パリ 施設

パリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/15 06:34 UTC 版)

施設

警察

セーヌ=サン=ドニ県オー=ド=セーヌ県ヴァル=ド=マルヌ県と同様にパリ警視庁の管轄下にある。

イル=ド=フランス地域圏で犯される重罪および軽罪は、フランス全土での4分の1を占める。パリ市内、その外側の「小さな王冠」(セーヌ=サン=ドニ県オー=ド=セーヌ県ヴァル=ド=マルヌ県)、さらにその外側の「大きな王冠」は、それぞれイル=ド=フランス地域圏内の全認知件犯罪のおおむね3分の1ずつが発生している。パリでみられる犯罪類型としては窃盗が大部分で、全重罪および軽罪の3分の2を占める。2006年には、25万5,238件が認知され、犯罪発生率としては人口1,000人あたり118.58件であった。これは、全国平均61.03‰の約2倍であるが、大都市のみに限ってみれば平均的な数値である(リヨン109.22件、リール118.93件、ニース119.52件、マルセイユ120.62件)。女性被告人の割合は15パーセントを下回り(全国平均をわずかに下回る程度)、未成年の割合は11.02パーセント(全国平均18.33パーセントを7ポイント下回る)である。他方、外国人(有効な滞在許可証を所持しフランスに住居を有する者)の割合は、全国平均を上回る20.73パーセントである[34][35]

パリでは、2008年の強姦事件数1,413件で発生率が0.6‰とフランス国内で2番目の高率であった[36]。身体的暴行に関しては、2万7,857件であった[37][38]。暴行を行うとの脅迫に関しては、2008年において、パリでは5,165件認知された[39]。2008年の財産犯(窃盗、器物汚損、器物破壊)に関して、ブーシュ=デュ=ローヌ県に次ぐ件数が認知された[40]

パリの中央集権主義はまた、この街がテロの犠牲者であることをも物語る。よく知られるナポレオン1世に対するサン・ニケーズ街テロ事件や、最近では、RER B線サン=ミッシェル=ノートルダム駅での爆弾テロがある。パリの歴史はこれらの象徴的価値の高い事件が刻まれたものである。これらは、この街での日常生活にとって取るに足りないというものではない。特に、ヴィジピラート計画(Plan Vigipirate)[41]の実施により、観光地や首都の戦略的要衝地の近くに武装した警察、憲兵および兵士が警備しているのを目にすることになる[42]

医療・衛生

セーヌ右岸からみたオテル・デュー ・ド・パリ

数多くの病院がパリに設置されている。そのうちいくつかは特に古く、医療の伝統は中世にまでさかのぼる。651年にパリ司教だった聖ランドリーによって設立されたシテ島のオテル・デューは、パリでもっとも古い医療施設である。慈愛ともてなしの象徴であり、12世紀まではパリで唯一の病院であった。

大部分の医療施設は、1849年1月10日法によって創設された公的医療施設であるAP-HP(Assistance publique - Hôpitaux de Paris、公的支援-パリ病院連合)に名を連ね、パリ市の後方支援をしている。地域圏およびパリの医療センターの役割も果たし、多くの医師や公務員を含む9万人以上が業務に従事している。5区にあるミラミオン館は、かつて病院の施設として使用されていたが、現在はAP-HPの博物館となっており、パリの医療の歴史を想起させている。AP-HPのパリ市内主要病院としては、ネッケル小児病院、コシャン病院、サルペトリエール病院、サン・タントワーヌ病院、サン・ルイ病院、ビシャ=クロード・ベルナール病院、ジョルジュ・ポンピドゥー欧州病院を挙げることができる。

他方、アンヴァリッド軍病院はAP-HPに属していないが、保健大臣の監督のもと国防大臣に権限が委任されており、退役軍人などの治療を行っている。同様に、国立アンヴァリッド研究所[43]では、現役および退役軍人(その家族などの被保険者を含む)などが医療看護や外科的治療を受けられる。

