ハーバード大学 沿革

ハーバード大学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/26 04:42 UTC 版)

沿革

創立者ジョン・ハーバード像として設置されている彫像。「3つの嘘の像[注 1]」の呼び名がある。足に触れると幸運が訪れるという言い伝えがあるため、左の足先がすり減っている。ダニエル・チェスター・フレンチ(1850-1931)作。

ハーバード大学はアメリカ最古の高等教育機関であるが、大学がいつの時点で発足したのかは明確になっていない。イギリス植民地時代の1636年9月18日に招集されたマサチューセッツ湾植民地の議会で「学校またはカレッジ」新設のために資金を支出することが議決されたため[6]、これが創立年とみなされている。

1639年、清教徒派の牧師ジョン・ハーバードが遺贈した財産と蔵書をもとにカレッジとしての活動が本格的に稼働し始め、同時に「ハーバード・カレッジ Harvard College」という名称が用いられるようになった[7]

自身も卒業生の数学者チャールズ・W・エリオットは1869年から1909年まで約40年にわたって学長をつとめ、多くの大胆な改革を行ってハーバード・カレッジの研究・教育機関としての位置を大きく引き上げた[8]

1782年の医学部設立とともにカレッジからユニバーシティ (University) となる[9]。1817年にはハーバード・ロー・スクールが設立された[10]

2018年時点の教員数:約2400人[2]、学部生:約6700人[2]、大学院生:約15,000人[2]

キャンパス

大学の中核キャンパスは、ボストン近郊ケンブリッジのハーバードヤードにある。3キロほど離れた場所にキャンパスがあるマサチューセッツ工科大学を筆頭に周辺には60を超える大学があり、国内有数の学園都市を形成している。

ハーバードヤードには、大学事務や1年次の学生が住む寮のほか、学生戦死者を祈念して作られたメモリアル教会タイタニック号沈没で息子を失ったワイドナー夫妻によって設立されたワイドナー記念図書館、ロマネスク様式建築のセバーホールなどの建築物がある。

ヤード周辺には、南北戦争の戦死者を祈念して作られたメモリアルホール、科学教育施設であるサイエンスセンター、デザイン学関係のガントセンターなどがある。

また、西洋美術のフォッグ美術館、東洋美術のサックラー美術館、ガラス製植物標本で有名な自然史博物館など、常設公開施設もあり、多くの観光者が訪れる場所となっている。

オールドヤード

オールドヤード

ハーバードホール(1766年)、マサチューセッツホール(1720年)、ホールデンチャペルのある付近がハーバード大学の一番古い部分であり、オールドヤードと呼ばれる。ユニバーシティーホール(1815年、ワシントンDCアメリカ合衆国連邦議会議事堂と同じチャールズ・ブルフィンチ英語版設計)の裏側のメモリアル教会、ワイドナー図書館がある部分は、6月に卒業式が行われる広場でターセンテナリー劇場という。[注 2]

ワッズワースハウス

ワッズワースハウス[en 1]は1726年建築で、19世紀半ばまで学長の住居だった。独立戦争時にジョージ・ワシントンが司令部を置いたことで知られる。

メモリアルホール

南北戦争の戦死者を祈念して作られたゴシック風建築。内部は、サンダース劇場と呼ばれるコンサートホールになっている。毎年9月末恒例のイグノーベル賞(ノーベル賞のパロディー賞)の授賞式はここで行われる。下部は、ロッカーコモンズと言われ、学生食堂、溜まり場になっている。

フォッグ美術館

フォッグ美術館

ハーバード大学最古の美術館。西洋美術、印象派やピカソの作品が有名。連結したブッシュ・ライジンガー美術館英語版は、北欧美術。

アーサー・M・サックラー美術館

東洋美術、イスラム美術など非西洋美術が中心。東洋美術、イスラム美術や写本など非西洋美術が中心。

自然史博物館

ハーバード大学の教授であった博物学者ルイ・アガシーの理想である『Study Nature, not books(書籍でなく自然から学べ)』を実現した博物館。鉱物学地質学博物館、比較動物学博物館、有名なガラス製植物標本があるハーバード大学標本館・植物博物館からなっている。ピーボディー考古学・民族学博物館と物理的に接続している。ルイ・アガシーは、大森貝塚を発見したエドワード・S・モースと師弟関係にある。

