにシーズンを終えた。アンドレ・ジョンソンはキャリア最高の8TDをあげ、2年目のマリオ・ウィリアムスはAFCトップの14サックをあげてチーム記録を更新、デミーコ・ライアンズはプロボウルの先発選手に選ばれた。同地区の対戦成績は1勝5敗に終わり地区最下位であったが地区外のチームに7勝3敗の成績を残した。クリス・ブラウンはマイアミ・ドルフィンズ戦でNFL史上初めて1試合で3本の54ヤード以上のFGを決めたキッカーとなった(このうち1本は57ヤードでチーム記録)。

2008年、第2週にホームで予定されていたボルチモア・レイブンズ戦はハリケーン・アイクの影響で延期されたこともあり[2]、ロードでの連戦を強いられ0勝4敗となったがマイアミ・ドルフィンズ戦で4thダウンゴールからショーブが残り3秒でTDランを決めて劇的な勝利を収めるなど3連勝、シーズン終盤にも4連勝を果たし最終週ではプレーオフ争いを演じていたシカゴ・ベアーズを破った。12月1日にはマンデーナイトフットボールに初登場し新人RBスティーブ・スレイトンが130ヤードを走り2TDをあげる活躍を見せるとともにマリオ・ウィリアムスが3サック、アンドレ・ジョンソンも7回のキャッチで75ヤードを獲得し1TDをあげて30-17で勝利した。スレイトンはこの年ドラフトで指名されたRBとしては10人目であったが1,282ヤードを入る活躍を見せた。またアンドレ・ジョンソンはNFLトップの115回のキャッチで1,575ヤードを獲得しマリオ・ウィリアムス、オーウェン・ダニエルズとともにプロボウルに選ばれた。この年も8勝8敗の五分でシーズンを終えた。

2009年チームは5勝3敗で前半を折り返し最終週はニューイングランド・ペイトリオッツを破り9勝7敗と初めて勝ち越ししてシーズンを終えた。プレーオフ進出にわずかに望みをつないでいたが夜行われたゲームでニューヨーク・ジェッツが勝利し9勝7敗でボルチモア・レイブンズと3チームが並んだがカンファレンス内の成績で1勝足らずワイルドカードでの出場はならなかった。この年マット・ショーブはNFL歴代6位となる4,770ヤードのパスを投げQBレイティング98.6の成績を残し、アンドレ・ジョンソンも101回のキャッチで1,569ヤードを獲得した。新人のブライアン・クッシングは最優秀新人選手に選ばれた[3](翌年になり禁止薬物に陽性反応があったため再投票が行われたが再度選出された[4]。2010年開幕から4試合出場停止の処分を受けた[5])。シーズン終了後チームはキュービアックヘッドコーチとの契約を2012年まで延長した。

2010年、QBマット・ショーブがプロボウルに選ばれるなど、オフェンスは好成績を残したが、ディフェンスがリーグ最下位クラスで[6]、6勝10敗と地区3位でシーズンを終えた。

地区強豪入り

2011年、チームはディフェンスの改善を図るため、ウェイド・フィリップスをディフェンスコーディネーターに迎えた[7]。チームはマリオ・ウィリアムスを開幕から欠き、アンドレ・ジョンソンが怪我により9試合の欠場、マット・ショーブ、マット・ライナートが相次いでシーズン絶望となったが[8]、エアリアン・フォスター、ベン・テイトによるラン攻撃、ウェイド・フィリップスディフェンスコーディネーターによって大幅にレベルアップした守備陣[9]の活躍などにより、初の地区優勝を果たし、プレーオフ出場を果たした[10]

2012年ドラフト外でQBケイス・キーナムを獲得した。この年、マリオ・ウィリアムスがフリーエージェントとなり、バッファロー・ビルズへ去った[11]。チームは開幕から5連勝を果たした[12]。また2年目のディフェンスエンドJ・J・ワットが20.5サックを挙げて最優秀守備選手に選出される活躍を残す[13]などした結果(プロボウルにも選出)、第15週でAFC南地区優勝を決めた[14]。プレーオフは2回戦敗退[15]

2013年は、開幕から連勝したものの、その後14連敗し2勝14敗でシーズンを終えた。シーズン中にキュービアックヘッドコーチは解任され、その後、ウェイド・フィリップス守備コーディネーターが暫定ヘッドコーチを務めた。後任には、ペンシルベニア州立大学ヘッドコーチのビル・オブライエンが新ヘッドコーチに就任することとなった[16]

2014年は、開幕から4試合を3勝1敗、続く4試合で3敗したが、9勝7敗でシーズンを終えた。プレーオフ出場は逃した。

2015年2016年は地区優勝を果たしたが、それぞれ初戦および2戦目で敗退した。

2017年は地区最下位となってプレーオフ出場を逃し、GMが交代となった。このシーズン途中からデショーン・ワトソン(この年のドラフト1巡目に指名)が先発QBとなった。

2018年11月23日、チームが地区首位を走る中、チーム創設時からオーナーであったボブ・マクネアが死去し、後継は妻と息子の共同で務める。このシーズンは地区優勝を遂げたがプレーオフ初戦で敗退した。2019年6月、GMのブライアン・ゲインは解雇された。

