パラサイト・イヴ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/09 08:42 UTC 版)
概要
ミトコンドリア遺伝子の反乱を描いたSFホラー作品である。著者が、大学院博士課程(東北大学薬学部)に在籍する研究者だったことでも話題になった。
著者が大学・大学院生活を送っていた仙台市にある東北大学薬学部や医学部、およびその周辺などが情景として描き出されている。ただし、小説の舞台は明確に仙台市とはなっていない。
単行本と文庫本を合わせた発行部数は100万部を突破している[1]。
受賞直後の1995年には「角川ドラマルネッサンス」(ファンタジーワールド内。TBSラジオ)としてラジオドラマ化された。発表直後でもあり、原作に沿った内容だった。ラジオドラマはその後、CDとして発売された。
1997年には実写映画化された。大筋では原作どおりのストーリー展開ではあったが、ラブストーリーの要素が加えられ、ラストの展開が異なるものとなった。
また、1998年にはプレイステーション用RPG『パラサイト・イヴ』がスクウェアより発売された。ゲームは小説をベースにして舞台をニューヨークへと移し、当時最先端の美麗なCGと音楽が話題となり、ゲームの第1・2作で全世界300万本以上を出荷した[2]。『パラサイト・イヴ2』は1999年に発売され、3作目の『ザ・サード バースデイ』は2010年にスクウェア・エニックスより発売された。
あらすじ
現代において、高度に脳が発達して、「遺伝子の支配」から離れたかのように見えるヒト。しかし、太古の昔に存在した利己的遺伝子である「イヴ」が、生物に寄生(パラサイト)して何億年も生き延びていた。
優秀な生化学者であった永島は、最愛の妻・聖美の事故死という現実を受け入れられず、生前にドナー登録をしていた聖美の肝臓から手に入れた肝細胞に「Eve1」と名付け、ラボにこもりきりになり、人が変わったかのようにEve1を培養し始める。Eve1は驚くべき早さで増殖し、ついには自力で培養槽を抜けだし、増殖の増進剤を手に入れようとする。そしてその瞬間に偶然居合わせた、永島の教え子の朝倉佐知子の体を乗っ取ってしまう。
朝倉に乗り移ったEve1は、学会の講演にてミトコンドリアの人間界への進出を宣言し、会場を焼き払い大学へ逃亡。永島はそれを追うが、Eve1に誘惑され、精子を奪われてしまう。
Eve1は、聖美の腎臓を移植された少女・麻理子の体と永島の精子を用いて、「完全な生命体」を誕生させようと画策していた。病院にて麻理子を襲い、受精卵を植え付けることに成功する。
永島、吉住、麻理子の父が駆けつけた時には、既に完全生命体・イヴは生まれ、人々に対する攻撃を始める。身を挺して事態を食い止めんとした永島の犠牲により、イヴは消滅して脅威は去った。全てが終わった後、研究室から「Eve」のラベルがつけられた試験管が発見され、朝倉は「人の中にミトコンドリアが存在する以上、イヴの反乱がいずれまたどこかで起き得るのではないか」という懸念を胸に抱きつつ、それを廃棄するのだった。
映画版
パラサイト・イヴ | |
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監督 | 落合正幸[3] |
脚本 | 君塚良一 |
原作 | 瀬名秀明 |
製作 |
小牧次郎 大川裕 堀部徹 |
製作総指揮 |
村上光一 川合多喜夫 |
出演者 |
三上博史 葉月里緒菜 別所哲也 中嶋朋子 稲垣吾郎 |
音楽 | 久石譲 |
撮影 | 柴崎幸三 |
編集 | 深沢佳文 |
配給 | 東宝 |
公開 | 1997年2月1日 |
上映時間 | 120分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
配給収入 | 4.9億円[4] |
1997年2月1日に東宝系で公開された日本映画。監督は、当時共同テレビのディレクターだった落合正幸。
ストーリーの大筋は原作を踏襲しつつも、ホラーというより切ないラブストーリーの要素が強い。また、ラストシーンの展開も原作とは異なる。
キャスト
- 永島利明:三上博史
- 永島聖美/Eve1:葉月里緒菜
- 吉住貴嗣:別所哲也
- 朝倉佐知子:中嶋朋子
- 大野達郎:稲垣吾郎
- 安斉麻理子:大村彩子
- 安斉重徳:深水三章
- 石原睦男:三谷昇
- 片岡茂:河原崎建三
- 小田切悦子:萬田久子
- 清水学:渡辺いっけい
- 司会者:大杉漣
- 女子研究生:木村多江
- 泉田珠華、ただのあっ子、春木みさよ、佐伯伽耶 ほか
スタッフ
- 監督:落合正幸
- 脚本:君塚良一
- 音楽:久石譲
- 撮影:柴崎幸三
- 照明:吉角荘介
- 録音:山方浩
- 美術:柳川和央
- 装飾:岸田洋治
- 編集:深沢佳文
- 助監督:佐藤陸夫、初山恭洋、松川貴志、川村直紀、宮内貴子、高丸雅隆
- プロダクションマネージャー:羽田文彦
- 制作担当:牧義寛
- 音響効果:斎藤昌利
- 音響協力:志田博英
- CG:フジテレビCGセンター
- モニターCGデザイナー:深井誠之
- VFX:リンクス、白組、ローカスト、フォトロン、ソフトイマージュ、インターグラフ、IMAGICA、CSK Image Craft
- VFXデザイナー:山崎貴
- スペシャルエフェクトスーパーバイザー:和田卓也
- スペシャルメイクアップスーパーバイザー:松井祐一
- 操演:テイクワン(小林正巳、神尾悦郎、宮田義三)
- スタント:スーパーアクションメガシステム(下崎憲治、釼持誠、辻井啓伺、高野弘樹)
- 現像:IMAGICA
- スタジオ:大映スタジオ、府中多摩スタジオ、日活撮影所
- MA:にっかつスタジオセンター
- 宣伝:保原賢一郎、市川南、西野尾貞明、鈴木智恵子、田中久恵
- 製作者:村上光一、川合多喜夫
- 製作統括:重村一、久板順一朗、松下千秋、阿部忠道、宍戸健司、阿部秀司
- プロデューサー:小牧次郎、大川裕、堀部徹
- アシスタント・プロデューサー:関口大輔
- ラインプロデューサー:安藤親広
- 協力プロデューサー:遠藤龍之介、上木則安、内山浩昭、菊池信夫
- 製作協力:ROBOT
- 製作:フジテレビ、角川書店
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