パリの近郊「小さな王冠」では、パリ東・クレテイユ・ヴァル=ド=マルヌ大学(パリ第12大学)附属アンリ・モンドール大学病院センター(クレテイユ)、パリ南大学附属クレムラン・ビセートル大学病院センター(ル・クレムラン=ビセートル)、ル・ランシーモンフェルメイユ・コミューン連携医療センター、ボジョン病院(クリシー)が有名な医療機関である[44]。「大きな王冠」においても、AP-HPに属してはいないが、いくつかのコミューン連携の総合病院が存在する。たとえば、アルジャントゥイユのビクトル・デュプイ病院やヴェルサイユ医療センターを挙げることができる。

また、医療研究機関としては、1260年ルイ9世によってパリの視覚障害者救済を目的として設立されたキャンズ・ヴァン病院、いずれも軍の衛生部に属するヴァル=ド=グラース軍研究病院、ペルシー軍研究病院、ベガン軍研究病院を挙げることができる。

さらに、ヌイイ=シュル=セーヌには、1906年に設立された社会保障非受益者のための非営利・認可私立病院であるパリ・アメリカン・ホスピタルも特筆される。

パリは、フランス全土でも医師の密度がもっとも高い街のひとつである。たとえば、2005年現在、パリの一般医は5,840人を下らないが、セーヌ=サン=ドニ県ヴァル=ドワーズ県には両県を合わせても3,349人の一般医しかいない[45]

パリでは、公衆衛生を保証・保持するため、特に貧困層向けに、16の市立入浴施設が9つの区に分散設置されている。これらの入浴施設は個室を有するが、洗面具は利用者が用意することになっている[46]

宗教施設

放送局

テレビ局
ラジオ局
  • Radio FG
  • NRJ
  • France Inter(フランス・アンテル)

娯楽施設

運動施設


注釈

  1. ^ 概ね名古屋市と同規模である。
  2. ^ アルフォンス、ギュスターヴ、エドモンとそれぞれの子息
  3. ^ マスターカードが2014年に公表した統計によると、パリは世界で3番目に外国人旅行者が多く訪れる都市、と報告されている。MasterCard Global Destination Cities Index 2014

