ヒエラティック 影響

ヒエラティック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/26 17:52 UTC 版)

影響

ヒエラティックは他の多数の書記体系にも影響を与えた。最も明白な例は、その直接の後継であるデモティックへの影響である。メロエ文字のデモティック書体や、コプト文字古ヌビア語英語版で借用して用いられたデモティック文字などもこれと関連している。

ナイル川流域以外の地域では、ビブロス文字で使われた記号の多くはエジプト古王国のヒエラティックから借用されたもののようである[9]。初期のヘブライ文字エジプトの数字英語版を用いていたことも知られている[10]

ヒエラティック・フォントのプロジェクト

同じテクストの、基本的なフォントセット(上)と発展的なフォントセットの比較

ヒエログリフが早い時期にフォント (fontsが作られ組版されるようになり一般化したのに対し、筆記体の書記体系であるヒエラティックの組版は難しいことが分かった。1997年に、世界古典文明史研究所の教授であったシェルドン・ゴスリンが、ヒエラティックの各記号の構成要素を一筆ごとに分割するという新しいアプローチを考案した。このアプローチは漢字を体系化する伝統的な手法から着想されたものであった。新エジプト語の教材の一部として出版されたのがこの新アプローチを導入した最初の出版物である[11]。それから間もなく、ゴスリン教授はヒエラティック・フォントのプロジェクトを立ち上げ、ヒエラティックの参考資料シリーズの一部として最初のリリースを行った[12]

ヒエラティック・フォント・プロジェクトには多くの目的がある。エジプトの筆記体の研究を容易にすること、書体の分析と比較のための科学的ツールを供給すること、出版物にヒエラティック書体を掲載するための標準的なフォントセットを作り出すことなどである。2001年現在までに作り出されたフォントは既に幅広い手書きスタイルを再現できる。12の基本的なストロークと、同数の関連するストロークの旋回があり、よって各記号は数値コードに還元でき、これはまた最も蓋然性のある筆順を表すことにも役立つ。右図は同じテクストの2つのバージョンを示している[13]

ヒエラティック古書体学のデータベース

ヒエラティック字典として定評のあるのはゲオルク・メラーが編纂した書籍[14]である。本書籍のデジタル画像は東京大学アジア研究図書館デジタルコレクションにて公開されている。本書籍の内容を検索するシステム『ヒエラティック古書体学』データベース(Hieratische Paläographie DB)日本語版/英語版」が永井正勝らの研究チームによって開発・公開(2019年12月11日)されている。




注釈

  1. ^ ローマの属州時代には葦のペンcalami)もまた用いられた。

出典

  1. ^ a b Goedicke 1988:vii–viii.
  2. ^ Goedicke 1988:vii; Wente 2001:2006. The reference is made in Clement's Stromata 5:4.
  3. ^ Baines 1983:583.
  4. ^ Soukiassian, Wuttman, Pantalacci 2002.
  5. ^ Posener-Kriéger 1992; Pantalacci 1998.
  6. ^ Parkinson and Quirke 1995:20.
  7. ^ Gardiner 1929.
  8. ^ Wente 2001:210. See also Malinine [1974].
  9. ^ Hoch 1990.
  10. ^ Aharoni 1966; Goldwasser 1991.
  11. ^ Gosline 1997.
  12. ^ Gosline 1998.
  13. ^ Gosline 2001.
  14. ^ Möller 1909-1936.





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