ハングル その他

ハングル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/15 06:47 UTC 版)

その他

ハングルに関する誤解

「ハングルは世界中の言語を表記できる文字である」とする主張[42]があるが、例えば英語のfとp、zとjがともに(p)、(j)と表記されるように、少なくとも現行の外来語表記法ではこれらを原音通りに表記するのは不可能である。

インドネシア少数民族チアチア語へのハングル導入

2009年には、ハングル世界化プロジェクトによって、インドネシアの少数民族チアチア族がチアチア語の文字表記にハングルを導入した[43]。韓国の訓民正音学会が中心となって、チアチア語のハングル表記をすすめた[1]

チアチア語にはアルファベットやアラビア文字では表せない音があるが、ハングルなら表記が可能であるかもしれないと採用された[44]。チアチア語は「固有の文字を持たず、固有語を失う危機にあった」ため、韓国の団体が提案し、2009年7月、バウバウ市にてハングル普及覚書を交わした[1]。しかし、これらの表記法はチアチア語の音韻を反映するものではなく、朝鮮語の事情にあわせて作成されたものであり、趙義成は「アジアの一半島とその周辺でしか用いない文字をあえて採用する必要はない」として、世界的に汎用性のあるラテン文字でチアチア語を表記した方がはるかに合理的で効率的であるとした[1]

バウバウ市はインドネシア政府と相談せずに導入を決定しており[1]、インドネシア政府もハングルを公式文字として採用していないと発表している[45]

2018年放送された韓国の番組「ソンナンムルゴギ」によると村の看板や教科書などいまだに使われている[46]


注釈

  1. ^ 1927年にはハングル社から雑誌『ハングル』が刊行された。
  2. ^ 例:有声歯茎破擦音は一律平音の「[j]」で表記し、有声歯茎硬口蓋破擦音は「」の後に「[i]」か点が2つある母音字 [y] で表記する。日本語で言うなら北朝鮮ではザとジャを区別するが韓国では区別しないということである。無声歯茎破擦音は激音の「[c]」で表記し、無声歯茎硬口蓋破擦音は「」の後に「[i]」か点が2つある母音字 [y] で表記する。日本語で言うなら北朝鮮ではツとチュを区別するが韓国では区別しないということである。