出典

  1. ^ フランス語: [paʁi] ( 音声ファイル)
  2. ^ Pourquoi Paris a la forme d’un escargot ? (フランス語) Le Bonbon, Laura, 15/09/2016
  3. ^ Montmartre
  4. ^ Read @Kearney: 2020 Global Cities Index: New priorities for a new world” (英語). at.kearney.com. 2021年1月30日閲覧。
  5. ^ 世界の都市総合力ランキング(GPCI-2023)”. The Mori Memorial Foundation. 2024年4月15日閲覧。
  6. ^ The Global Financial Centres Index - Long Finance”. www.longfinance.net. 2021年9月30日閲覧。
  7. ^ Demographia: World Urban Areas & Population Projections
  8. ^ a b “« Fluctuat nec mergitur » : la devise de Paris devient un slogan de résistance” (フランス語). Le Monde.fr. (2015年11月15日). https://www.lemonde.fr/attaques-a-paris/article/2015/11/15/fluctuat-nec-mergitur-la-devise-de-paris-devient-un-slogan-de-resistance_4810301_4809495.html 2018年12月8日閲覧。 
  9. ^ パリは「たゆたえども沈まず」(Fluctuat nec mergitur):大野ゆり子 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト”. 新潮社 Foresight(フォーサイト). 2018年12月8日閲覧。
  10. ^ Bulletin de l'Alliance des arts, 2e année, no 4, Paris, 10 août 1843, p. 6, et Journal des artistes, 17e, no 8, 20 août 1843.
  11. ^ Yvan Christ, Paris des Utopies, Paris, Éditions Balland, 1977, p. 201。
    なお、再建される前の最初の凱旋門は1716年に取り壊された。再建凱旋門も、第三共和政時代に「共和国の凱旋像」に置き換えられた。
  12. ^ APUR - observatoire des familles à Paris : Les familles parisiennes パリ市・パリ市の世帯の状況(フランス語)
  13. ^ INSEE - À Paris, les ménages les plus aisés voisins des plus modestes 国立統計経済研究所・パリにおける所得分布の高低(フランス語)
  14. ^ INSEE - Flux d'immigration permanente par motif en 2003. 国立統計経済研究所・出生地に基づくパリの移民統計(フランス語)
  15. ^ INSEE - Aire urbaine 99 : Paris - Migrations (caractère socio-économique selon le lieu de naissance). 国立統計経済研究所・2003年における移民の動向(フランス語)
  16. ^ Histoire de l'immigration en France. フランスの移民の歴史(フランス語)
  17. ^ Arch. du Crédit Lyonnais: Note de Mazerat à Letourneur, 8 août 1871, cit. Jean Bouvier, Le Crédit Lyonnais de 1863 à 1882: les années de formation d'une banque de dépôts, Paris, 1961, 2vols, t. 1, p. 408, note 1.
  18. ^ Marie-Jeanne Dumont, Le logement social à Paris 1850-1930: Les Habitations à Bon Marché, Liege, 1991, pp.32-34.
  19. ^ 実際の建設ではロスチャイルド財団とルボディ財団の意匠が利用された。
  20. ^ 下川耿史 家庭総合研究会 編『明治・大正家庭史年表:1868-1925』河出書房新社、2000年、397頁。ISBN 4-309-22361-3 
  21. ^ フランス政府、ツールへ移転『東京日日新聞』昭和15年6月12日(『昭和ニュース事典第7巻 昭和14年-昭和16年』本編p372 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
  22. ^ パリ、非武装都市を宣言『東京朝日新聞』昭和15年6月14日(『昭和ニュース事典第7巻 昭和14年-昭和16年』本編p372)
  23. ^ ドイツ軍、パリに無血入城(『東京日日新聞』昭和15年6月15日夕刊)『昭和ニュース事典第7巻 昭和14年-昭和16年』p372
  24. ^ パリついに陥落、連合軍の手に『朝日新聞』昭和19年8月31日(『昭和ニュース事典第8巻 昭和17年/昭和20年』本編p412)
  25. ^ 市民も蜂起、パリ全市で激戦『毎日新聞』昭和19年8月27日東京版(『昭和ニュース事典第8巻 昭和17年/昭和20年』本編p412)
  26. ^ Paris Politiques> Statut et institutions de Paris> L’évolution du statut de Paris> Les récentes évolutions législatives
  27. ^ Une histoire croisée de Paris et de ses banlieues.
  28. ^ 「パリ市長の歴史をたどる」
  29. ^ Budget 2011 de la ville et département de Paris
  30. ^ Le budget primitif 2008 : état de la dette
  31. ^ [1] Le tribunal de grande instance de Paris(consulté 2013-04-07)
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  34. ^ La documentation Française - Criminalité et délinquance constatées en France - Tome I (Année 2006)
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  36. ^ http://www.lefigaro.fr/assets/pdf/violences-sexuelles-2008.pdf
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  39. ^ http://www.lefigaro.fr/assets/pdf/menaces-violence-2008.pdf
  40. ^ http://www.lefigaro.fr/actualite-france/2009/04/16/01016-20090416ARTFIG00601-la-nouvelle-carte-de-france-de-l-insecurite-.php
  41. ^ Le plan vigipirate expliqué sur le site du Ministère de l'intérieur
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  44. ^ Carte des hôpitaux, sur aphp.fr. Consulté le 17 mai 2013.
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  46. ^ Bains-douches municipaux de la ville de Paris, article du 16 septembre 2013, sur paris.fr, consulté le 16 septembre 2013.
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  49. ^ International relations: Special partners”. Mairie de Paris. 2007年8月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年8月28日閲覧。
  50. ^ Cities Rank Among the Top 100 Economic Powers in the World Chicago Council on Global Affairs 2016年10月28日閲覧。
  51. ^ フォーチュン・グローバル500 2011年版(英語)
  52. ^ a b c d 角田奈歩『パリの服飾品小売とモード商―1760-1830』
  53. ^ パリの美術館所蔵の10万点以上のアート作品画像が無料取得、商用利用が可能に Kay-You, 2020.01.10






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