2019年も地区優勝を遂げ、プレーオフでは第4シードとなった。プレーオフ初戦ではバッファロー・ビルズを破った。二戦目では第2シードのカンサスシティ・チーフスに対し、一時は24-0とリードするものの大逆転負けを喫した。シーズン後、HCのビル・オブライエンがGMを兼任することが発表された。シーズンオフにWRのディアンドレ・ホプキンスアリゾナ・カージナルスへ放出した[17]

低迷期再び

2020年10月5日、開幕から0勝4敗と躓いたためHC兼GMのビル・オブライエンは解雇された[18]。その後、GMはフットボールオペレーション部門上級副社長のジャック・イースタービーが代理として就き、暫定HCはアシスタントヘッドコーチを務めていたロメオ・クレネルが担当する[19]。クレネルは、暫定ではあるがNFL史上最高齢となる73歳でのヘッドコーチ就任となった[20]。プレーオフは逃した。

2021年1月7日、ニューイングランド・ペイトリオッツのコーチやフロントを歴任したニック・カセリオがGMに就任した。2021年1月28日、ボルチモア・レイブンズのアシスタントHCだったデビッド・カリーがHCに就任した[21]。2021年2月、J・J・ワットが球団と双方合意の上退団し[22]アリゾナ・カージナルスに移籍した。2021年シーズンも地区三位となってプレーオフを逃した。2022年1月13日、カリーはわずか一年で解雇された。HC後任にはDCラビー・スミスが就任した。

2022年3月18日、デショーン・ワトソンと2024年ドラフトの5巡目指名権を、2022年、2023年、2024年ドラフトの1巡目指名権、2023年の3巡目指名権、そして2024年の4巡目指名権と引きかえにクリーブランド・ブラウンズにトレードした[23]


  1. ^ テキサンズ”. NFL JAPAN. 2013年11月30日閲覧。
  2. ^ テキサンズのLBクッシング、守備新人MVPに選出”. NFL JAPAN (2010年1月6日). 2010年5月22日閲覧。
  3. ^ ハリケーンで試合延期のテキサンズが練習再開へ”. NFL JAPAN (2008年9月16日). 2010年5月22日閲覧。
  4. ^ 出場停止のLBクッシング、再投票でも守備新人王”. NFL JAPAN (2010年5月13日). 2010年5月22日閲覧。
  5. ^ 昨季の守備新人王、LBクッシングが4試合の出場停止”. NFL JAPAN (2010年5月8日). 2010年5月22日閲覧。
  6. ^ アダム・ランク (2011年7月26日). “2011年シーズン、6つの注目ポイントとは”. NFL JAPAN. 2012年10月24日閲覧。
  7. ^ テキサンズ、ドラフトは新守備コーディネーターにおまかせ?”. NFL JAPAN (2011年4月22日). 2012年10月24日閲覧。
  8. ^ 第13週を前にしたパワーランキング-前編-”. NFL JAPAN (2011年11月30日). 2012年10月24日閲覧。
  9. ^ アシスタントコーチで成功する元HCは誰?”. NFL JAPAN (2012年6月6日). 2012年10月24日閲覧。
  10. ^ 渡辺史敏 (2012年1月). “渡辺史敏さんのスーパーボウル優勝予想チーム”. NFL JAPAN. 2012年10月24日閲覧。
  11. ^ テキサンズDC、ウィリアムス移籍も堅守維持に自信”. NFL JAPAN (2012年5月8日). 2012年10月24日閲覧。
  12. ^ ロジャース6TDパス、パッカーズがテキサンズの連勝止める”. NFL JAPAN (2012年10月16日). 2012年10月24日閲覧。
  13. ^ テキサンズDEワット、最優秀守備選手に選出”. NFL JAPAN (2013年2月3日). 2013年11月30日閲覧。
  14. ^ 大敗克服で地区Vのテキサンズ、「祝うのはまだ早い」”. NFL JAPAN (2012年12月17日). 2013年11月30日閲覧。
  15. ^ ペイトリオッツがテキサンズに快勝、レイブンズと再戦へ”. NFL JAPAN (2013年1月14日). 2013年11月30日閲覧。
  16. ^ テキサンズ、新HCにペンシルバニア州立大のオブライエン氏”. NFL JAPAN (2014年1月1日). 2014年1月1日閲覧。
  17. ^ テキサンズがWRディアンドレ・ホプキンスをカーディナルスにトレード”. NFL JAPAN (2020年3月17日). 2020年10月14日閲覧。
  18. ^ テキサンズがヘッドコーチ兼GMのオブライエンを解雇”. NFL JAPAN (2020年10月6日). 2020年10月14日閲覧。
  19. ^ ジャック・イースタービーがテキサンズのGM代理に就任”. NFL JAPAN (2020年10月8日). 2020年10月14日閲覧。
  20. ^ 王者チーフスの連勝が13でストップ 第4Qに連続16失点 監督解任のテキサンズは初勝利”. スポニチ (2020年10月12日). 2020年10月14日閲覧。
  21. ^ テキサンズがレイブンズOCカリーをHCに、5年契約に合意”. NFL JAPAN (2021年1月29日). 2021年1月29日閲覧。
  22. ^ 双方合意の離別を選択したテキサンズとDEワット、ヒューストンのみんなを「自分の家族のように思っている」”. NFL JAPAN (2021年2月13日). 2021年4月13日閲覧。
  23. ^ Browns trade for Texans QB Deshaun Watson in deal that includes three first-round picks”. NFL. 2022年3月18日閲覧。





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