出典

  1. ^ a b c d e f g 東京外国語大学・趙義成「チアチア語のハングル表記体系について」学術論文集28、2011.朝鮮奨学会
  2. ^ 野間秀樹『ハングルの誕生:音から文字を創る』平凡社新書、2010年、22頁
  3. ^ a b 大宅京平「南のハングル教育、北の漢字教育」こた朝鮮難民救援基金NEWS,May 2013,No.82.
  4. ^ 李商赫『訓民正音と国語研究』2004年
  5. ^ 河野六郎「朝鮮の漢文」『河野六郎著作集』3、1980年、416頁。
  6. ^ 姜信沆 (2003) p.5
  7. ^ 李善英「植民地朝鮮における言語政策とナショナリズム - 朝鮮総督府の朝鮮教育令と朝鮮語学会事件を中心に -」『立命館国際研究』第25巻第2号、2012年、 508頁。
  8. ^ McCune, G. M; Reischauer, E. G (1939). “Romanization of Korean” (pdf). Transactions of the Korea Branch of the Royal Asiatic Society 29: 6. http://www.nla.gov.au/librariesaustralia/files/2011/07/ras-1939.pdf. 
  9. ^ 李商赫『訓民正音と国語研究』2004年
  10. ^ 大江孝男「ハングル」『世界大百科事典』エキサイト辞書、エキサイト。2021年5月13日閲覧。
  11. ^ 諺文」『精選版 日本国語大辞典コトバンク。2021年3月31日閲覧。
  12. ^ 矢沢康祐「李朝」(2番目の項目)『世界大百科事典』エキサイト辞書。2021年5月13日閲覧。
  13. ^ ハングル」『デジタル大辞泉』、『精選版 日本国語大辞典』コトバンク。2021年3月31日閲覧。
  14. ^ 青山秀夫『基礎朝鮮語』大学書林、1987年、1頁。ISBN 4475010373。「朝鮮文字はハングルとも呼ばれています。」
  15. ^ 井沢元彦『逆説の朝鮮王朝史』週刊ポスト、2011年12月16日。p22-p25
  16. ^ 宮脇淳子『悲しい歴史の国の韓国人』徳間書店、2020年7月31日。p152
  17. ^ 『中宗実録』8卷12年丁丑・正德12年6月 27日(辛未)http://sillok.history.go.kr/inspection/inspection.jsp?mTree=0&id=kka
  18. ^ 4. The providing process of Hangeul”. 国立国語院 (2004年1月). 2008年5月19日閲覧。
  19. ^ http://news.donga.com/3/all/20150420/70806327/1
  20. ^ 朝鮮王室のハングル書簡 http://hangeul.naver.com/hangeul2
  21. ^ a b 稲葉継雄「井上角五郎と「漢城旬報」「漢城周報」: ハングル採用問題を中心に」『文藝言語研究. 言語篇』第12号、筑波大学文藝・言語学系、1987年、 p209-225、 ISSN 03877515NAID 110000330622
  22. ^ [http://agora-web.jp/archives/2037642.html ハングル史:福沢諭吉とバードが期待しすぎた韓国人の教養
  23. ^ "Korea and her neighbors" p21Isabella Bird, 1898
  24. ^ "Korea and her neighbors" p391
  25. ^ "Korea and her neighbors" p342
  26. ^ "Korea and her neighbors" p79
  27. ^ 水間政徳, ひと目でわかる「日韓併合」時代の真実, 株式会社PHP研究所, 2013年 p168-169
  28. ^ 1981年12月11日付 中央日報
  29. ^ 大澤宏紀「朝鮮総督府による朝鮮語教育」教育史・比較教育論考, 19: 1-15、北海道大学、2009
  30. ^ 植民地下朝鮮における言語支配の構造三ツ井崇 2002年3月13日一橋大学博士論文
  31. ^ http://www.chosunonline.com/news/20100718000004 [リンク切れ]
  32. ^ http://www.chosunonline.com/news/20100718000005 [リンク切れ]
  33. ^ 前進する朝鮮』朝鮮総督府情報課、1942年、37頁。「既に朝鮮語の教授は廃止され、教科書に逐年改正を加へて、朝鮮の特殊事情を加味した教材を加へつゝ皇国臣民教育の徹底を期してゐる。」
  34. ^ 熊谷明泰 (2004). “植民地下朝鮮における徴兵制度実施計画と「国語全解・国語常用」政策(下)”. 関西大学人権問題研究室紀要 49: 177. https://kansai-u.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=3026&item_no=1&page_id=13&block_id=21. 
  35. ^ 内務省管理局 (1945年3月6日). “朝鮮及台湾在住民政治処遇ニ関スル質疑応答(18画像目)”. 国立公文書館アジア歴史資料センター. 2021年9月4日閲覧。 “十四 諺文並諺文出版物に対する方針如何 答 国語の普及に伴ひ諺文は漸次其の使用の範囲を縮小せらるるものと考ふ。諺文出版物に付ても漸進的に之を減少を見る如く適当に指導する方針なり。”
  36. ^ a b ローマ字は2000年大韓民国文化観光部告示第2000-8号「国語のローマ字表記法국어의 로마자 표기법)」による。
  37. ^ 姜信沆『ハングルの成立と歴史』 (大修館)
  38. ^ a b 岸本美緒宮嶋博史『明清と李朝の時代 「世界の歴史12」』中央公論社、1998年。ISBN 978-4124034127p41
  39. ^ a b c 「訓民正音、モンゴル‘パスパ文字’の影響受けた」…高麗大教授
  40. ^ Ledyard, Gari K. (1998、1997)
  41. ^ 伊藤英人「朝鮮半島における言語接触」東京外国語大学語学研究所論集、第18号、p80
  42. ^ 世界最高の文字、ハングル イ・サンギュ(李相揆、国立国語院院長)
  43. ^ インドネシアの少数民族、ハングルを公式文字に採択 聯合ニュース 2009/08/06。東亜日報2009/8/12
  44. ^ 「インドネシア 文字持たぬ少数民族 ハングル採用」読売新聞2009年10月17日
  45. ^ インドネシア政府、ハングルを公式文字として採用せず コリアンタイムズ 2010/10/07
  46. ^ 한글 도입한 인도네시아 `찌아찌아족` 요즘은 - 매일경제” (朝鮮語). mk.co.kr. 毎日経済新聞「매일경제신문」. 2019年4月22日閲覧。





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