サックラー美術館

ホリオキセンター

ホリオキセンター[en 2]はハーバード大学の運営事務棟。一階には、ハーバード大学の案内所などがある。学生によるハーバード大学ツアーの開始点。

そのほか

ザ・コープ(: The Coop)ハーバード大学生協であるが、マサチューセッツ工科大学にもある。ハーバードスクエアには、書籍を扱う店とハーバードグッズを扱う店[11]の2店がある。

ハーバード大学に入学した学生は、1年次をハーバードヤードとその周辺にある寮で過ごすが、2年次から4年次卒業までは、「ハウス House」と呼ばれるシステムに属し、大部分の学生がハウスに寄宿する全寮制となっている。ハーバード大学のハウスは、ハーバードヤードからチャールズ川の間を中心に12個ある。それぞれのハウスには、専攻、学年、人種の違う学生が400人ほど集まり、専任の教員がいて指導が行われ、同窓会組織も強い。日本皇后雅子がハーバード在学中に寄宿したローウェルハウスなど、外観が優美な建築物も多い。

校風

清教徒会衆派の指導者育成校として設立され、現在でも神学校(ディビニティー・スクール)があり、卒業式にはプロテスタント関係者が参加するなどの関係がある。また、キャンパス内にあるメモリアル教会でも宗教関連の行事が開かれる。設立当初の目的は「社会と教会の指導者を育成する」となっており、教育標語はヨハネ福音書17章3節から取った「神とその子キリストを知る」だった。

ハーバード大学の校風はリベラルであると言われ、社会的少数者の受け入れにも積極的である。アメリカ合衆国の政権でいえば、前学長がクリントン政権にいたことからわかるように民主党と関わりが深いと言われているが、ハーバード・ビジネス・スクール出身のジョージ・W・ブッシュ元共和党大統領やヘンリー・キッシンジャーのように共和党政権の主要人物が教鞭をとっていたこともある。

マサチューセッツ州のアマースト大学ウィリアムズ大学、コネチカット州のウェズリアン大学、ペンシルベニア州スワースモア大学といった名門リベラルアーツ・カレッジを卒業して、ハーバード大学の大学院に入学する学生も少なくない。大学院の教育は、専門職大学院を始めとして、その質の高さから世界の教育機関の規範となっている。ただ、GSASなど、他の大学に比べて放任教育の傾向があるといわれる。


注釈

  1. ^ 銘版には、「John Harvard Founder 1638」と書かれているが、ジョン・ハーバードは、ハーバード大学創設者ではなく、寄贈者である。ハーバードカレッジの創設は、1638年ではなく1636年。モデルが、1884年作製当時の学生
  2. ^ ここには、ボストンのトリニティー教会設計のリチャードソンがデザインしたロマネスク様式建築セバーホール、イタリアルネサンス様式のボイルストンホールなどがある。ハーバード大学の建物のほとんどすべてに固有名詞が入っており、同じケンブリッジにあるマサチューセッツ工科大学が、建物を番号で呼んでいるのとは対照的である。毎学期の終わり、試験週の始まる前日には、このハーバードヤードで「プライマルスクリーム」と呼ばれる、全裸で学生たちが走り回る伝統が行われる。

出典

  1. ^ : Wadsworth House
  2. ^ : Holyoke center
  3. ^ : Faculty of Arts and Sciences
  4. ^ : Master of Arts
  5. ^ : Master of Science
  6. ^ : Master of Engineering
  7. ^ : Master of Forest Science
  8. ^ : Loeb Drama Center
  9. ^ : Hasty Pudding Theatricals
  10. ^ : Man of the Year
  11. ^ : Woman of the Year
  1. ^ Heads of State” (英語). Harvard University. 2019年2月11日閲覧。
  2. ^ a b c d Quick Facts” (英語). Harvard University. 2019年2月11日閲覧。
  3. ^ : endowment
  4. ^ 10 Universities With the Biggest Endowments”. US News. 2019年2月9日閲覧。
  5. ^ Elkins, Kathleen (2018年5月18日). “The universities that produce the most billionaires”. www.cnbc.com. 2019年2月11日閲覧。
  6. ^ Quincy, Josiah (1860). History of Harvard University. 117 Washington Street, Boston: Crosby, Nichols, Lee and Co. , p. 586
  7. ^ Dinger, Ed. "Harvard University." International Directory of Company Histories. Ed. Derek Jacques and Paula Kepos. Vol. 125. Detroit, MI: St. James Press, 2011. 190­193. Business Insights: Essentials. Web. 11 Feb. 2019
  8. ^ Kahn, E. J., Jr. Harvard: Through Change and through Storm. New York: Norton, 1969.; Maddocks, Melvin. “Harvard Was Once, Unimaginably, Small and Humble.” Smithsonian, September 1986, 140.
  9. ^ "Harvard University." Britannica Concise Encyclopedia, Encyclopaedia Britannica, Britannica Digital Learning, 2017.; Bailyn, Bernard, et al. Glimpses of the Harvard Past. Cambridge, MA: Harvard University Press, 1986.; Blumenfeld, Sam. “How Harvard Became Liberal.” Practical Homeschooling, July—August 2004.
  10. ^ School, Harvard Law. “History of Harvard Law School” (英語). Harvard Law School. 2019年2月11日閲覧。
  11. ^ Palmer & Brattle St
  12. ^ ハーバード大にも金融危機の余波、大学基金が80億ドル減少 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News”. www.afpbb.com. 2022年1月16日閲覧。
  13. ^ 米ハーバード大学に学べ! 長期に複利運用を続けると起こるスゴイこと【投資の基本を知る その3】(小田切尚登)” (日本語). J-CAST 会社ウォッチ (2020年11月12日). 2022年1月16日閲覧。
  14. ^ http://www.gsas.harvard.edu/programs_of_study/degree_programs.php
  15. ^ a b c スチュアート・A・P・マレー 『図説 図書館の歴史』山田和子、渡辺周、原書房。ISBN 9784562047444全国書誌番号:22036827 
  16. ^ https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/harvard-university#ranking-dataset/629337
  17. ^ https://www.topuniversities.com/universities/harvard-university
  18. ^ http://shanghairanking.com/World-University-Rankings/Harvard-University.html
  19. ^ Harvard University USNews
  20. ^ a b c d e f g 竹内啓一; 杉浦芳夫 (2001-10-09), 二〇世紀の地理学者, 古今書院, pp. 311-312, 319-320, ISBN 4-7722-6004-8 
  21. ^ http://www.gocrimson.com/sports/mcrew-hw/tradition/harvard-yale
  22. ^ https://alumni.harvard.edu/harvard-yale/the-game
  23. ^ http://www.hno.harvard.edu/gazette/
  24. ^ It Was A Normal Tuesday Night. Then Scores of Harvard Students Dropped Their Underwear. | News | The Harvard Crimson” (英語). www.thecrimson.com. 2019年4月29日閲覧。
  25. ^ “誇り喪失 大規模カンニング 米ハーバード大、70人退学処分”. SANKEI EXPRESS (産業経済新聞社). (2013年2月4日). オリジナルの2013年3月22日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130322001847/http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/627415/ 2013年2月4日閲覧。 Archived 2013-03-22 at the Wayback Machine.
  26. ^ http://www.ksgj.org/
  27. ^ http://www.u-netsurf.ne.jp/hbscoj/
  28. ^ http://hsph.jp/
  29. ^ http://www.boston-researchers.jp/wp/
  30. ^ http://hmj97.umin.jp/






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